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ラブラブ人生ゲーム7

いつも読んでくださってありがとうございました。

現在順位

1位ゴリ 伊織 29ポイント

2位翔子 19ポイント

3位和葉 10ポイント

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は現在二人の女と結婚した直後に浮気をして、ゴリの元に行きついたクソ野郎と化してしまっていた。


「伊織先生って本当に最低ですね・・・」

「だから、これはゲームだって・・・」

「伊織君・・・私本気だったのに・・・」

「和葉さんも・・・」


さっきから元妻たちが俺を糾弾してくる。和葉さんも翔子も瞳のハイライトが完全に消えていて、俺のことをそこらのドブネズミのように見ている。


「じゃあ伊織、私へのプロポーズよろ。もちろん本気でね」

「今言うとかお前も鬼だな・・・」

「当たり前。やり返すって決めてるんでね」

「さいですか・・・」


俺はそのままゴリの方に向き直った。そして、


「莉奈、愛してる、結婚してくれ」

「ん、了解」

「「軽!!?」」


なぜか外野が驚いている。俺は結構本気の一言なんだが・・・


「莉奈さんもいいんですか!?」

「?」

「『何言ってんのこいつ?』みたいな表情でこっちを見ないでください!この男、プロポーズに慣れ過ぎてテキトーにやりやがりましたよ!」

「伊織君・・・流石に今のはちょっと・・・」

「え?何が問題なんですか?」

「え!そ、それは・・・」


俺とゴリは顔を見合わせるが、正直和葉さんと翔子が何を言っているのか分からない。だって俺は本気で今のプロポーズをしたのだ。ゴリもそれが分かっているのだろう。俺と同じ表情をしていた。


「伊織は今、本気で私にプロポーズしてくれたじゃん、何か問題があるの?」

「「・・・」」


俺とゴリは心底翔子と和葉さんが何を考えているのか分からなかった。物凄くが、唖然とした表情をしているが、


「なるほどです・・・」

「だねぇ・・・」


ただ、なぜか悲しそうな、それでいて納得しているようなそんな表情だった。俺はその表情の意味がわからなかった。ただ、翔子は


「それじゃあ続きをやりましょう!!ささ、次は伊織先生の番ですよぉ」

「お、おう」


俺は翔子の勢いに押されてルーレットを回した。その後は『ラブラブ♡人生ゲーム』に恥じない、羞恥心いっぱいのマスだらけだったが、俺たちはそれを一つずつこなしていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やったぁアガリ!!」

「おめでとう翔子ちゃん~」

「お疲れ~」

「すげぇな・・・」


結果は

1位翔子 100ポイント

2位和葉 40ポイント

3位伊織、ゴリペア 0ポイント


俺とゴリは途中まではトップで独走だった。しかし、最後の最後で『火事で全財産失う。夫婦の絆は崩れないが、全財産失う』で一気にどべに落ちることになった。

それまで俺たちは翔子か和葉さんにどんなお願いをしようかなぁとうきうきしていただけに天国から地獄に落とされた気分だった。翔子は最後の最後に宝くじを当てるというミラクルを起こし、一気にトップへと躍り出た。


