バッティングセンター
バッティングセンターで打てる女の子ってわりとマジで少数民族な気がします・・・
後藤家を出た後、ゴリの車に乗られてバッティングセンターを目指す。和葉さんに彼氏がいると聞いて少し、いや若干動揺したが、なんとか理性を取り戻すことに成功した。
「落ちついた?」
「まあな、割り切ったとはいえショックなのはショックだわ・・・う~お姉ちゃん~~」
「シスコンの弟か!てかあんたは弟でもなんでもないやろうが・・・」
「黙れ小僧、お前に姉を寝取られた気持ちが分かるのか?」
「伊織よりはわかるわ。姉妹だし」
「そういや同じ遺伝子持ってるんだよな」
「そうだけど、なぜ私のボインを見ながら確認するのかな?」
「いやさ、藤さん(日本最高峰)と天保山(日本で一番標高が低い山)って月とすっぽんじゃね?」
「ハンドルを握ってなかったら今頃伊織の顔面は潰れていただろうよ」
「だから言った」
「後で覚えてなよ?」
「あっ」
「何?」
俺は完璧な回答を思いついてしまったのだ。
「標高が天と地の差があっても、同じ環太平洋造山帯に属してるじゃん!それなら姉妹だってのも納得だわ、ごめんごめん(笑)」
「おらよ!」
「グホッ!!!」
俺は信号が止まった瞬間に腹を撃ち抜かれた。全く反応できなくて、気が付いたら腹に鈍痛が残っていた。こいつ・・・いくらなんでも暴力はいかん。昨今はジェンダー社会で平等化が唱えられているが、女は理不尽に暴力をふっても男からの反撃を受けない。この辺りを是正していただきたいものですな。
「クソぉ~覚えてろ」
「喧嘩を売ってきたのは伊織でしょうが・・・」
「いやいや、そんなつもりは全くないんですわ。あくまで事実をー」
「それ以上しゃべるなら次の家族会議ではエロゲの話を「楽しみだなぁ、バッティング!ゴリは最近やってるん?!」
最悪のカードを切られそうになったので、強制的に会話に入らせてもらった。結局その話をされたら俺が勝てなくなるんだから困ったもんだ。胸の話をしても、暴力で返されたら完全に負けるんだよな~
「う~ん、まぁ月に1回くらいは行ってるかな。死ぬほどムカつく時なんかはバッティングに行かないと爆発しそうになるんだよねぇ~」
「月に一回は死ぬほどムカつくことがあるということか・・・」
「まぁそうね。理不尽なことをやらされたりするともう耐えるのが辛いのよね~」
「例えば?」
「書類なんかはパソコンでやればすぐ終わるんだけどさ、いつまでたってもアナログなんよ」
「ほおほお」
「でさ、私が勝手にExce●を使って、手書きの仕事をPC上でやったら、ブチ切れられた・・・」
「意味が分からんのぉ~」
「でしょ~何でダメなんですかって聞いたら、Exce●の計算は信用できないって言われたんよ」
「Exce●が信用できないってwwww」
「そういう反応になるよね(笑)しかもその後に私にそろばんを渡してきて、『これが人類の叡智の結晶だ。これを使えば計算を絶対に間違えない』って真面目に言われたんだよね。思考が真っ白になったわ」
「ギャグセンス高すぎじゃね?ゴリの上司」
「他人事だから面白く笑えんの。実際私はそろばんなんて使えないから扱いに四苦八苦したわ」
「えらいな。無視すりゃええのに」
「そうしたかったんだけどさ~、いちいち確認してくるんだよねぇ『後藤どうだ?パソコンよりも計算が早いだろ』ってさ。殺意しか湧かなかったね」
「その場に居合わせたかった(笑)」
「そんなこんなでExce●を封じられて新たにそろばんを覚えさせられて苦労したって話」
「お疲れさん。後で肩を揉んでやろう」
「いや~本当に疲れた。昨日もそろばん検定を取りに行かせられてさ、1級取れたわ。マジでExce●いらなくなっちまったわ」
「待って最後にどんでん返し過ぎるんだけど・・・」
