カラオケに行くぞぉ
夢の中で男に狙われたことから思いつきました。すいません
俺は小山翔子が終電を逃して家に泊めた後、テスト、夏期講習、テスト、夏期講習で毎日を過ごしていた。テスト期間なのにバイトに行くなんておかしくね?と思うやつもいるだろう。だが、これは戦略的なのだ。なぜかというと大学生のほとんどはテストで忙しくてバイトに穴を空ける。だから、シフトに入り放題なのだ。普段から勉強しておくとこういうメリットがあるのだ。とはいえ、疲れた。
時は8/1
今日はバイトもテストも何もないので、正直暇を持て余している。勉強もやってしまったし、ムラムラも午前中に吹っ飛ばした。だから、クーラーがキンキンに効いた部屋で惰眠を貪っていた。やることもないから●witterを開いてニュースをみる。スクロールを何度もやっては新しいニュースが入ってこないかと無為に期待する。しかし、そんな堕落した日中は終わりそうだ。
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『伊織ぃ?今日暇でござんすかぁ?('ω')ノ』
『超が付くほどフリー』
『なんじゃそりゃ(笑)それなら今からオケでもいかん?』
『桶?風呂ってこと?確かにゴリとなら男湯で混浴できそうだけど流石に不味いやろ』
『違うわ。ってかなんで私が男湯に入ることになってるんだぁ?』
『俺が女湯に入ったらブツが付いてるんだからバレるやろ?でも天保山なら女だって気が付かれない可能性があるじゃん』
『後でころころするのは確定な?(#^.^#)じゃなくて、カラオケだよ。行かない??』
『ええけど、アニソンとかメジャーな曲しか歌えないぜ??』
『大丈夫だよ。ちょっと仕事が1区切りしたから叫びたい気分になってさぁ』
『ああ~わかる。俺もテストが終わったからそういう気分になってるわ』
『おお~んじゃぁ、伊織の家の近くの『まねく猫』でどうよ?』
『いいけど埼玉だから遠いんじゃない?』
『ところがどっこい。最近、成増に引っ越してね』
『なるほどね。んじゃ待ってるわ』
『オーケー。今から行くから、13:00くらいになるかなぁ~』
『りょ~』
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午後の予定が決まった。部屋の角においてある鏡を見てみると、寝癖がボーボーだった。それに無精ひげになっている。これで行ったら流石に不味いなと思って、シャワーを浴びることにした。
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俺は最寄り駅に着いた。何を歌うかなぁとイヤホンをしながら、アニソンメドレーや最近の流行のメドレーを聞いていた。バラード系は全く歌う気になれないなぁ。ヒトカラならやるけどな。なんか盛り下がるじゃん・・・バラードってさ。気持ちよく歌えるんだけど、周りがね・・・ちょっと凍るというか携帯をいじり出すのを見て、悲しくなるんよ。にしても熱すぎるんだよ・・・帽子でもかぶってきた方がよかったかね。
そうこうしていると、ゴリが改札の向こう側から来た。だが俺は噴き出してしまった。
「お待た~~・・・どしたの・・・?」
「いやブフっ、その本当に、ヒヒ、なんでも、フフッ、ない」
「・・・おい、何か言いたいことがあるんなら吐けや」
「それは無理だ」
「なんで?」
「今ここで告げたらゴリが傷つくことになる」
嘘はついていないし、間違ったことは言っていない。今日のゴリの恰好は全身ブラックコーデでロゴ入りTシャツにレースのスカートを履いていた。そして、普段結んでいたサラサラな黒髪を開放して、大人って感じがする。やっぱりこいつは美人だわと改めて認識させられる。
じゃあなぜ俺が噴き出してしまったか・・・これは学があるが故の弊害だろう。ゴリのTシャツのロゴに"MICROMASTIA"と書いてあった。よく外国人がやってしまうあれだ。漢字の造形がカッコいいからという理由で『台所』という文字が入ったTシャツを着てしまったり、酷い時はタトゥーにしてしまうことがある。意味は・・・後でバラす。今、ゴリに伝えると帰ってしまいかねないからな。
「そ、そこまで、真面目な顔をするなら今は聞かないでおいてあげる。ただ後で教えてよ?」
「もちろん」
だってその瞬間にゴリがどんな顔をするのかが一番楽し・・・ゲフンゲフン。気になるからな。でも、1つ聞いておきたいんだよなぁ。
「ゴリ、そのTシャツはどこで買ったん?」
「『FU』だよ。それがどうかした?」
「いやさ、物凄く似合っているからさ。どこで買ったんだろうと思ってな」
「へぇ~伊織もそう思うんだ。私も新しい服が欲しくてさ、『FU』に言ったら、店員さんが物凄く推してきてね。『あなたにピッタリな服だと思いますよ』ってさ」
