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都市圏のファンタジア  作者: 恥目司
都市圏〜開闢〜
14/41

≠ENEMY

 気がつくとケントはベットにいた。

 起き上がろうとするも体が一切動かない。


口は……

「……あ」


動いた。


「ふぅ」


 安堵のため息。二言目にしては少し呆気ない気もするが仕方ない。


 ガラリとスライド式のドアが開く。

 視線をドアに向けると、そこにはあの少年と知らない背の高い男がいた。


「お、目覚めたか?」


 黒髪の少年が話しかける。

「体は、全く動かないけどな」

「全身の筋肉断裂及び四肢の複雑骨折。特に脚部の損傷が激しいらしい。逆にそれで意識がある方がおかしいぐらいに」

「え……」


 ケントの顔が真っ青になる。


「だが、お前の場合、翌日にものすごい筋肉痛が起きるだけだ。安心しろ」

「それは安心していいのか……?」


 それはそれでまずいと思うのだが。


「……そういえば君の名前を聞いてなかったな」

「ケント、立神ケント。立つ神って書いて立神だ。高校2年生」

「高2……17か?」

「そうだけど……」

「おお!!ちょうどオレと同い年だな」

「えっ、同い年!?」


 思わず声を上げるケント。

 確かに若いなと思っていたがまさか同い年だとは思っていなかった。

 というよりその年で狙撃銃を扱っていたのかという恐怖まである。


「あぁ、紹介が遅れたな。オレは鷹峯ツバサ、特別機動隊隊長。コッチの背の高い方は副隊長の平蔵ひらぐらヘイゾウ。無口だけどいい奴だよ」

「特別機動隊?」


 ニュースでも聞いたことのない名前につい聞き返した。


「特別機動隊ってのは、異世界の調査とか都市圏に入って来た魔物を討伐したりとかをする秘密裏に行う部隊でね」


 笑顔で公的秘密を話すツバサ。


 特別機動隊は、次元衝突後に設けられた部隊である。

 異世界から現れる怪異の類を秘密裏に撃退する事だけを目的に組織された。

 なぜ、モンスターの処理を秘匿する必要があるのか。

 それは、人間と同じく知能を持ったモンスターの存在が関わってくる。

 異世界から現れたモンスターは必ずしも、野生の本能のみで生きている訳ではなかった。

 トロールやゴブリンなどの人型は然り、常識的に考えて知能を持たないような異形種までもが言葉を喋り、理解して行動する。


 その知能を持つモンスター達を害獣の様に暴力的手段を用いる事は倫理に反するとして、対応が困難になってしまった。


 だが、いくらモンスターであろうとも秩序を乱す事は許されない。

 その思いで政府は、()()()()()()()()()()()達に武器を持たせた組織を考案。


 それが特別機動隊である。


 国会に於いて、野党は当然の如く、この特別機動隊の結成に反対したが異世界から現れる怪異——つまりモンスターからの脅威を恐れる国民が多いが為に反対を押し切り、強行突破にて特別機動隊を結成することに至った。


「だいたい特機って言われてる。まぁ、隊って言っても人は少ないんだけど」

 へぇー、と呆けた声が漏れる。


「でも、殺人犯ばかりって……かなり危険じゃないのか?」

 ケントの疑問は確かに分かる。

 何せツバサは未成年だ。

 いくらなんでも殺人犯を統率出来るとは思えない。

「オレの所にはヘイゾウだけしか居ないさ。前はもっといたんだけど、みんなモンスターに喰われたか怖くて逃げたかのどっちか」


 自分と同じ17歳が、死と隣り合わせの場所にいる。

 そのあどけなさの残る綺麗な顔に、一体どれほどの返り血がついているのだろうか。

 

「"特別機動隊は法の下になく、法の上にも無く、ただ自由の名において秩序を守る"……特別機動隊の創設当時からのスローガンだ。全てに縛られることなく……守るべきものを守る。それが特別機動隊の理念であり、意志でもある」

「全てに、縛られない……」


 自分と大きくかけ離れた崇高な光。

 


「オレだけじゃないが、他にも特例措置を出されて"特機"に入っているヤツはざらにいる」


「へ、へぇ……」

 すると少年は、少し恥ずかしそうに視線を下に逸らす。

「実はオレも、ガッコウに行ってない身なんだ。ずっと施設暮らしでさ」

「そんなのが隊長って、大丈夫なのかよ?」


 話を聞いていたヘイゾウが突っかかろうとするも、ツバサに制止させられる。

 さすがに言い過ぎてしまった事に気づき、咄嗟に謝るケント。


「現にコレで大丈夫じゃなかったら、君の目の前にいないだろ?」

「た、確かに……」

 思わず納得してしまうケント。


 すると突然、ツバサがケントを訝しむ。

 そういえば、とツバサは前置きをつけて、


「何か……前と違うな…」

「さっき?」

「うん。オレと戦ってたときは口調が荒かったのだが……」

「あ……」


 多分、ドラコの事を伝えないといけないのだろうか。

 いや、出会ってすぐの人間にドラコの話をしても、馬鹿が夢見ているだけと一蹴されるに違いない。


「いやぁ、戦っている時はスイッチが入るというか、性格が変わるというか?」


 よし、上手くすっとぼける事が出来た


 しかし、ツバサはクスリと笑っていた。

 戦闘中には一度も出したことのない柔和な笑みを浮かべて言う。


「別に隠さなくてもいいんだぞ?」


(バレてる)

「別に隠してなんか…」

「顔に出てる。隠しているのまるわかりだし」 

「……」

「というか戦った時に、身体から飛び出してきてたし」

「…………」

「さしずめ……あの小さなトカゲが力の根源になっているのだろう」


(バレてる)


どうやら俺は――嘘をつくのが下手らしい。

 仕方なくツバサにドラコと出会った一連の流れを話した。





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