「で、ついにExce●を超えたと思って、昨日上司に連絡したら、『後藤、やっぱりExce●ってすごいな。次からはExce●を使ってくれ』だってさ。キレすぎてスマホを破壊したわ」
「どんでん返しのどんでん返しかよ・・・道理で画面が蜘蛛の巣状に破壊されてると思った」
俺とゴリは車中で他愛のない話をした。てかゴリの仕事場って面白すぎじゃね?聞いている限りだと変なやつしかいなそうだけど、退屈しそうにない。ゴリも含めて頭のおかしいやつがいっぱい集まるのが警察なんかね~
俺は口にしたら絶対にアイアンクロウを食らうことが確定していると思ったので、黙って思考していた。
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「ふ~着いたね」
「お疲れ様~悪いな免許持ってないからずっと任せちまった」
俺は運転をゴリに最後まで任せてしまったことに感謝をした。ゴリはそういえばという顔をしていたので、全く気にしてはいないのだろうが、
「あり?免許持ってないって、取りにいかなかったん?」
「取りに行ったんだが、2日目で断念した。マニュアルを取ろうとしたんだがね~」
「いやもうちょい頑張りなさいよ」
「もう無理や。身体に恐怖が染みついちまった」
「そんなにかぁ・・・オートマは?」
「もう無理や・・・助手席に座るのも恐怖」
母親の友達が免許センターで働いていて値段を割り引いてくれたにもかからわず、俺は大失敗した。運転訓練で初めて車に乗った時の隣の教官が滅茶苦茶優しそうなおっちゃんだった。『軽くアクセル踏んでみて』と言われてどれくらいの力で踏めばいいのかわからなくてテキトーに踏んだらいきなり、200キロ出てしまった。そん時に隣のおっちゃんが『阿保!!!!殺す気か馬鹿タレ!!!!」と死ぬほどでかい声で怒鳴られてしまった。その後も俺が失敗するたびに、ため息と露骨にひどい態度を取ってきて、挙句の果てには、『君、車の免許を取るのをやめた方がいいよ』と言われてしまって、免許は断念した。
なんて苦い思い出を回想していたのが、ゴリにも伝わったのだろう。ゴリは免許の話をしなかった。できた幼馴染だなぁ
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「よっしゃー打つぞぉ!!!!」
ゴリが滅茶苦茶楽しそうにバッターボックスに立つ。ボールの速さは100キロ。
左利きなので、イチ●ーのように左手でバットを地面に垂直に立てて右手を肩に添える。そして、バットを一周回して構える。そしてボールが投げられると、右足をちょっと上げて、腰から力強いスイングをする。
キーン
綺麗に放物線を描いて、ボールは飛んでった。
「流石だなぁ。ナイスバッティング」
「えへへ、でしょう?」
「あぁ、相変わらずの運動神経だよ」
「そんなに褒めるなよ///はいもう一丁~!!」
「レフトフライかなぁ」
「何をぉ~、んじゃこれっ、は!?」
「セカンドフライってとこかな」
「さっきより飛んでないじゃん!?」
そんな感じでゴリは10球すべて当てた。女でここまで打てるというのは素直に凄い。隣のバカップルは女をあすなろ抱きの体勢で一緒にバットを構えている。
「ああ~ん♡ともや~当たんないぃ~」
「頑張ろう!俺が支えてやるからさ(キリっ」
「ともや・・・♡」
俺は甘ったるすぎる空間を作り上げているバカップルを見て、末永く爆発してくださいと願っておいた。そして、ゴリが戻ってくる。
「はい、伊織。次は伊織の番よ」
「おっしゃ~!行くか!」
久しぶりにバッターボックスに立つ。久しぶりだなぁ。ざっと3年ぶりくらいだろうか。
「何キロで行くの?」
「とりあえず100キロかな」
