ウザ絡みと最悪の再会
完全に壊れた伊織をどうぞ!
俺は夢心地だった。昨日の夜、ゴリのお姉さんである和葉さんに飲みに誘われてしまったのだ。家の中で何度もLIN●を確認しては夢ではないことを確認した。
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『伊織君~久しぶり、今度飲み行こうよ~』
『行きます!!地球の裏側だろうと海の向こうだろうとマントルの中でもお供します!!!』
『大げさだなぁ(笑)』
『大げさじゃないです!和葉さんと飲みに行けるなんて夢みたいです!!』
『も~う(笑)でも、そんなに言ってくれるなら誘ったかいがあったなぁ』
『はい!ありがとうございます!!』
『莉奈ちゃんも誘おうと思うんだけどいい?』
『ゴリなら忙しいって言ってましたよ?』
『そうかぁ~なら2人で行こうかぁ』
『はい!楽しみにしてます!』
『ふふ、それなら明後日とかどう?空いてたりする?』
『空いてなくてもこじ開けます!』
『あんまり無理しないでねぇ~』
『はい!!!』
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憧れのお姉さんとの初飲み~、いやぁ舞い上がっちゃうなぁ、あっ、後ゴリに連絡しておかないと!
俺はすぐさまゴリにメッセージを送った。
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『ゴリ重大発表!』
『おっどしたん?』
『和葉さんと飲みにいくことになった!!』
『おーおめでとう~、あれ、姉貴のやつ彼氏とどうなったんだ?』
『グフ」
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俺は完全に失念していた。そうだった。和葉さんには彼氏がいるんだった。先日ゴリとバッティングセンターに行くときに車中で聞いた話だった。あまりにも辛すぎて、俺は記憶に封を貼っていたことを思い出した。
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『すまん致命傷だった』
『全然大丈夫じゃないじゃん』
『生きていれば前を向けるのさ』
『そう、その前向きさは伊織のいいところだと思うよ』
『サンキュー』
『おう』
『じゃなくて!俺は何をすればいいんだ?』
『というと?』
『決まってんだろ!デートのために何を準備をすればいいのかだよ』
『あー普通の恰好でいけばいいじゃない?』
『馬鹿野郎!和葉さんの前でそんな恰好でいったら失礼だろうが!!!』
『伊織はうちの姉貴をなんだと思ってのさ』
『え?神かイデア』
『同じ血を引いているんだから、その尊敬をもう少し私に向けてくれてもいいと思うのよ』
『ええ~絶壁神(笑)にはいつも敬意を払っているじゃないですかぁ(笑)』
『姉貴にエロゲのジャンルをばらすぞ?(#^.^#)』
『すまんすまん(笑)』
『あれま、今日はいつになく強気だね?死期でも悟ったん?』
『式でも悟ったん?だって!?ゴリ~、その話はまだ早いよ(笑)』
『妄想が視力を超えちゃってるよ・・・』
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俺はゴリとの会話で滅茶苦茶浮かれていた。和葉さんと会えるだけでうきうきとワクワクが止まらん。家の中を掃除しながら、スキップと鼻歌が止まらん!Vaund●の『花●い』をずっと口ずさむくらいには世の中がばら色に見えてしまっている。
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『で、ゴリ』
『ん?』
『お義兄さんからの頼みなんだが・・・』
『誰が義兄だよ。その世界線だけは一生来ないよ』
『何着ていけばいいかな?』
『だから、普通のを着て行けって』
『燕尾服とかでいいかな?今持っていないんだけど・・・』
