憧れのお姉さんとの飲み会
いつも読んでくださってありがとうございます!
俺は今世紀最大に緊張していた。なぜなら、ゴリの姉である和葉さんとのサシ飲みだ。明日地球が滅びると言われても俺は和葉さんとの飲みを優先するだろう。
昨日、ゴリに言われた通りに服をコーディネートしてもらい、どんな店にいけばいいのかと色々とアドバイスを受けた。俺の意見は100%却下されたので、ぶっちゃけ不安でしかない。まぁ、ゴリを信じるか。失敗したら、『絶壁の婦警』っていう噂を●witterで流してやればいいしな。
俺は地元の最寄り駅に戻ってきていた。俺が住んでいるところに和葉さんをご足労をおかげさせるわけにはいかないからな。俺はそわそわしすぎて影分身ができるのでは?と思えるほど震えていた。すると、
「お~い!伊織く~ん」
「!!!」
遠くから和葉さんが駆け寄ってくる。ホワイトベージュでロングのくびれ巻きをした髪を揺らしながら小走りで駆け寄ってくる。しかし、そんなものがどうでもいいと思えるほど、女神の双丘がプルプルと揺れていた。周りの老若男は全員前かがみになってしまうくらいの破壊力だ。そんなクソどもを心底軽蔑しながら、ズボンのポジションをずらした。
「ハアハア、ごめんねぇ~ちょっと用意に手間取っちゃって・・・結構待ったでしょ?」
息を吐くたびにあれが揺れる。万乳引力の法則で俺はブラックホールのように視線を誘導させられぞうになるがすんでのところで耐える。
「いえ!俺も今来たところであります!!!!」
俺は敬礼をした。現在17時10分。集合は17時だった。だが、俺は緊張のしすぎで、朝の7時に来ていた。出勤する社会人と退勤してきた社会人と目が合って、若干気まずかったが、そんなことは些末な問題だ。和葉さんに会えた時点で俺の努力は報われたのだ。
「ご苦労!なんちゃって///」
「天使か・・・」
「ちょっと!伊織君!?」
俺の敬礼に対して、可愛く答えてくれた和葉さんに対して、それ以外の感想なんて思い浮かぶわけがなかった。しかも、それをやった後に若干恥ずかしそうにしている。俺はそんな姿を見て萌えを感じて膝から崩れ落ちた。
「大丈夫・・・?」
和葉さんが膝から崩れ落ちた俺を下から覗いてくる。心配そうにしているその表情を見て、俺は何をしているんだ!和葉さんを心配させるなんて!!!
「すいません、意識が飛んでいました」
「それは大丈夫じゃないよぉ?」
「いえいえ天使が迎えに来たと思っただけなので、全く問題はありませんよ」
「普通に臨死体験だと思うんだけど・・・」
和葉さんは本気で俺を心配している。俺を心配してくれているのは心底嬉しいが、これ以上心配させるわけにはいかない。そんなことよりも、
「そんなことより、あの、和葉さん」
「ん?」
純粋な瞳でこちらを見返してくる。ヤバい可愛い、飲まれるな!!
「今日の恰好、その、大人っぽくて、セクシーというかなんというか、その・・・とにかく似合っています!!!」
ゴリからもらったアドバイス。姉貴を褒めるときは顔が美人とかそんなことよりも身に付けているアクセサリーや服、髪のアレンジを具体的に褒めろと言われた。が、そんなことは完全に緊張で吹っ飛んで、抽象的でテキトーな感じになってしまっていた。
今日の和葉さんは白が強めのアイポリーのノースリーブニットに黒のタイトなスカートでサンダルを履いていた。腕には高そうな金色の時計をしていて大学生の俺とは隔たりを感じた。まあそんな感じなので、和葉さんの恰好は端的に言ってセクシー過ぎた。
そのせいで言語能力が壊滅した。俺、国語得意なのに・・・いやまだだ!まだ挽回できる!