俺は財布から100円を取り出して、100キロのボタンを押す。そして、バットを握って構える。ちなみに俺は右利きだ。
「頑張れ~伊織~」
「うイース」
ボールが放たれてきた。おっ、まだまだ見えるな。よし、これなら結構打てそうだ。
キーン
俺の打った球は見事に芯を捕えてホームランの目印に当たりそうだったが、惜しくも外れてしまった。
「おお~流石伊織。変態と天才の両方の性質を併せ持つだけありますねぇ~」
「俺はヒソ●じゃないんよ。後、変態はやめて、隣のカップルたちがじっと見てきて辛い」
「だってさ~エロ「キーン」
「何か言った?」
俺はゴリのセリフをボールを打った音でかき消す。今のはいいとこライトフライだろうなぁ~雑念がありすぎた。そのままゴリの妨害を受けながらなんとか俺は10球すべてを打って100キロを終わらせることができた。が、普通に手が痛い。マメができそう。
「衰えてないねぇ~」
「いやいや、もう手と腕が死にそう」
「またまた~、それじゃあ次は110キロでいくね」
「りょ~」
それからゴリも俺も110キロはクリアしてその後の120キロまではファール気味なのが多かったがなんっとか当てられた。
「ハア~疲れてきた」
「私もハアハア、んじゃ130行きますか」
ゴリがここのバッティングセンターで一番球速が速い130キロを選択した。俺は周囲を見ると、隣のバカップルがいないことに気が付いた。抜けているので、俺も入ることにした。
「ゴリ~、となり空いてるから俺も入るわ」
「ハアハア~りょ~、ハ~アン!くっそぉ~」
流石に130キロには苦戦しているそうだ。ついに空振りが出てきてしまった。俺も100円を入れて始めることにした。
「よしよし、130キロはこれかな」
ライトが光って始まった。俺はさっきまで幸せいっぱいに使われていたバットをウェットティッシュで拭いてから構えた。何か呪われてるような気がしたんだよ。特に他意はない。
球が来る!速!
キーン
「あっぶねえ・・・」
俺はなんとか球を打つ。しかし、確実にファールだ。振り遅れてしまって、詰まってしまった。
キーン
「く~~~~そったれ!」
ゴリも当てられているが、パワーダウンして飛距離が稼げていない。しかし、俺は不覚にも見てしまったのだ。脇から見えるブラに!
俺は不覚にも完全にゴリの脇に視線が釘付けになってしまった。
今日のゴリの恰好は半袖の黒いシャツとグレーのラフなズボンを履いている。伸縮性が高そうで運動に適した格好ともいえるが、鎖骨辺りや脇が動くたびに見えてしまうので、悔しいことにエロい。
「伊織~どしったんのぉ~~~~!!!」
「////っつ、悪い、よそ見してた!!」
ゴリは俺が打ってないのを音で勘づいて、球を打ちながら聞いてくる。俺はそれで意識を戻したのだが、完全にゴリのブラのせいで集中できずそっからは全く当たらなくなった。
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「んじゃぁジュース頼みまーす。烏龍茶で」
「あいよ」
俺は130キロを全く打てずに終わったため、ゴリに奢らなければならなくなった。ちくしょう悔しい。天保山、しかもゴリのブラに集中を狂わされたことに死ぬほど悔しい思いをしていた。
「なんかすっごい失礼なことを考えてない?」
「いえいえ何にも。すぐ行ってくるわ」
「ほーい、待ってまーす」
ゴリはベンチに座ってスマホをいじり始めた。俺は自動販売機を探しに行った。
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「なんで烏龍茶だけ売り切れてんだよ・・・」
おかげで近くのコンビニにまで行く羽目になったわ。俺はゴリに持ってく献上品を片手にバッティングセンターに戻った。すると、
「ん?」