「なるほどな、店員さんも見る目があるなぁ~」
「伊織がそこまで褒めてくれるなんてね~。買って良かったよ」
もちろん俺が褒めているのは外見のことではない。いや、もちろんゴリの恰好は死ぬほど似合っている。だが、俺はその服を選んだのが店員さんの遊び心だということはよくわかっている。そういう意味ではグッジョブだよ。
俺はまだ見ぬ『FU』の店員さんに賞賛を送った。
「そんじゃあ行きますか~」
「だねぇ~」
俺とゴリは駅前にあるカラオケ屋、『まねく猫』に向かった。
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「いらっしゃいませ~何名様ですか?」
「2人で2時間でお願いします」
「ご予約の方は?」
「してません」
「空いている部屋を探しますねぇ~少々お待ちください」
爽やかそうな店員で良かった。俺の周りの店員は頭がおかしいのが多くて最近ひどい目にあってばっかだったから普通に接客してくれる店員さんでよかった。
「あ、ありました。今すぐにご案内できます」
「は~い」
「それとドリンクバーにしますか?それともワンオーダーにしますか」
店員さんが聞いてきた。俺とゴリは互いに顔を合わせて、
「どうする?」
「なら、ワンオーダーでいいんじゃない?」
「りょ~かい」
俺とゴリの会議は終了。店員さんにその旨を伝えた。
「お待たせしました。5番の部屋になりま~す。後でドリンクを持っていきますね」
「は~い」
俺とゴリは5番の部屋に向かった。その時なぜかねっとりした視線を感じたのだが、気のせいだろうと思って流した。
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「ふ~う、エアコンエアコン」
「おーサンキュー!伊織も気が利くねぇ」
「お褒めに預かり光栄です」
熱い中で集合したからな。もうエアコンがないと生きていけない。こうして人類はどんどん退化の方向に進んでいくのでしたマル
「どっちから歌う?」
「伊織からでいい「お待たせしましたぁ~」」
速いな。さっきの店員さんは優秀だな。歌っている途中に来られると歌う気がなくなるからな。そこら辺、気を遣えるのはポイントが高い。後で、高評価しておくか。
そんなことを思っていると、店員さんが俺とゴリを見て、佇んでいた。なんだなんだ?
「どうかしました?」
ゴリが俺の心を代弁してくれた。すると、意を決したように喉をゴクリと鳴らして、
「好きです!!付き合ってください!!」
なんと告白してきたのだ。ゴリは滅茶苦茶驚いていた。てか俺も死ぬほど驚いていた。
「迷惑を承知でお願いします!!!」
店員さんが息つく間もなく熱い想いをぶつけてくる。とりあえず、ゴリが再起動して反応する。
「その、まだ出会って間もないですよね?」
「時間なんて関係ないです!!一目惚れしちゃったんです!」
「ええ~///」
ゴリが照れている。美人だから告白されることはざらにありそうだが、ここまで真っすぐ告白されるのは新鮮なんだろうな。俺はこの店員さんを評価したい。TPOがなっていないとかそんなことをすべて承知した上で、今この時この瞬間でないとゴリと繋がれないと思って、賭けに来たのだ。素晴らしいことだと思う。
「ええ~でもぉ、私たちぃ、恋人同士なんですよねぇ~」
ゴリが翔子みたいな猫かぶりをしていやがる。しかもこっちを見ながら。おそらくバッティングセンターで失敗した彼氏がいるムーブでもやりたいんだろうなぁ。こういうところは可愛いんだよなぁ。どれ俺も人肌脱ぐかね。
「関係ないです!俺NTRが趣味なんで!!」
「おいおい、それは余計な一言だぞぉ?」
俺はツッコまずにはいられなかった。だが、ゴリは乙女モードが抜け切れていないのか俺の方をちらちらと見ている。全く愛いやつめ。だが、店員さんのアタックは止まらなかった。
「この通り!!」
「そこまで情熱的にこられるなんて////」
ゴリ、告白されたのが嬉しすぎて乙女になっているな。俺もこんな風に告白されたいわぁ
「彼氏さん付き合ってください!!」
「「え?」」
俺もゴリも完全に時が止まった。てか絶対零度を食らった気分だ。マジで凍った。
「俺?」
「はい!!初めて見た時からビビッと来てしまいました!」
まねくの店員さんが熱を帯びた表情で俺の手を両手で取ってきた。
「ええ~と、ゴリに告白したんじゃないの?」
「??」
「『何言ってんの』みたいな純粋な視線を送ってこないでくれないか?あれ男って男と付き合うんだっけ」
「そうです!」「違うわ!」
ゴリとまねくの店員君がハモる。ちょっとどうしたらいいんだ?あれ?さっき俺もこんな風に告白されたいわぁっていう願い事を言ったから神様が叶えてくれたのかなぁ。でも男かぁ。でもそれでもいいのかなぁ