「あっ、そのそういうわけではなく、髪とかサラサラだし、そのニットとかも大人な感じがして、その凄いです!」
俺は完全にやらかしたと思った。あ~あやっちゃった。和葉さんもさっきから一言もしゃべってないし、キモイとか思われたかな・・・
「ふふふ、ありがとねぇ~全く愛いやつじゃのぉ~」
「っ/////」
和葉さんに頭を撫でられた。本当に敵わないなぁ。本当に2歳しか離れていないのかと思うほど大人だった。そして、俺の方が身長が高いから、若干背伸びしてたが、その仕草も滅茶苦茶可愛かった。
全く、可愛いと美人のいいところ取りをしたこの人にはまだまだ全然敵わないなぁ
「それじゃあ行きましょうかぁ!今日は飲むぞぉ!」
「はい!予約してあるんでそこでもいいですか?」
「おっ、気が利くねぇ~」
「ありがたき幸せ!!」
「ふふ、それじゃあ案内よろしくねぇ~」
「は、はい!」
俺はゴリに言われた通りに、前に行った『目利きの金次』に案内することになっていた。正直、そんなところで良いのか・・・?俺は1杯1万円くらいする高級居酒屋に行った方が良いのでは?と思ったのだが、
『普通にキモイ。後うちの姉貴は庶民派だから、そんなところに案内されたら普通に引く』
とのことだった。いまだにそれには納得いっていないので、不安だ。
とりあえず、俺の財布には10万円ほどいれてある。最悪の場合はここら辺で一番高い居酒屋に行こう。そして、『絶壁の婦警』の名前を広めてやればいい。
俺はそう考えながら、目的地に向かった。
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「おお~ここですかぁ~」
「あの、ここで大丈夫ですか?嫌なら別の場所も全然あるので・・・」
「いいねぇ『目利きの金次』かぁ。毎日のように見ていたけど、実際に入ったことはなかったから、興味があったんだぁ」
「あっ、そうですか」
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俺たちはそのまま店内に入り、そして、席に着いた。なるべく人に見られない席をお願いしますって頼んだから、端っこの席になった。これもゴリのアドバイス。
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『うちの姉貴は美人だし、胸も・・・・・・私よりもちょっとあるから、視線に晒されると疲れるって言ってからそのあたりの気配りもしておきなよ』
『いや、絶壁さんには何をかけてもゼロですよ(笑)和葉さんに追いつくことは全くないよ(笑)』
『今、姉貴にFat●のエロシーンを送ってやったわ。これ伊織から無理やり渡されたんだってね』
『え?嘘やろ!?』
『マジ(笑)後は明日のお楽しみ』
『( ;∀;)』
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俺と和葉さんは向かい合って座った。
そして、メニューをメニューを取り出して、飲みたいものを選んでいた。
「な・に・が良いかなぁ~」
ルンルン気分の和葉さんベリー可愛い。ああ~目の前で一緒に飲める幸せ。前世でどんな徳を積んだんだろうなぁ俺。
「俺はビールから行くって決めてます」
「おっ、何か生意気になったねぇ」
「そうですか?」
「うん、莉奈ちゃんとゲームするときにカッコつけて、メルエ●みたいな姿勢でいつもヤクル●を飲んでたのが懐かしいなぁ」
「ちょっと待って和葉さん、なんで覚えてんの?」
HUNTE●×HUNTE●のメルエ●が軍●をやるときの姿勢ってなんかカッコいいと思っていた中2時代です。はい。後、和葉さんに恰好いいでしょアピールをしているつもりでした。はい。
「ふふふ~可愛かったなぁ」
「マジでやめてよぉ~」
クスクスと笑っている和葉さん。この辺りは姉妹だなって思う。人の黒歴史を掘り返して遊ぶところだけは本当に。俺は机に頭を突っ伏して耐えるしかない。しかも、ポーズを向けていた相手からいじられると、ゴリや翔子の100倍恥ずかしい。