ゴリが2人の男に囲まれている。俺はなんだなんだとちょっと小走りで戻る。
「お姉さん~俺らと遊ばない?一人だと退屈でしょ?」
「いえ全く。それと友達を待っているので」
「じゃあその友達も一緒に遊ぼうぜ、その友達はおん「男だけどいいの?」ああん?」
お兄さんたちが俺の方を見てくる。ん~こんな怪訝な視線をもらうのも久しぶりだぜぇ。さぁどうしよう。なんか髪とかチャラいし、それにピアスとかしていていかにもオラオラ系だった。キャーコワイ(棒
すると、ゴリが凄っくあざとそうな感じで俺の元に駆け寄ってきた。
「もう~伊織!!遅いよぉ~怖かったんだからねぇ」
「えっ気持ち悪」
「あああん?」
「「「ひっ」」」
ゴリがなぜか知らんが、猫なで声で俺の元に駆け寄ってきたので、俺はつい反射的に反応してしまった。そのときのドスの利いた声は俺たち男を震え上がらせた。
「伊織!そういう時は彼氏のフリくらいはしなさいよ!」
「あっ、そういうやつね」
「そう。それぐらい察しなさい!」
「あの、最初に友達って言ってましたよね?」
「・・・」
チャラ男は敬語でナイスツッコミを入れてくる。これにはゴリも黙らざるをえなかった。恋人のフリをしてやり過ごそう作戦はゴリの見事な自爆によって、最初から成立しなかったようだ。
ゴリは赤面して顔を覆ってしまった。これにはチャラ男さんたちも罪悪感を感じてしまったようだ。
「そのすいませんね~、彼氏がいるのに」
「そうそう、こんなに・・・・・・・・・・・イケメンな彼氏がいるのに誘っちゃってすんませんね」
チャラ男さんたち普通にイイ男たちじゃん。ゴリの嘘を聞かないでおいてくれたことにしてくれたらしい。こりゃあこの人達はモテるな。俺が太鼓判を押す。そして、チャラ男2。なぜイケメンをそんなに言い渋った。何かおかしいかこの野郎。
まあいい。このチャラ男さんたちが作ってくれたビックウェーブに乗るしかない!!
「莉奈、お待たせしたね。イケメン彼氏が来たよ(キリっ」
俺はあえてゴリではなく、名前呼びをした。ゴリだとときめき度が低いような気がした俺の咄嗟の英断によるアレンジだ。さあどう来る?
ゴリはプルプルと震え、そして、
「お前らは初対面同士でなぜ私をこんなに恥ずか死させようとするんじゃ////!!!」
「グホっ!!!!!!」
俺のお腹に鈍痛パート2☆
「ヒぃ~すいません。もう二度と話しかけません~~~ん!!」
チャラ男君たちはゴリの鬼の形相に走って逃げてしまった。仕方がない。悪い女に引っかかったと思って切り替えてくれ。君たちの成功を祈るぜ、アデュー!
「ハア、とりあえずもう一回だけ110キロでも打ってラストにしようかね」
「りょ~」
キーン
ゴリが打つ。俺はスマホをいじっていた。もう疲れた。一生分の棒を持った気がするよ。
キーン
ゴリが打つ。体力お化けだな。警察官だとやっぱり基礎体力の違いをまざまざと見せつけられるよ。
キーン。キーン。キー―ン・
「・・・・・・」
「ん~これくらいの球速が一番ね」
キーン。キーン。キーン。
「・・・・・・」
「よっしゃあ!後2球!」
キーン
「球・・・ボソっ」
ズルっとゴリがこける。そして、最後の1球を全く当てられずに終わり、そして、うつむきながらおれの元に来る。そして、胸倉をつかみながら
「馬鹿なこと言うな///」
「何、何のこと?」
俺はとぼける。もちろん狙ったけどな。
「だって・・・玉って・・・(ボソっ」
「ん~」
「だから玉って言ったじゃん!」
「俺は確かに球とは言ったけど、それがどうかした?」
「え!?その///」
「教えてくれゴリ。俺が何か悪いことをしたんだったら、謝るからさ。ちゃんと俺の目を見て話してくれ!」
俺は目だけは真剣風に装っているが、内心は大爆笑していた。さあゴリどう返す??