「ふふん、どうしようかなぁ~どんなお願い事をしようかなぁ~」

「お手柔らかにお願いしますよ翔子さん?」

「私も・・・翔子様ぁ」


俺とゴリは翔子様に対して、土下座のような姿勢を取っていた。その時の翔子の表情はまさにドSのそれだった。いい顔していたから後で写真を撮って送りたいくらいだ。


「決まりましたぁ~」


地獄の沙汰が決まったらしい。心の準備は全くできていない。俺とゴリはごくりと唾をのみ込んだ。そして、


「ではぁ~」

「はい・・・」


翔子は溜める。この辺りのじらし方は流石としか言いようがないな。



「二人で飲みにでも行ってきてください♡」

「「は?」」


拍子抜けしてしまった。俺とゴリは顔を見合わせて、そして、翔子を見て、


「そんなのでいいの?」

「はい」

「もっと残酷な罰じゃないの」

「何を期待しているんですかぁ先生ったらもう♡」

「だってなぁ?」

「ねぇ?」


本当にいいのかと翔子に確認すると、


「いいのです!私と和葉さんで話がしたいので、二人は邪魔です。即刻ここからいなくなってください♡」

「ここ、私の部屋なんだけど・・・」

「こまけぇことは気にすんなってことですよ。ささ、行った行った」

「わ、わかったから押すなっての・・・」

「あ、姉貴、私そのまま寮に帰るから、母さんに伝えておいて」

「はいはぁい」


俺とゴリは後藤家から追い出された。


「とりあえず、飲みに行くか」

「だね」


俺とゴリは歩いて駅前の飲み屋に向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「行ったみたいだね」

「ですね」


先生と莉奈さんが駅に向かって歩いていくのを確認して、私と和葉さんは口を開いた。莉奈さんの部屋には食べかけのケーキが二つほど残されていた。


「先生も莉奈さんもケーキを食べ残していきましたねぇ~」

「そうだねぇ~私たちで食べちゃおうか♡」

「いいですねぇ!」


これは伊織先生と莉奈さんの自業自得だ。さっさと食べない方が悪いんです。


「でも、ちょっとこのケーキしょっぱくないですかぁ」

「本当だぁ、激甘なはずなんだけどなぁ」

「です、ねぇ、おかし、いなぁ」


誤魔化すことができないほど、目から汗が出ていた。和葉さんも私と同じだった。


「好き、だったん、だけどなぁ」

「私も、なんで、あの時振ったんだろう・・・」

「自業、自得じゃ、ないですかぁ」

「そう、だねぇ、私って本当に、、、運がないなぁ・・・」


私と和葉さんは互いに同じ人を好きになって、互いに負けを認めてしまった。だってあの人の隣にはもう決まった人がいた。おそらくはずっと昔から・・・


「あん、なの、ズルいよぉ」


私は莉奈さんの部屋で感情を全力で吐露した。生まれて初めて本気で好きになった人。話題が欲しくてテキトーな彼氏を作っていたので罰が当たったのかなぁ。好きな人を諦めるってこんなにつらいんだぁ

今までテキトーに扱ってきた相手に謝ろ・・・でもごめんなさい。今だけは許してください・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あの二人なんの話をしているんだろうなぁ?」

「・・・さぁ」

「おいおいその間は何か怪しいぞ?」

「うるせぇ童貞」

「酷くない?」


俺とゴリは今、二人で歩いていた。田舎道を通り抜け、橋を越えて、ついに駅が見えてきた。


「それで莉、ゴリは何を飲む?」

「それなんだけど、ゴリじゃなくて、莉奈って呼んでくれない?」

「ありゃ?どうしたん?」

「なんか、男っぽくて嫌になった」

「小学生の頃みたいなことを言うのな・・・」

「伊織がずっとしつこいから諦めただけだよ」

「そうなの?」

「そうだよ」


なるほど、たしかに思い返してみれば、小学生の頃はこの呼び方をしたらキレられていた気がする。

いつからか当たり前のように定着していたが、そんなことがあったのか。だとしたら、


「じゃあ、今から莉奈(・・)に戻すよ」

「ん、そうしろ」

「へいへい、お嬢様」


軽口を語り合いながら、俺たちは駅に着いた。そして、いつもの飲み屋、『目利きの金次』に入った。


「それじゃあ罰ゲームを祝ってぇ!!」

「なんか不穏だな」

「細かいことは気にしないの!かんぱ~い!」

「かんぱ~い」


最初の一発目はビールに決まってる。俺と莉奈はそろって一気飲み。のど越し最高!!


「「プはぁ!!!!生き返る」」


二人で目が合った。そして、


「「プっ」」


俺たちは馬鹿みたいに笑いだしてしまった。


「伊織ぃ~おっさん臭いぞぉ(笑)」

「うるせぇ!(笑)お前もババアみたいだぞ(笑)」

「まだまだピッチピチの20歳ですぅ!!!」

「俺もだわ!幼馴染!」

「「はははははは~」」


俺と莉奈は爆笑しながら、他愛ない話をした。昔の二人で野球をしたこと、チャリで走り回ったこと、自由研究を二人でやって、二人で宿題を忘れたこと。

俺の思い出に莉奈がいないことなんてほとんどなかった。


「それにしてもさぁ」

「ん?」

「私さぁ、エロゲショップで伊織に再会できて本当に良かったよ」

「そ、そうか」


エロゲショップなんて言う必要あるのか?