「それじゃあ私もビールにしようかなぁ」
「おっ、いける口ですか?」
「ううん、でも伊織君が飲めるのに私が飲めないのは何か悔しいかなぁって」
「そ、そうですか」
「そうなのです」
ゴリもそうだが、和葉さんも結構負けず嫌いだ。昔、マリオカー●をゴリと2人でやっていたところに混ざってきた。すると、和葉さんはh他くそなのに自分が1位になるまでやるとか言ってきた。おかげで俺とゴリはレースの地獄から抜け出せなかった。
そんなことを思い出して、少し笑ってしまった。
「ん?どうかした?」
「いえ、なんでも。つまみはどうします?」
「ん~刺身得盛りとかどう?」
「いいですねぇ~それとポテトサラダは外せませんね」
「確かに!じゃがバターとかはどう?」
「流石和葉さん!それもいきましょう!後、なんこつとから揚げと・・・」
「チョイスがおじさん臭いよぉ(笑)」
「うるさいです!(笑)」
俺たちはビールと結構な量のつまみを注文をした。
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「それじゃあ、え~と何に乾杯にします?」
「再会と伊織君との初飲みを祝してぇ!でいいいんじゃないかなぁ?」
「じゃあそれで。和葉さんとの再会と初飲みを祝してぇ!」
「「かんぱ~い」」
俺はグイっとビールを呷る。心地よい苦みが口の中に広がり、それを喉で味わう!
「くぅ~~~~~!!!うまい!!」
和葉さんはというとそんな俺の姿を見てポカーンとしていた。俺何か変なことしたか?
「す、すごい豪快にいくね」
若干引いていた。え?普通にショックで死にそうなんだが・・・
「すいません、ちょっと調子に乗りー」
「それが、ビールの飲み方なんだね!私も!!」
和葉さんは俺に合わせて、ビールのグラスを傾けて、ぐびぐびと飲んでいく!
「プハア!!!どう!伊織君!?」
「え?あっ、最高の飲みっぷりです!!」
「ふふん!!そうでしょぉ?」
でかいメロンが揺れる。万乳引力によって目がそっちに行ってしまうが、すんでのところで耐える。てか耐えないと軽蔑される。でも見たい!最強のジレンマの中にあっては何もできないと考えて俺は話を酒の話に無理やり軌道修正した。
「それじゃあもう杯頼みましょう!」
「おお!!じゃあついでにファジーネーブルもお願いしていい?」
「もちろんです!それなら俺も梅酒のロックを頼みます!」
「行け行けぇ~!」
俺たちはその後、若者特有のどれだけ飲めるか選手権が開始されて、味はいいからとにかくたくさん飲むモードに移行して滅茶苦茶盛り上がった。
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飲み始めて、1時間。俺は最近肝臓が強くなったので、大丈夫だが、和葉さんの方はだいぶ酔いが回ってきた様子だった。
「伊織くぅん」
「なんですか・・・?」
「もう1杯!!!」
「ダメです・・・」
「なんでぇ!!!」
「和葉さん・・・鏡で自分の顔を見てください・・・」
「う~ん?あれれ?上下反転してるよぉ?伊織君たらぁ~壊れた鏡を渡すなんてメッだよ」
「いえ壊れているのは和葉さんで可愛い」
俺は大人ぶって酔っている和葉さんに萌えを感じてしまって、阿保みたいなツッコミしかできなかった。
「伊織ぃ~」
「はい・・・」
「さ~けぇ」
「ダメです・・・」
このくだりをもう5回くらい繰り返してる。
「なら、伊織君がぁ、エッチなゲームをぉ、やっていることをバラしちゃうぞぉ」
「あれれ?和葉さんがなぜ知っているんですかぁ?」
「ん!!」
和葉さんがスマホを見せてくる。
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『姉ちゃん』
『ん~なぁに?』
『伊織からこんなゲームを無理やりやらされてるんだけど・・・」
画像
『え~と、伊織君も男の子だもんねぇ。莉奈ちゃんと趣味を共有したかったんじゃないかなぁ?』
