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自由気ままに生きてみる  作者: 紅龍
ギルドの利用方法?
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脅威?

「行ったか・・・・?」

「気配は無い・・・・ね」

私の姿が見えない事に安堵したのか、追手の者達が何やら呟き始めた。

「やっぱり、転生者とかって奴だなありゃ」

「転生者? それって兄貴達が殺して神の武具を奪ったっていうあの?」

中々に物騒な話だなと耳を傾けるが、その話は仲間内でもタブーだったのか、年配の男が慌てて若い男の口を塞ぐ。

「ば、馬鹿野郎! どこで聞いてるかわかんねんだぞ! 言葉には注意しろ! それに、俺達が所属してるのはその兄貴達のギルド『神々の剣』なんだぞ! そんな事を街中で言ったら殺されるぞ!」

頭が弱そうな男もここまで言われれば理解したのか、震えながら首を縦に振り出した。

「・・・・・理解したなら分るよな? 俺達はあいつらの後を金魚の糞みたいについてまわって、依頼が達成されたなら兄貴達に知らせる。これだけでいいんだ。分るよな?」

殺気を感じる視線に若者はぶるりと震えると、再度コクコクと頷き返す。

「化け物と戦うのは馬鹿がやればいいんだよ。ずる賢く生きようぜ」

「・・・分ったよ」

そう言うと二人は私が倒した猿の王へと近づいていった。


「・・・・・下らない者達ですが、神が作った武具ですか・・・土産には丁度いい。退屈な戦いに飽き飽きとしていましたが、面白い情報を頂きました」

少しばかりは主様のお顔も優れるかと思い、両手を地面に合わせ『龍牙』を起動し、ダンジョンへの扉を開いた。



「う~~~ん、晩御飯はどうするか」

早々に張られていた依頼を片づけてダンジョンに戻ったのは良いが、クロに美味いものを食わすと言った手前どうしたものかと悩んでしまう。

「・・・・やっぱり使うのはチーズだよなあ」

新素材であり万能食材であるチーズ先生の力は偉大。

なんにでも混ぜればだいたい美味いし、シチューと合わせれば即席グラタンの出来上がり。

「それもありだけど、やっぱり肉も食べたいよな」

ミノタウロスを食用肉に進化させる計画を進行しており、現状でも肉質は前世の高級肉レベル。餌に砕いた魔石を混ぜる事がポイントなのだが、ややコストが高いのが難点。結局、外に出向いて魔石を回収する必要に迫られるのだが。

「美味いから仕方ないよなぁ・・・・・」

やはり美味いものを食うのは幸せに繋がる。

生きていくだけならばそこらの草でも生きていける肉体なのだが、そんな事で生きても虚しいだけ。好きに生きると決めたのだから美食を食わずにどうするものか。

「・・・・やはりチーズ入れたハンバーグとか作ってみるか」

優秀な肉があるのだからそれとチーズ合わせれば美味いんじゃね?

そういう単純な思考に至ってしまったのだが、美味いものかける美味いものはだいたい美味いので、もうそれでいいや。

「レギオン君、牛肉のミンチを頼める?」

俺がそうやって声を掛けたのはゴブリンのレギオン君。

劣化版オモイカネであるレギオンを搭載したゴブリンなのでレギオン君なのだが、実際はゴブリンの司令塔。数多に存在するダンジョンゴブリンを統括するだけの知能を持ち、学習意欲も驚嘆の一言。

きっと彼が外に出れば世界が終わるんじゃないかとさえ思ってしまうが、残念ながら今は俺の助手役。

役不足だと常々思ってしまうが、便利だからこれでいいのだ。

「ハンバーグというのを作るのですね? チーズも使うのですか?」

「うむ、その通りだ」

さっそく知能の高さを見せつけてくるが、これも学習意欲の高さが故。

学ことが楽しいのだろうか、嬉々とした表情を浮かべる姿は微笑ましいが、冒険者達からすればおぞましい光景だろう。

ゴブリンとは愚かで弱くなければならないという共通認識が覆されては、人など容易に滅び去る。人の街にでも出歩けば即座に抹殺されること請け合いだが、ここはダンジョン、そんな事は関係ない。

能力の高い者はどんどん起用したせいで、レギオン君以下、色々と大変な事になってそうだがそれはまた別の話。簡単な説明で色々察したレギオン君によって後は焼くだけになったハンバーグをささっと焼いていく。