『話聞けよ馬鹿、普通の恰好で行けや』
『IKE●で選べってことか・・・なるほどな』
『ツッコミを誤変換するんじゃねぇよ。もうこの会話をやめたいんだけど』
『義兄ができるかどうかの瀬戸際なんだぞ!?義妹!?』
『伊織だけには妹扱いされるのは苦痛なんだけど』
『ちくしょう!!時間がいくらあっても足りねえ!何が正解なんだ!!』
『おやすみ~』
『おい!まだ昼の12時だぞ!?』
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俺は仕方なく『IKE●』に来た。ゴリはあれから連絡をしても一向にでない。そして、翔子に連絡を送ったのだが、
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『翔子、和葉さんとのデートで何を着ていけばいいと思う?』
『さあ』
『ちょっと真面目に答えてくれ』
『さあ』
『頼むよ翔子ちゃ~ん』
『殺すぞ(≧▽≦)』
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ダメだった。ったく俺の相談くらいはたまには聞いてほしいぜ。
俺の一世一代の大勝負。俺はゴリからもらったヒントにここにたどり着いた。ネットで調べたが、センスがない、もしくは、あまり服を選ぶ習慣がない人は店員さんにどんな服を買えばいいかを聞くといいと言われた。俺は本気で和葉さんとのデートのために命を賭けている。だから認めよう。俺はセンスが全くない!そんな俺が自分の感覚で選んだとしても失敗することは火を見るよりも明らかだ。
優秀な店員さんよ!我に力を
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ウイ~~ン
自動ドアが開く。すると、服の嵐に巻き込まれた。多すぎる!俺は服の多さにビビっていると、
「いらっしゃいませ~」
センスの良い恰好をした女性店員が来た。これは期待できるのでは?
「すいません、ちょっといいですか?」
俺はこの人にすべて賭ける!
「はい、どうかされましたか?」
「あの、明日女神に会うのですが、それに見合った格好を見繕ってほしいのです」
「は?」
女性店員さんが完全に笑顔で凍る。営業スマイルは鉄壁だな。あれ?何かおかしいこと言ったか?
「あの、どなたに会うと?」
「女神です」
「そうですか・・・少々お待ちください。エース店員を呼んできますね」
「ぜひお願いします」
あの店員さんではやはり荷が重かったか・・・だが、エースを呼んでくれると言ってくれた!その点は評価したい。
「お待たせしました。あれ、伊織さんじゃないですか!?」
「お、お前は!」
そこに現れたのは、花見将だった。俺の尻を狙ってきた『まねく猫』の店員がなぜここに!?
「覚えていてくれたんですね♡」
「今さっきまで記憶のそこで封印していたわ!!ええ~い!くっつくな!!」
俺に抱き着こうとしてくる花見をなんとか手で静止する。
「ええ~と、お2人はどういうご関係で?」
この女性店員すげえ有能だ。どんなときでもマジで笑顔にヒビが入らない。
「ボーイフレンドだよ♡」「レイプされ未遂です」
「そ、そうですか、ではごゆっくりぃ~」
女性店員はどっかに行ってしまった。お、おれあなたに選んでいただきたいのですが!!!
「それで、今日はどういったご用件で?」
「・・・デート用で見繕ってほしかったんだが・・・ってなんで泣いてるんだ?」
「伊織さんが、僕とのデートのために服を選んでくれるなんて・・・感動しちゃって、グス」
「違うお前じゃない!耳が壊れているので、耳鼻科に行きましょうね?」
「伊織さん初めて名前を呼んでくれましたね。嬉しい♡」
「語尾を誤変換するのをやめていただけませんか!?あれこれなんかデジャブ?」
昨日ゴリにそんなことを言われたような気が・・・まあいいか。そんなことより、目の前の危機を乗り越えねば!!