『いやエロゲを共有って』
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「これはぁ、どういうことなのかなぁ?」
「違うんです誤解です俺がエロゲをやっていることはじじつなのですがエロゲをかそうなんておもっていたわけではないんですむしろこのゲームはエロよりも中身がじゅうようなんですさんヒロインのルートにわかれているのですがどれもみごたえがあっておもしろいんです後これはゴリがかってにもっていっただけで俺が無理やりかしたとかじゃないんですしんじてください」
俺は精一杯の言い分を通した。嘘は一個も言っていない。ゴリが勝手に持って行っただけで、俺は何もしていないんだ。だから、俺は無実と言いたかったのだが、
「この胸の小さい金髪の女の子が好きなんだぁ?へぇ~」
「違いますぅ!このゲームは原作が好きなだけで性的な目ではー」
「このエロゲをやっていることをぉ、バラされたくなかったらぁ、酒を頼めぇ!!」
もう話すら聞いてくれない・・・てかこんだけ大きな声で叫ばれたら俺の性癖が大暴露されてるじゃねぇか!!まぁもういいか・・・
「・・・ラストですよ」
「うんうん!!」
俺はため息をつきながら、ビールを2杯頼む。この笑顔で脅されたら何も言えんよ・・・
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「はぁ~美味しかったぁ!」
「さいですか・・・」
「若者よぉ?もっと飲んだ方がいいんじゃないかねぇ~?」
結局あの後3杯ほど和葉さんは飲んだ。酔ってテンション爆上がりの和葉さんだが、正直、ダル絡みになってきてちょっときついぜ。憧れのお姉さんの痴態をみて幻滅した気分だった。まあかわいいから許すけど。
「普段、こんなに飲まないんですか・・・?」
「う~んそうだねぇ、あんまり女友達がいなくてねぇ~飲むときは莉奈ちゃんとか身内だけでかなぁ~」
「それじゃあ何で俺を誘ったんですか?」
俺は当初からの疑問を投げかけた。飲みに行くだけなら俺じゃなくてもいいだろう。それなのに俺を選んだ理由は普通に気になる。
「ん~?それはねぇ、一番信頼している男の子だから・・・かなぁ」
ニッコリと純度100%の笑顔で俺を見ながら言ってきた。ズルいなぁこの人は
「そうですか・・・」
「うん!そうなんですぅ!」
俺は梅酒のグラスを呷る。そして、俺は今日、好奇心で聞きたいことがあった。だから俺は切り込むことにした。それは自分を傷つけるだけとわかっても、でも聞かずにはいられなかった。
「・・・それは彼氏以上にですか?」
和葉さんは笑顔で固まる。そして、困ったような顔になって、
「彼氏とは飲まないんだ・・・」
「・・・そうなんですか?」
「うん・・・」
和葉さんは言葉に詰まっていた。俺はこうなることが分かっていながら聞いてしまった。ズルいのは俺の方なのかもしれないな・・・
「私さぁ、だらしのない男としか付き合えないんだぁ」
ぽつりと和葉さんは零した。
「そう、ですか・・・」
俺は和葉さんに同情するというより、付き合えた男がうらやましくてしょうがなかった。
「私と付き合った人間は例外なくね、顔とスタイルの良い女と付き合っているっていうステータスがほしいんだってさ。ひどい話だよねぇ。美人は好きでも、私という個人には興味がないんだからさぁ」
和葉さんは困ったような悲しそうな笑顔をしていた。俺は昔この人に告白しているが、動機は顔に惚れたというそこらの馬鹿と同じようなものだ。俺は和葉さんから糾弾されている気分になった。
「じゃあ、その、今の彼氏とはうまくいっていないんですか?」
「そうだねぇ~、だらしがないし、ギャンブラーだし、私に中々かまってくれないねぇ」
「それならー」
「でも、好きなんだから仕方がないよねぇ。私も今までの彼氏と同じでダメな彼女なんだよ。好きな男と飲みに行くのを怖いと感じちゃう臆病な、ね?」