「さてさて、ミンチにした肉を焼いていくぞ~」

「はい!」


何てことがあったのだが、気づいた頃には俺のチーズハンバーグは軒並み、紅葉に喰い荒らされていた。

「もう食えんのだなぁ・・・・」

可愛らしく満腹をアピールしたところで喰い散らかした罪は消えはしない。

満足したのだろう紅葉が仰向けに転がっているが、許されるものか。

「このくそ害獣・・・・・」

殺意が芽生えそうになるが、害獣に見えてダンジョンの主というのが難点。

こんな見た目に反してクロより強いのは反則だろうと言いたくもなるが、事実なのだから仕方ない。これ以上どうしたところで腹も膨れないので、レギオンにお願いして追加のゴブリン部隊を派遣からの流れ作業で再度つみあがるハンバーグタワー。これには紅葉もお手上げだろうと高をくくっていたのだが。

「・・・・・わぁ」

なんて言葉を漏らして涎を垂らしている辺り、さすがに本気でやるべきかと考えていた最中。

「・・・・死にたいのですか?」

などと何時の間に戻って来たのかクロが現れては、紅葉の耳元へと吹き込んでいた。

「ま、満腹なのだなぁ。も、もういらないかも・・・だなぁ」

さすがにこれには肝が冷えたのか、垂れていた涎など元から存在しなかったような変わり身の早さ。180度転身すると、そのままスゴスゴと立ち去っていく姿はどこか哀愁すら漂っていた。

「強く生きろよ」

のりでそんな事を言ってみたが、内心やつの事などべつにどうでもいい。

俺の関心は全て新作ハンバーグに向けられており、どうやって食べるかと思案していると・・・・。

「食べ方が分からないので、申し訳ございませんが、食べさせて頂けませんか?」

なんて事を言いながら俺の右腕をたわわな物で挟み込むクロの姿が。

心の中では「あわわわ、えらいこっちゃで・・・・」何て感想がひっきりなし。

天使と悪魔が「触れよ、触っちゃいなよ」などと言っているのだが、天使もう少し頑張れよと思ったところで、甘美で暴力的な感触から逃れる術はない。

俺はただただ、壊れた人形の様に頷き、ハンバーグをクロの口元へと差し出した。

「・・・・・柔らかくて美味しいです」

感想は至極まっとうなのだが、その言葉はそっくりそのまま返しておこう。

我ながら最悪な思考にそまっているなと思ってしまったが、それも仕方ない。

だって・・・・凄く柔らかいんですもの。ちょっとだけ、ちょっとだけだから触って良いよねなんて、おっさん思考がだだ漏れになりそうだが、きっとそんな事を言えば軽蔑どころか、血を見る事は明らか。

がんばれ理性、耐えろ耐えろと念じていると、天使と悪魔もなんとか踏みとどまってくれた様で、手を出す事は避けられた。

「冗談はここまでにしよう。それで結果は?」

些か強引な話の切り替えだが、致し方ない。

クロも冗談が過ぎたと反省したのか、密着させた体を離すと、分かれた後の事を語り出した。


「・・・・・恐らく、神々の剣と呼ばれる小規模ギルドが関与しているものかと思われます。また、上位メンバーが持つ武具は転生者なる者達から強奪した物なのか、特別な物のようです」

クロはそうして知り得た情報をつらつらと語るが、待ってくれ。

転生者? 特別な武器? そもそもそんな物を持ったやつらから強奪するような化け物がいるってこと? 思ったよりも大変な事態に巻き込まれたなと簡単な感想だけは思い浮かぶが、どうしたものか。

そもそもギルドの名前からして『神々の剣』いかにも特別な武器を表しており、相当やばいのは明らか。

簡単に魔石が稼げるぜ! なんて思っていた俺を罵倒してやりたい気持ちで一杯だ。こんな事ならこの街を通り過ぎた方が良かったのだが、強者に目をつけられているとなれば今更か。

「・・・・様子を見るしかないか。相手のでかた次第だが、極力交戦は避ける方向でやっていこう・・・・後は、明日になれば塩漬け依頼が増えている可能性が高いから、魔物の処理だけはこちらで行おうか」

あちらとしても面倒な依頼をこれ幸いと吐き出す筈だし、俺達に押し付けてくることは明らか。波風立てずにおこぼれに与るかと平和作戦を提案をしてみたが。

「・・・・・成程、畏まりました」

何故かクロは謎に納得したらしく、勝手に畏まる始末。

何を畏まったんですか? 俺にも分かるように説明して欲しいんですけど。

などなど色々が疑問が浮かんでしまうのだが、問い掛ける勇気は勿論無い。

さてさてどうしたものかと悩みながら日常を過ごしていると、何時の間にか朝な訳で・・・・。


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