「真面目な話よ。中学2年まではいつも一緒にいるような仲だったのにさぁ、伊織が突然姉貴に惚れて告白して玉砕して、私と全く話さなくなってさ・・・私、寂しかったんだよ?」

「悪かったよ・・・」


ゴリは珍しく酔いが回っているのだろう。うろんな眼差しで俺を糾弾してきた。あの時は確かにそうだった。ただ、和葉さんのことがなくても莉奈とは離れたかもしれない。時々女らしく振舞うようになった莉奈を見て、こいつは本当に俺とは違う性別の人間なんだなと思ってしまっていた。それからゴリと会うのが怖くなってしまっていたのだ・・・


「ゴ、莉奈に和葉さんの面影を感じてな・・・なんかこいつも女なんだなぁって思い知らされて、その意図的に距離は取った、すまん・・・」


俺は当時のことをそのまま伝えた。すると、莉奈はニヤァと笑って、


「つまり、私のことを女として意識したから一緒にいるのが恥ずかしくなったって言うこと(笑)?」


俺は一気に酒を飲み干して、


「そうだよ、なんか悪いか///!?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど・・・///」


なんか妙な雰囲気になった。そして、莉奈は重い口を開いた。


「私さぁ、高校時代、鬱だったんだよねぇ」

「は?お前が?」

「うん・・・なんていうか伊織とずっと一緒にいたからさぁ、男と遊ぶ方が得意でねぇ、女の子とどう接すればいいのか分からなかったんだぁ」

「マジか・・・」


俺は驚いたが、想像に難くはなかった。確かに、中学までのゴリは男勝りだった。そんなゴリが女子高に行ったのだ。今までとは世界が違うだろう。


「ファッションだの、イケメンだの、ネイルだの、髪型だの、全部興味がなかった。高校1年は地獄だったなぁ」


ゴリは梅酒を一気にグイっと飲み干す。


「その時に、伊織に突然会いたくなってね。伊織の高校に行ったことがあるんだよ?」

「それは初耳だ・・・」

「誰にも言ってないしねぇ・・・ただね、生まれて初めていく男子校は凄く怖かった。校門に入ったら男子生徒にナンパされてね・・・1歳、大きくても2歳しかない男に対して、生まれて初めて恐怖を感じたんだ・・・もしかしたら伊織もこんな怖い感じになってるんじゃないかって・・・」

「莉奈・・・」

「それからは私は女として生きることを決めた。ただ、なよっとした女の子になれないから警察官みたいなカッコいい感じの女性像を目指したんだぁ」


俺は黙って相槌を打つしかなかった。莉奈がそんなことになっていたとは・・・俺は自分の都合だけで、動いて莉奈のことを蔑ろにしてしまった。俺は過去の自分を殴りたい気分になった。


「伊織、そんな顔しないでよ。結果的に再会できたんだからさぁ」

「でもよ・・・」

「まあエロゲショップは意外過ぎたけどね(笑)」

「おい!」


突然シリアスな雰囲気からギャグに持ってかれた。


「だってあの時の伊織の顔を思い出すとさぁ笑いが止まらない(笑)」

「うるせぇ!あんなところで逮捕されたら誰だってああいう顔になるわ!」

「あははは!最高だったよ。エロゲを真剣に探してるんだけど、ソワソワしてる感じ(笑)」

「やめろ!思い出させんなっての!!」


俺と莉奈はその後も飲み続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺たちは昼から結局20時近くまで飲んでいたらしい。時計を見たら愕然とした。流石に店の前で休むのは気が引けたので、駅からちょっと離れた公園で休んでいた。