「だから、私がバットで打って、その、キーンって///」
「おお!いい音だったな!俺はそれに感動して、「たま」ってこぼしちゃったんだよ。でもそれがどうかしたか?」
「だから!そのキーンと、そのたまが・・・///」
「キーンとたまが?」
「きんた・・・って私に何を言わすきじゃ!このエロゲオタクの姉好き童貞!!!!」
「グフっ!!!」
今度は全力でビンタを受けてしまった。しかも、その瞬間にエロが動体視力を凌駕して、ゴリのブラちらが見えてしまったとさ。
俺たちはまた馬鹿な事をしながら、帰りの身支度をした。
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「はあ~楽しかったけど筋肉痛が酷いな。明日ヤバいかも」
「これくらいで馬鹿な事を言わないの」
「へーへー、現役の婦警にはかないませんよ」
俺とゴリは再び車で実家を目指していた。俺は明日、実家から大学に行くつもりだ。ゴリは明日までは休みらしい。
「てか、明日の勉強を全くしてないや。ヤベぇよ・・・成績トップを奪われる」
「へ~伊織って学芸院大学でも成績トップなん?」
「まあね。それしか取り柄がないからな~」
「それだけでも化け物だけどね・・・あーあ私も勉強できれば大学に行ったんだけどね~」
「婦警になれてるんだから、勉強は全く苦手ってわけでもないじゃろ?」
「いやいや、それが全くよ。私は筆記じゃなくて、空手で入ってるからね~。筆記は半分も取れてないと思うよ」
「さいですか・・・流石脳筋」
「後で、かかと落としやってあげるよ」
「ご勘弁を」
俺たちの間に沈黙が支配した。お互いに特に話すことが何もなかった。なんとなく俺は居心地が悪い気がして、スマホをいじっていたが、その体勢のままゴリに向かって、
「・・・次はいつ会えるん?」
「ん?そうねぇ。ちょっと長い休みをもらっちゃったから早くても8月上旬かなぁ」
「そうか・・・」
「何々?また私と会いたいの?も~伊織ったら、寂しがり屋なんだから」
ゴリが俺のことをいじってくる。何か言い返されるのを期待していじってきているのだろうが俺は、
「そうだな。またゴリと会いたいよ」
「そ、そう////」
ゴリは前を向いたままで、夕日に照らされているため表情が良く見えない。
「私もまた伊織に会いたいよ」
「そうか・・・」
俺たちはまた黙る。そして、そのまま実家まで俺たちは一言もしゃべらずにいた。
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時刻は18時を回っていた。俺の家か後藤家かは分からないがカレーの匂いがしてきて食欲を物凄くそそられる。
「ん~疲れたぁ~」
「お疲れっす。悪いな運転の方」
「いいよ誘ったのは私だしさ」
ゴリは俺の前で伸びをした。俺はすべての運転を任せてしまったので感謝を込めて労うが、ゴリは手を払うようなしぐさで気にすんなと言ってきた。
「それじゃあ解散しますか~」
「だなぁ」
これ以上やることはない。俺はゴリの家の隣にある実家に戻るために、後藤家を出ようとする。
すると、
「あっ、伊織!!」
「ん?」
ゴリに呼び止められる。なんだと思って振り返ると、
「またね」
夏に割く太陽のような笑顔で俺に手を振った。だから俺も、
「またな」
俺も同じように笑顔で返した。そして、俺たちは互いに背を向けて家に入る。今日の西川家の夕飯はカレーだった。
『重要なお願い』
面白い!先が気になる!筆者頑張れ!と思った方はブックマークの追加と広告の下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして評価していただけると嬉しいです!
感想なんか書いていただけたらさらに嬉しいです!
執筆のモチベーションになるので、どうぞよろしくお願いいたします!
次は小山翔子との初居酒屋を書こうと思います!