「それじゃあ服を選びましょうか。二人で♡」
「やめろぉ、俺はそっちの人間じゃないんだよ!!」
「最初はみんなそう言います」
「俺は屈しないぞ!」
「いい声で鳴きそうですねぇ♡」
俺は人生で2度目の尻を狙われる恐怖を味わっている。
「俺は憧れのお姉さんとデートをするんだよ!!!!」
俺はIKE●の店内に響き渡る音量で、叫んでしまった。すると、店内の人たちから拍手と生暖かい視線を頂いた。やっちまったぁ!!ま、まあこれで花見将が諦めてくれるなら・・・
「そんな、伊織さんが、僕以外の人とデートなんて!一体どんな男なんだ!」
「ルビの下に何かおかしい文字が見えた気がするんだが・・・一応もう一度言っておくと、お姉さんだからな」
「わかってます!オネエさんですよね!」
「違う!文字はすべて合っているが意味合いが違いすぎる!!」
「これがNTR!NTRは得意だが、こんなパターンは初めてだ!」
「あっそ、それなら早く服を選んでくれ」
「だが、それもいい!俺の大切な伊織さんが他のオネエさんと仲良くしていると思うと興奮が!ハアハア」
「絶対に地獄に落ちてくれ!」
そんなこんなでIKE●で騒動を起こした迷惑店員と迷惑客として後日、●witterに晒されるのだが、それは別のお話。
「では、俺が伊織さんを完璧にプロデュースしましょう」
「大丈夫か・・・?正直、お前に対する信頼はゼロなんだが・・・」
「また名前を///コホン、大好きな伊織さんに恥をかかせるわけにはいきませんからね」
「おれもっと日本語覚えないと、いちいち勘違いさせちゃうな。なら、任せるよ」
「はい!」
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5分後
「これなんてどうですか?」
「こ、これは!?」
全身真っ黒コーデ。夏なのに長袖長ズボン!服の真ん中にはドラゴンと謎の横文字がたくさん!そして、なぜか付属品でついている黒ネクタイ。さらにトドメの肘と膝の部分が破けて、謎の肌出し!ベルトの真ん中にはドクロのマーク。
俺は、
「すげぇじゃねぇか!将!お前センスありすぎ!!」
感動していた。クソ鬼畜やろうかと思っていたが服を見る目はあるらしかった。
「お、お褒めに預かり光栄です!というか格好いい!!!結婚してください!!」
「悪いがそれは無理だ!!だがこのセンスの良さだけは誉めてやろう!!」
「ありがとうございますぅ~」
将が選んでくれている間、他の店員や客も俺たちを見ていたことに俺は気が付いていなかった。その人たちの心は
「「「「「クソダサい」」」」」
だった。では将がわざとダサい服を選んだかと言うとそういうわけではない。伊織の好きなところが、
『まず、この寝癖。全く髪を綺麗に洗っていないからおこる現象ですね。そして、この顔、自己肯定感が高いせいで本来は真ん中よりも下の下の下なのに、中間くらいの自己評価をしています!さらに見てください!この目。死んでいます。ブラックホールにすべての虹彩が持ってかれたんじゃないかと言うくらいですよね。こんな人間初めて見ました。それと何よりもいいのがこのツッコミです!最高に滑っているのにどや顔で決めたぜと勘違いしているのが最高ですね!』ということだ。
つまり、将は伊織のダメなところが大好き♡そして、伊織も服選びのセンスはゼロ。つまり、そういうことだった。
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「お会計ありがとうございましたぁ、くっ、俺の大好きな伊織さんが別のオネエさんのために服を選んだと思ったらつらいが、俺に一番最初に見せてくれたと思えば!!」
「何を勘違いしてんだよ馬鹿野郎。だが、将。お前のおかげで助かったわ。また今度頼む」
「ありがたき幸せ!」
俺は大変満足して、家に帰った。そして、ゴリに今日買った服装の写真を送った。
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『ゴリ!おはよう!どうだ?似合っているだろ!?』
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「おや?」
既読は付いたのだが、メッセージが返ってこない。さては、俺が似合いすぎて、感想を言うのに照れてるんだなぁ~全くゴリも可愛いところがあるじゃん!
と思っていると、画像が送られてきた。
そこには
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『はい。伊織が中学2年の時に来ていた服装だよ。今とそっくりだね(笑)」
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俺はそのあどけなさが残る当時の自分と鏡に映る自分を比較した。そして服を脱いで綺麗に畳んだ。
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『ゴリさん、明日着ていく服を選んでください』
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俺は裸で土下座している画像を添付してゴリにお願いした。
結局、ゴリの言う普通の服装を選んでおいてよかったなぁと思う伊織であったとさ。
次回は和葉さんとの飲み会です!
『重要なお願い』
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