邂逅
修羅場展開は楽しいなぁ。リアルでも遭遇してみたい。
「伊織先生こんにちはぁ!返信がないので来ちゃいました♡」
「おはよう・・・なんでここにいんの?こやm「翔子」翔子?」
俺はいつも通りの訂正を受けて、名前呼びをする。そして、わざとらしく不満げに
「ああ~先生ったら私のLIN●を見てなかったんですねぇ?」
「LIN●?」
俺はスマホを開いて、確認する。すると、LINEを閉じたすぐ後に翔子から連絡が来ていた。
「ごめん、マジで見てなかった」
「まあ、その様子なら本当にそうなんでしょうねぇ。仕方がないので許してあげましょう」
翔子が胸を張って許しくてくれる。絶壁のゴリよりも形の良い胸がプルンと揺れてなんとなく目線を下に下げた。
「先生マジでドン引きです」
翔子がマジでゴキブリを見るような目でこっちを見てくる。女性って自分への視線に敏感なのって本当なのな。特に翔子なんて可愛いからな。常にいやらしい視線にさらされていそうだ。俺みたいに空気になればいいのにな。
とりあえず言い訳だけはしておこう。
「万乳引力に勝てる男なんていないんだよ。翔子」
「自分を正当化しないでください。司法の前では無力なんですよぉ?」
「こんな国間違っている!!!」
俺と翔子は玄関でそんな会話をしていた、が、翔子も新しい運命(笑)に出会えたらしいので、俺は快く送り出してやることにした。
「それじゃあな、翔子。今日のデート頑張れよ!」
じゃあなといって扉を閉めようと思ったのだが、途中で止められてしまう。
「あは♡何勝手に閉めようとしているんですか先生?」
「何ってもうやることなんてないやろ?」
それとも俺が何か翔子に対して、やらかしてしまったことなんて・・・結構あるけど、緊急性の高いものはないはずだ。
「それより私の恰好。どうですかぁ?昨日先生に見せたコーデですけど生で見るともっと可愛いでしょぉ?」
翔子は俺の前で一回転して、俺に見せてきた。相変わらず魅せ方がうまい。
今日の翔子のコーデは、白色のフリルブラウスにデニムのハーフパンツだ。首に月のネックレスをしていて、ピンクのシュシュで肩くらいの髪をポニーテールにしている。
「似合っているぞ」
「20点で~す。昨日愛を囁けと言ったのに、全く忘れていた分減点。全く記憶力が悪いんですから~」
やれやれ~とジェスチャーをやりやがったので、若干イラっとした。
「そのセリフは彼氏に言ってもらえって。その方が嬉しいだろ?」
「先生は別腹でぇ~す。なんてったって初めてのヒトなんですから///」
「うちの壁って薄すぎてな。隣の声が良く聞こえるんだよ」
「そうですかぁ~彼女がいるアピールができてよかったですねぇ!虚構だけど・・・(ボソっ」
「そのアピールは巡り巡っておれに返ってくるから、遅効性の毒なんだわ。後、最後の一言もこんだけ近ければ聞こえないわけがないんだよ」
「わざとなんで問題ありません(笑)」
「な☆ぐ☆り☆た☆い」
俺たちは馬鹿なことを玄関先で話していた。本当にこいつはなんで来たんだ?駅も定期圏外のはずだから電車代だったかかっているはずなのに。
「とりあえず、中にいれてくださいよぉ。後、麦茶はキンキンに冷えてないと嫌ですぅ」
「ったくしょうが・・・あっ」
俺は忘れていた。今ここにはゴリがいる。いやでも全く問題はないのでは?別に彼女ってわけではないし。だけど、なんだろう・・・先客の女がいるのに、全く別の女を入れるってもの凄く罪悪感がある。ゴリはまだ寝ているし、下手したら変な誤解を受ける。どうする!?
