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自由気ままに生きてみる  作者: 紅龍
ギルドの利用方法?
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開戦

「さてさて、開戦って感じだね」

街を覆う外壁の上から、街を包囲しつつある人の波を見てそんな感想が自然と口から漏れた。

右を見て左を見ても人、人、人。武装についても統一感がある事から単一の組織である事は明白。過去に見た事のある見慣れた武装であった為、疑いようもなくこの国の正規軍であり、国が雇用する生気の軍人である事は理路整然と居並ぶ様からも見て取れた。

「しかし、見るからにやばそうな戦力比だけど・・・・大丈夫?」

正確に数えた訳では無いが、こちらの戦力と言えばクロと自分を加えても分裂したレギオンにやる気の無い紅葉とその手下・・・・急遽加わった幼馴染のリド君ぐらいなもの。まともにやりあえば早々に負けは確定していないかと思ってしまうのだが、クロには秘策がある様で、こちらの質問にも笑みを浮かべて涼し気な表情は相も変わらず。

「・・・・・恐らくは大丈夫かと」

などと軽い返答が返ってくるのみ。本当に大丈夫なのかと疑ってしまうが、逃げるだけなら何とでもなるのは本当のところ。

「まぁ、相手がこの街をこちらの本拠地だと思っていてくれてるなら大丈夫か」

事実上、奪い取った街ではあるのだが、街を運営する人員についてはほぼほぼ全てがレギオンがなり替わっており、一般人という事であれば皆無。

元々此処に居た人々に関しては先の『神々の剣』が持っていた武器の暴発によって亡くなっており、残った住人に関しても少なくない金額で手を打っており、立ち退き済みの為、問題は無し。純粋に外から人を呼ぶための架空の街であり、『万屋』という新興ギルドをアピールする場に過ぎず、本当の本拠地である紅葉のダンジョンに関しては簡単に移動が可能である為、どれだけ包囲されようとも影響が無いというのは間違いでは無い。

なので、俺としても戦闘に負けてもなんとかなるという感想を抱いており、クロもそういう感じなのかも知れないとは思う。

「・・・・・どうやら動きがある様です」

「本当だ」

まだまだ距離はあるが、馬に乗った騎馬隊の様な一団が土煙を上げてこちらへと突進してくる様子が見受けらた。

「良さそうな装備をつけてるね」

一瞥しただけでも分かる程に上級な装備。簡単な掃討戦だと知って、名を売りたい貴族の子が先陣を切るのはよくあるそうなので、きっとあの一団はそうなのだろう。

「・・・・・馬もただの馬じゃないね、専用の軍馬って奴かな」

ごてごてとした鎧を纏った騎手を落とさぬ様に馬にも改良が加えられているのか、そこらで見る馬とは違って人を簡単に轢き殺せそうな程に凶悪。

騎手が弱くともその馬だけで戦果をあげられそうなほどに過保護な装備を見て、格差社会ってのはここでもあるもんだと呆れてしまうが、そもそも女神がクラスによる差を生んでいる時点で悩むだけ馬鹿らしいかと悩むのを放棄して、状況を眺めていると・・・・・・。

「・・・・・・うあぁあああああああああ!」

長い絶叫があちらこちらで放たれたかと思うと、豪奢な装備を身にまとった一団は忽然と姿を消し、代わりに現れたのは口を開いた底なしの闇が城の掘りの様に街を覆っていた。

「・・・・・馬鹿かな?」

最初にこの世界での戦闘とやらの様式美を聞いた瞬間に考えついた罠だったのだが、こうも簡単に効果を発揮してしまうと、そう言わずにはいられなかった。

何でも、最初は騎馬隊による突撃でもって開戦する為、最初は顔見せの様に軽く当たって仕切りなおすらしいのだが、まともに約束を守る必要などこちらには無いし、そもそも騎馬隊なんてものを用意する手間もかかるのでダンジョンの入口を街の周囲に張り巡らせて、騎馬隊が通った瞬間に入口を開けば楽が出来るのではと思ったのだが、こうまで簡単に罠が発動すると逆に心配になってしまうのだが・・・・。

「ダンジョンより報告。処理は全て完了、暗順応により視界を失っていたとの事、損耗は皆無・・・・以上」

「・・・・・やっぱり戦闘経験も無かったか」

ダンジョンの入口と繋いだ場所にはダンジョン産の魔物やレギオン達を待機させていたのだが、即座に報告が入るという事は快勝と呼んでも差し支え無いという事。多少は手を焼くかと思ったが、どうやら籠城戦をするだけなら時間はまだまだ稼げそうだ。

「食料についてもダンジョンで生産できるし、水もダンジョン由来だし・・・・籠城するだけなら何年でもいけそうだね」

「・・・・・逆に、あちらは万単位の人員を養う為には国庫を切らねばなりませんし、兵糧にしても近隣から集めただけでは到底たりません。頼るべき近隣の街や村にしても万屋が美味な食物を安く販売していた為に現在農作物などは作っておりませんから、徴発しようにも不可能。今から作物を作るなどといった長期的な判断をするにしても、小さな街を破壊する為では上も納得はしないでしょう」

「・・・・・食べ物ってつくづく大事だよね」

「食べねば戦う気力も萎えてしまいますので」

長期的な戦いを想定すれば、まず無敵な布陣をアピールした時点で、相手の指揮官も消耗戦は避けたかったのか、騎馬隊以降の突出は無く、初日はそのまま戦闘は終了。こちらとしてもダンジョンの入口を展開するのは実際、紅葉にかなりの負担をかけるので、一日に展開できても3回程である為、物量で押されていれば危なかったのだが、指揮官が慎重で助かったというのが本音。

これからどうするかと考えてると、陽は次第に傾いてゆき、周囲の光景は夕暮れ。どうしたものかと思案していた頃、どうやらクロの作戦はまだまだ終わりでは無い様で、簡易指揮所である外壁の上にレギオン達を集めたかと思うと、遠くに灯る敵の指揮所を指して、何やら物騒な事を言い出した。

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