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自由気ままに生きてみる  作者: 紅龍
ギルドの利用方法?
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匂い

「後方からも足音・・・・このままだと包囲されるぞ!」

盗賊のクラスにより強化された聴力が後方に迫る足音を捉えて肝が冷える。

このまま逃げ場を失い、罠に囲まれた不利な状況はさすがに分が悪すぎる。

「前方の罠の種類は!?」

剣士がそんな事を言ってくるが、それしか無いかと俺も腹をくくる。

「毒矢が数本ってところだ」

「・・・・なら、剣士の俺が耐えればすむな」

このメンツの中で耐久力に優れたおっさんがそんな事を言ってくるが、前方を食い破る以外に活路は存在しない。

運よくと言うべきか、今回こちらには希少な僧侶も随伴しており、毒を受けたとしても即座には死に至らない事も決断を後押ししているのだろう。

「僧侶の小僧、回復は任せたぞ」

おっさんが痛みに耐える決意を固めたのか、僧侶にそう言い残し、眼前の狼たちへと突撃を敢行する。

「うぉおおおああああああ」

頼みの綱である僧侶にヘイトが向かないようにする為か、剣士スキル『挑発』を使用し、疾風の如く駆けてゆく。

「ぐっ!」

飛来する矢を受けて、呻きを漏らすが、それでも加速する巨体をとどめるには足らなかったのか、掲げた剣で眼前のワーウルフを二体切り捨てて、前方に穴を開けた。

「小僧! 回復と毒消しだ!」

「言われなくとも! 神の信徒たる我の名においてこい願う・・・・癒しの息吹! 浄化の光!」

神に認められた信徒のみが行使可能な癒しの御業によって剣士のおっさんも持ち直した。

「続けよ!」

端的な剣士の言葉に他の面々も覚悟を決めたようで、空いた前方へと駆けていく。

「・・・・・世話の焼ける!」

癒しの御業を行使し、肩で息をする僧侶をほっておく訳にもいかず、背中に背負うと、一目散に剣士の背中目掛けて駆けだす。

「お、おい! 俺は子供じゃねえんだぞ」

苦しそうに息をしながら僧侶の小僧が悪態をつくが、そんな場合か。

「魔力の焔よ、眼前にて舞い踊れ!炎龍!」

魔法使いの嬢ちゃんは撤退戦を心得ているのか、追いすがるワーウルフ達めがけて炎の壁でもって焼き尽くし、疑似的な壁を形成していた。

「・・・・さすがは魔法使い様だ、やるねぇ」

少々経験不足だろうと侮ってはいたが、希少クラスはやはり侮れない。

本来であれば魔法使いなど高位のクラスは国に属するものだが、高位ギルドである『神々の剣』の権限で国から引き抜いただけはあるなと今更関心してしまう。

「どうよ、これが私の力ってわけよ!」

小娘が誇らしげに無い胸を反らすが、実力を見せられれば頷くしか無く、心強い味方が増えたことは素直に喜ばしい。

「後ろからの追撃はひとまず回避できたが、まだまだ前方には奴等の気配があるのをお忘れなく」

弓使いが気を抜くなと警告するが、多少は気を抜かねば小僧共が使い物にならなくなるのを、ベテランなら自覚して欲しいねと溜息で返す。

「それで、何匹だ?」

「・・・・4匹ってところだな。強さはさっきのと変わらない」

「なら、俺が先行して何匹か狩る、援護は任せた」

「了解」

暗闇であっても盗賊と弓使いであればクラス補正で月下の夜道程度には見えている。その為、先制を考えるならばこの組み合わせは定石であり、他の面々にしても納得したのか反論は無い。

俺は背負った小僧を降ろすと、覚悟を決める。

「・・・・・・先行する」

弓の射線を遮らないように身を屈め、ワーウルフ達へと忍び寄る。

「・・・・・・・・・」

本来であれば聴力に優れたワーウルフに近づくなど自殺行為だが、『消音』と『消臭』というスキルに環境として暗闇という状況を利用し、疑似的に存在を消し去ってやればこの通り。

『・・・・ガッ!?』

喉元に突き立てたナイフに驚いたのか、ワーウルフが多少暴れるが、それも一瞬。横一文字に切り開くと、首元を押さえて倒れ伏した。

『オォオオオオ──』

近くにいた一匹が咆哮をあげるが、その脳天を冷たい矢尻が突き刺さる。

残り2匹・・・・・。

鼻をひくつかせて匂いを嗅ぎだす様子に、手に持った血濡れたナイフへと視線を落とす。

「・・・・・・・・」

『消臭』で消した俺以外の匂い。奴等が同胞たるワーウルフの血の匂いを嗅いでいる事は明白。

これでは姿が見えている事と同じである為、重ねて消臭を血濡れたナイフに重ねて気配を断つ。

『ウォオオオオン!?』

断たれた匂いに動揺したのか、狼どもが不安げな声を漏らすが、遅すぎる。

茫然と立ち尽くす二匹のワーウルフを視認し、片方へと血濡れのナイフを投射する。

『──ウォ!』

微かな悲鳴が驚きと共に放たれたが、問題は無い。

『ガッ──』

もう片方に握ったナイフは深々と残りの狼の脳髄を破壊。

手に返ってくるのは弱々しい鼓動であり、命を刈り取った証。

盗賊というクラスに似つかわしくない正面きっての戦闘に、今更ながら鼓動は早鐘を打ち、気持ちの悪さを感じて分の悪い賭けに勝ったことを認識した。

「・・・・・・精神力もからだわ」

スキルの使いすぎか、体力のみならず精神力さえも使い切ってしまったようで、肩で息をするのが精々。護身用に隠していたとっておきの回復ポーションとマナポーションを飲み干し、ようやく立ち直った。

「・・・・・出費が高くつきそうだな」

拾った命とその対価に自然と愚痴が漏れるが、愚痴を言えるのは生きている証拠であろうと気持ちを切り替えて身なりを正す。

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