「目を覚ませ!!!」
「ブヘ!!!!」
ゴリは俺に強烈なビンタをされた。俺は冷や水を当てられた気分になった。
「はっ俺は何を!!さっき告白された夢をみたような・・・」
「現実ですよ」
俺の手を大事そうに握りながら、熱い視線と熱い吐息を送ってくる。冷静になったからこそ、俺は現実を直視したくなかった。
「ええ~と、なんで伊織なの?」
「伊織さんっていうんですね!素敵な名前ですね!それと、教えてくださってありがとうございます!お邪魔虫さん」
「何か文字が違うように感じたんだけど、まあ、いいか」
「よくねぇよ!」
俺は圧倒的な非日常に対して、大声を上げてツッコんだ。
「それで、なぜ伊織さんに惚れたかですよね」
「あれ?君も俺の話をスルーするの?俺のことが好きなんじゃないの?」
「好きだなんて///ありがとうございます///」
「違う!そんなこと言っていない!都合の良い曲解をするんじゃないよ!」
「伊織・・・」
「ゴリも離れるんじゃねぇよ、彼女だろ!!」
ゴホンとまねくの店員君は俺とゴリをみて、
「まず、この寝癖。全く髪を綺麗に洗っていないからおこる現象ですね。そして、この顔、自己肯定感が高いせいで本来は真ん中よりも下の下の下なのに、中間くらいの自己評価をしています!さらに見てください!この目。死んでいます。ブラックホールにすべての虹彩が持ってかれたんじゃないかと言うくらいですよね。こんな人間初めて見ました。それと何よりもいいのがこのツッコミです!最高に滑っているのにどや顔で決めたぜと勘違いしているのが最高ですね!」
「君俺のこと本当に好きなの?明らかに悪口なんだけど」
「くっ、よくわかるわ!」
「お前もかよ!」
「お願いです!伊織さん!そんな彼女なんて捨てて俺と付き合ってください!」
「俺はさっきから悪口しか言われていないんだわ!!どう君を好きになればいいんだよ!?」
「なるほど・・・まずはお互いを知るところからか・・・失礼しました!」
「違うんだわ!俺君のことが嫌いなんだわ!!」
「嫌い嫌いも好きのうちって言いますからね」
「なんで俺の周りの人間は俺の言うことを真に受けてくれないんですかねぇ!?」
翔子もそうだが、なぜ俺がツンデレだと思っているんだよ!頼むゴリ助けて~今度からしっかり彼氏のフリをしてやるからさ~
俺はゴリに熱いラブコールを視線で送ったが、ゴリは一瞬目を合わせた後、笑顔で
「ごゆっくり~」
バタンとドアを閉めてしまった。
残ったのは俺と店員君。そして、目を合わせた後、
「これでお邪魔虫がいなくなりましたね♡」
「『お邪魔虫がいなくなりましたね♡』じゃねぇんだわ!!!」
「大丈夫ですよ。天井のシミ・・・じゃなかった、床のシミを数えている間に終わりますから」
「ヒぃ~~~俺のバックが~!!!!」
「それではいただきます♡」
「ぎゃ~~~~~!!!!!!」
その後、俺は連絡先を交換するということで手を打って、なんとか掘られることはなかった。
俺の連絡先には『花見将』という名前の男が追加されていた。
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俺とゴリはほとんど歌うことなく、外に出てきてしまった。そりゃああんな濃いやつがいる空間で歌うなんてできないわ・・・
「ハア疲れた・・・」
「お疲れ・・・荷物持とうか・・・?」
珍しくゴリが優しい。ってかお前逃げたよな?彼氏を見捨てて・・・俺はジッと怨嗟の視線を向けたが、ゴリは若干ばつが悪そうな顔をしたが、開き直って、
「ま、伊織が前に私をいじってきたのと今日告白されたと勘違いして羞恥心をえぐられたのと相殺すればイーブンだよ」
「んなわけあるか!!!俺掘られる寸前だったんだぞ!!?あの恐怖はゴリにはわかるまい!!」
「んも~う煩いな!金●ついてんの!?」
「付いてるから狙われたんだわ!!!」
「あっ、そうだった」
俺は今日、本当の恐怖を味わった。進●の巨人が壁を破壊してきたときの、エレ●たちの気持ちってこんなんだったんかなぁと黄昏ていると連絡がくる。
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花見将
『またいらしてくださいね♡』
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「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ちょっ!!スマホを投げようとするな!!!」
スマホを投げようと錯乱している俺とそれを抑えようとするゴリで5分くらいの死闘を繰り広げたとさ。
『重要なお願い』
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