その顔は俺が終ぞ見れなかった顔だった。ああ、本当にこの人は今の彼氏が好きなんだなぁ。嫉妬と羨望しか湧かない。羨ましいなぁ、俺も和葉さん好みの人間になりたくてたまらないよ
「まあ伊織君はその中でも特別だけどねぇ~」
「え?」
「なんてったって私が初めてフッた人だもん」
「光栄ですね」
「ああ~怒ってるぅ?」
「怒ってませんよ」
「嘘だぁ」
俺はちょっとムカッとした。初めてフッたなんて言われても困る。俺はこの流れでこのネタでいじられるのは本気で勘弁願いたいと思った。
「特別っていうのは本気だよぉ。だって本気で私のことが好きだったでしょ」
「そんなことはありませんよ。俺も和葉さんが付き合った今までの彼氏と同じですよ」
「違うよぉ」
「は?」
和葉さんが俺の意見を否定してきた。いや、否定されてもどう考えても俺の動機は和葉さんが付き合ってきた歴代の彼氏と同じだろう。
「だって、莉奈ちゃんが認めた男の子だもん。あの子は否定するけどシスコンだからねぇ、そんな邪な気持ちの人に私の連絡先を渡さないよ」
「そ、そうですかぁ」
「あの子は今も伊織君を茶化しているけど、当時の伊織君を本気で応援していたんだと思うよぉ。だって今も含めてだけど、私の彼氏を認めた時って一回もないからねぇ」
「・・・」
俺はグイっと最後の一気飲み。これが最後だ。もうこれ以上未練を残すのをやめよう。
「じゃあ何で俺はダメだったんですか?」
俺は素面では絶対に聞かないことを聞いてしまった。あーあもう戻れないなこれ。和葉さんは困ったような笑顔をして、
「ごめんね。君のことは弟としか見れないんだぁ」
ただそれだけだった。その一言だけで俺はダメだったことがわかった。わかってはいたけどやっぱりきついなこれ・・・
「グスっ」
「ちょっ、泣かないで!」
「な、泣いてません」
俺は目から汗が出てきているだけだった。後20分くらいは汗が流れ続けるだろう。ただ、今だけは許してほしい。これで初恋を終わらせるから・・・
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「大丈夫?」
「・・・大丈夫です」
心配そうに俺を和葉さんが見つめていたが、俺は下を向いたまんまだった。目から出続けた汗がようやく止まった。目が真っ赤になっているが、それは汗の発汗作用だ。
「それじゃあ行きましょうか、会計はやっておくよ」
「え?いや、それは悪いですって・・・」
「いいからいいから楽しい時間を過ごせたから奢らせてよ」
「でもー」
「年上に格好つけさせてくれないのぉ?」
それを言われたらおしまいだ。俺は頭を下げて、ご馳走になった。
外に出ると、心地の良い風が吹いていた。夏真っただ中でも夜だけは涼しいんだから憎めない。皮肉なもんだ。
「ごちそうさまでした」
「いえいえこちらこそ楽しかったよぉ。それじゃあ解散だけど、伊織君はどうする?実家に帰るの?」
「俺は今の家に戻るつもりです」
「そっかぁ、じゃあここで解散だね」
「はい、あ、俺コンビニで買ってくるものがあるので、ちょっと行ってきます。和葉さんは先に帰ってもらって大丈夫ですよ?」
「そう?ならここで待ってるよ」
「え?悪いですよ・・・」
「気にしないでいいよぉ。ここで待ってるから早く言っておいで」
「そうですか・・・」
俺はコンビニにダッシュで寄った。
シャー心とボールペンが全くなくなって、勉強ができなくっていたのだ。俺は書かないと暗記等ができないので、ボールペンやシャー心は必須なのだ。後は油性のペンが欲しかった。段ボールが多くなってどの箱にどのエロゲが入っているかを識別するのに必要だ。
「あっ、そうだ」
和葉さんに奢ってもらったから、何か飲み物でもお返しすればいいか。散々迷惑をかけたんだからそれぐらいはな・・・
俺はセルフレジに通して、急いでコンビニを出た。すると、
「どういうことなの慎吾!!」
和葉さんの怒号が夏の夜に飛び交っていた。
『重要なお願い』
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