「う~飲み過ぎた・・・」

「馬鹿だなぁ・・・」


大丈夫大丈夫とずっと言っていたが、流石にビール20杯飲んだら莉奈もこうなってしまうらしい。


「ほら、水だ」

「ん、ありがと」


さっき自動販売機で買ったジュースを莉奈に渡した。それをぐびぐびと一気飲みした。


「プはぁ、生き返るぅ~」


莉奈は俺に飲料水代を出そうとしたが、いいよと断る。


「ねぇ伊織ぃ・・・」

「ん?」

「私さぁ、翔子と姉貴に嫉妬してたのかもしれない・・・」

「なんでだよ・・・」

「だってさ、私の唯一の男友達が他の女と一緒にいるのを見ると、すっごく胸がざわついてね・・・なんかキューってしてたんだぁ」

「そ、そうか///」


なんか莉奈の言葉が女らしくなって可愛い。普段言わないような言葉を使う莉奈に若干テレを感じていた。


「だからさ伊織ぃ」

「なんだ?」


「私を一人にしないでね?」


莉奈が熱を持った表情で俺を見てきた。懇願のような哀願のようなそんな願い事だった。ただその時の莉奈の表情を俺は一生忘れないだろう。俺は莉奈を見ていられなくて、後ろを向く。そして、


「駅のホームまではおぶってくよ。乗れよ」

「うん・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「伊織の背中も本当に大きくなったねぇ~」

「和葉さんみたいなことを言うんだな」

「むぅ~姉貴の話は今はしないでよぉ」

「はいはい」

「はいは一回!」

「はいよ」

「よろしい」


莉奈をおんぶして、駅に向かう。ときおりシャンプーの香りと女の子特有のいい匂いが混ざって俺の鼻孔をくすぐった。


「むふふぅ~」

「どうしたぁ?」


莉奈が俺の首元に顔をうずめて楽しそうにつぶやいた。


「だって、あんなに小さかった伊織におんぶされるなんて夢みたい!」

「まだその話をぶり返すのか」

「何度でも聞けぇ!」

「はいはいお姫様」


莉奈は俺の背中で鼻歌を歌いだした。こんだけ機嫌のいい莉奈といるのは久しぶりな気がする。


「なぁ、莉奈」

「♪~ん?なぁに?」

「そのさ、さっきの約束なんだけどさ」

「さっきって?」


こいつわざとかと思ったが、素で忘れているらしい。


「お前を一人にしないとか言う約束だけど」

「ああ~それ・・・」


俺は意を決して言うこと決めた。


「莉奈が一生俺のとなりにいてくれれば万事解決なんだがどう?」

「それって・・・」


今の俺ではこれが限界だった。身体はゆでられたタコのように沸騰し、耳や頬は赤さを隠せないほどになっているだろう。

莉奈は俺の言葉に驚いたのか、結局ホームに着くまで何も話してくれなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「伊織、ありがとう、ここまででいいよ」

「・・・おう」


俺の一大決心の話はこのままなかったことにされるのかなぁって思っていた。それならそれで俺の黒歴史が増えるだけだ。それもまた一興か・・・


「伊織・・・?」

「ん?」

「こっちに来て・・・」

「おう・・・って!?」


ちゅっ


俺は莉奈に首元を引っ張られて口づけをした。


「これが答えだ馬鹿野郎///遅すぎんのよ///!」

「わ、悪かった///」


俺と莉奈は最後にホームで照れ合う。すると、電車のお知らせがホームに木霊した。


「これに乗らないと寮が閉められちゃう!」

「そりゃあ不味いな。俺に構わず行きな!」

「うん!じゃあね!」

「おー」


俺は最後に死亡フラグを立てたが、流石にこんなところで起こらないだろう・・・起こらないといいなぁ


「あっ伊織!」


俺もホームから実家に帰ろうと思ったが、莉奈に呼び止められる。


「なんだぁ?」

「大好きだよ!!今度会う時は恋人同士だからね!!そのあたり忘れんなよ///!!!」

「っ/////」


最後の最後に爆弾を落としていきやがった・・・


俺の幼馴染が美人で可愛すぎた。俺は一人、ホームでそんな阿呆で馬鹿な事を考えた。


「反則過ぎるだろあのバカ///」


俺は顔が真っ赤になるのが良く分かった。人生最高潮に達しているだろう。

莉奈との明日を考えると俺の心は喜色で満ち満ちていた。

最後までお付き合いくださってありがとうございました。読んでくれる人がたくさんいてくれて最後まで書けました!

次回作でまた会いましょう!

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