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自由気ままに生きてみる  作者: 紅龍
ギルドの利用方法?
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奇跡

「・・・・・だとしても今のは弓だからそれが出来ただけの事。魔法を使う杖ならば奪われる心配は無い・・・・・杖に宿りし神々の奇跡よ炎となりて顕現せよ!」

杖を持った魔法使いの女が弱点を看破したと杖に宿った奇跡を行使する。

流石にこれは不味いかとクロを見るが、変わらず表情は退屈なまま。

周囲を照らす程に巨大になっていく炎の火球を見てもその様子はかわらず、ゆったりとした動作で『龍牙』の空間転移を起動させると、鈍い鉄の色をした玉が掌に現れた。

「・・・・・舞い散れ! 炎の──」

魔法使いがこちらへと杖を振るおうとした矢先、何かが風を切る様な音と共に女の頭部は消え去り、肉が崩れ落ちる音だけがこちらの鼓膜を打った。

「やはり武器だけの三流以下のようですね。加護持ちの武器の扱いも下手ですし、攻撃ように加護を限界まで引き出せば防御が疎かになるのも昔と変わりませんね」

どうやら神器とかそういう武器の対処法について存じていらっしゃるようで、俺としては知ってるならもっと早く言ってくれと思ってはみたものの、下剋上は怖いので口を閉じて静観の構え。

いや、まぁ・・・・知ってましたけどという風を装いつつも事態の推移を見守るのみ。

「クソっ! だったら接近戦をすればいいだけの事だろうが!」

遠距離では足元をすくわれるとでも思ったのか、槍を手にした男がそんな事を言いながら目にもとまらぬ連続突きを放つ。当然、見えない俺にとっては死の旋風なのだが・・・・。

「ふむ・・・・・身体能力強化の加護ですか。ですが、元の能力が低ければ上昇値も低くなるというもの。おそらくは身体能力を数倍に引き上げるのでしょうが、訓練が足りていませんね」

などと指摘しつつも連続突きを微風のごとく受け流す。

「ちっ! 小癪な小娘が! これならばどうだ!」

大技を放つ為か一度後方へと下がった後、必殺の一撃を突き放つ・・・・が。

「・・・・大振りが過ぎる」

体を半身滑り込ませるなり槍を奪うと、そのまま蹴り足を男の腹部へ叩き込む。

「・・・・あっが」

男の口から漏れたのは微かな悲鳴。

しかし、それが彼の断末魔であったのか、蹴りに腹を裂かれた男はそのまま崩れ落ちた。

「人であれば使用できるというのも、かの女神が作り出した武器の悪い例といえます。この様に人どうしが握りあえばより優秀な方へと所有権が移行される為、槍などであれば奪う事は簡単な話。剣の場合は握りで認証するそうなので、使えない手ではありますが」

厳密には元エルフであって人では無いのだが、改造の影響で色々な因子をプラスしている為、起こった現象なのだろう。

もともと各種族の良いとこどりをしたような分類が俺が作り出した肉体なのだが、こんな所にも作用するとは作った本人である自分にもびっくりなのだが、どうやらクロはその事を理解していたらしく、意味ありげなしせんを向けらえて俺としては針のむしろ。心が痛いので見ないでくださいと自然に目を背けてしまう。

「・・・・・この肉体の素晴らしさを称えたい気持ちもありますが、先にゴミ掃除と参りましょう・・・・・さて、このまま同種の武器を使えば屠るのは容易いでしょうが、残りは剣に鞭、それに斧となれば警戒する必要もありませんので、まとめてかかって来ることをおすすめしますが?」

明確な挑発行為に残りの三名も怒りという感情を思い出したのか、恐怖に歪んだ表情を一変させて青い顔を赤に染めてクロへと駆ける。

「ジル! 何時もの奴だ!」

「了解だ!」

剣を持った男が何やら斧を持つジルとやらに声をかける。

こちらとしては判断不能だが、恐らくは連携の合図。詳細に語れば知られてしまう為、咄嗟の判断なのだろうが、鞭を持つ女には伝わっていないようで遠巻きに見守るばかり。困惑した様子も手に取るように理解できてしまうのが悲しいところ。

「限界突破!」

剣を持つ男が何やら叫んだかと思うと、その姿は瞬時に掻き消え、突風だけが男が存在した事をものがたる。

「巨人の力!」

次いでシドと呼ばれた男がそう叫ぶと、踏みしめていた地面は蹴り足に負けたのか脆くなった石畳は後方へと蹴り飛ばされた。

「・・・・・こう頻発されると奇跡も程度が知れるな」

眼前で発動される奇跡の乱用にクロも呆れたようにそう呟く。

俺としても安い奇跡に辟易するが、奇跡と呼ぶだけはあるのか人の身ではありえぬ速度と膂力に素直に関心はしてしまう・・・・が。

「扱い切れていないな」

クロが総評したように元の持ち手では無いのか、奇跡を扱うには実力不足。

限界を突破した能力に下地である肉体はついていかずに崩壊寸前。

残像に混じって血の雨が降るあたり満身創痍。

膂力を増したシドにしても浮き出た血管からは血が噴き出し、心臓はねずみの如く早鐘を打っている事だろう。

「──貴様を殺せば」

「・・・・え?」

他人事と呑気に捉えていたのが良くなかった。

茫然と思考に没入していた俺の目の前には血風を纏った血まみれの男。

限界を突破し、その反動で死にかけた男にとってみればクロを相手するよりも俺の方が獲物としては好都合。クロに致命傷を負わせる可能性よりも確実に殺せるであろうこちらを狙うのは当然といえば当然の判断なのだが、凡人である俺にはそんな戦場の空気など知る訳が無い。

刻一刻と迫る金属の刃に対し、『不味い不味い不味い・・・・・』と、逃げ出したくなる思いで一杯なのだが、現実はそんな事を許してくれる筈も無く、顔面目掛けて刃がゆっくりと迫り・・・・・。ん? ゆっくりと?

先程まで知覚すら困難であった筈なのに何故にと疑問を浮かべるが、こういう時はたいがいオモイカネが悪さをしている可能性が高いので、疑問をそのままぶつけてみると・・・・。

『知覚加速継続』

などと脳に対して結構危険なんじゃないかと思われる行為をさらりと行使しているらしく、俺としては怒るべきか、それとも切られずに済んだと感謝するべきかと悩んでしまう。

「・・・・・まぁ、壊れたら治せばいいか」

正直な話、自身の肉体であれば十分の一程度からでも蘇れるので切られてもそこまで問題は無いのだが、相手の武器は神器とかいう奴らしいので警戒するにこしたことは無い。俺としても無駄に傷つくのは好みでは無いので左右の手で剣の腹を押さえて真剣白刃取り・・・・・みたいな感じで制止してみるのだが・・・・。


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