「先生どうかしたんですか?」
翔子が純粋な瞳で俺を下からのぞき込んでくる。だから俺は平静を装ってcoolに返答することにした。
「べっべべべべ別に、ななっななななななんでもななないぞぉ」
「怪しすぎて何も隠せてませんよ?」
なんだと!?俺のcoolすぎる返しが完全に読み切られただと?翔子が笑顔で扉に近付いてくる。そして、
「伊織先生」
「な、なんだ?」
翔子はとびっきりの笑顔で俺と目が合う。俺は冷や汗しか出てこない。そして、一転真顔になって、
「開けろ」
「ヒぃ」
翔子が物凄いドスの利いた声で俺に命令をしてきた。そして、半開きの扉を無理やり開けようとしてドアに手をかけてくる。
「だ、だが断る!!」
「なっ!」
俺もそれに対して真っ向から反撃する。これには翔子も驚いたようだ。いつもはこのドスを利かせた声に対して、反撃するなんてことはない。俺も飼いならされた犬のように反射的に開けようとしかけたが、それでも脳内で理性が勝った。
「そ、そんなに抵抗するようなら、先生のエロゲを大声で暴露しますよぉ!」
「グフ、そ、そそそそそれでもダメだ」
「なっ、今日の伊織先生はしぶといですね。それなら、さっき私のおっぱいを見て、興奮していたことを生徒に伝えちゃいますよ!?特に女の子に!!!」
「グフ、それ・・で・・・もダメ・・・だ」
「そん・・・な・・・・」
翔子が諦めかけていた。ついに俺の勝利だ。俺は黒歴史と言う名の業を背負うことになったが、それでも守らなければならないことがここにはある!俺はそれを守り切ったのだ。これでー
「うっせぇぞ!!」
「「ヒぃ」」
隣に住んでいる住人が出てきた。俺と翔子は2人で滅茶苦茶ビビってしまった。だって、となりにいるのが金髪パンチパーマのガチの強面なんだもん・・・あったことがなかったけど、こんな怖い人が隣の住人なのかよ・・・
「昨日の夜から2人で叫びやがっておかげで全く眠れなかったぞ!」
「すいませ~~~ん!!」
俺は腰を90度に曲げてしっかりと謝った。昨日の夜、ゴリとモンハ●と昔話で盛り上がりすぎた。ところが翔子は俺と違って考え込む仕草をしていた。
「あのぉ~すいません。今2人でって言いましたか?」
「あ?ああ」
「へぇ~、どんな声でしたか?」
「こいつの声と女の声がしたな」
「なるほどなるほどぉ~それは何時くらいまで聞こえたんですか?」
「朝の6時くらいだったと思うぞ」
「へぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
翔子が意味ありげな『へぇ~』を唸っている。そして、首だけぐるりとこちらに向けて笑顔で
「吐け♡」
「ヒぃ!!!!!」
お兄さんの恫喝よりも圧倒的に怖い。ハイライトさん、仕事してくれ。
「お、おい、その君は今日の朝まで騒いでいた女じゃないのか?」
「はい!私はついさっきここに来ました。この人にとっては初めての女です!」
「おいおいおいおい!!!言い方!!語弊があるぞ!!!?」
「おい!!!」
「はい!!!」
お隣さんの恫喝には反射的に反応してしまう。そして、胸倉を掴まれて、突然涙を流された
おれはぎょっとした。が、そのままお隣さんは話を続けた。
「俺はよぉ~実はあんたのことはずっと前から知っていたんだぜ・・・」
「はぁ、あ、ありがとうございます」
俺はどこで会ったんだと振り返ってみたんだが全く記憶にない。
「実際に面識を持ったのは今日が初だよ」
「そ、そうなんですか・・・じゃあどうして」
「お前が朝方プレイしているゲームの音声が聞こえてくるんだよ!!!」
「ななななななんででででですとぉぉぉ!!!!???//////」
俺のプレイしているゲームが聞こえていただと!?確かにイヤホンを付けずにやっていたはずだが、限りなく小さい音だったはずだ。なのにどうして!!!その答えは、すぐに告げられた。
「俺もプレイしているからだよぉ!!!」
お隣さんの玄関にはエロゲが積みあがっていた。
「こ、これは!!!?」
「俺はな!!!あんたのことをずっと2次元に恋した同志だと思っていたんだよ!!!!」
「お、お隣さん!!!!」
「なのにどうだ!!!お前は最近リアルの女を家に連れこんで2股しているだとぉ!?しかもこんな可愛い子を放っておいて!!!許せるかそんな悪行!!!」
「ご、誤解ですぅ!!というかぜひ仲良くしてくださぃぃ!!!」
「うっせえぇ三次元好き。『義姉のススメ』で『お姉ちゃん・・・』と呟いていたお前に対して、シンパシーまで感じていたのによぉ!!!!」
「全く壁が機能していないですぅ!!!ちゃんとしっかり仕事しろよ!レオパレ●!!!」
俺は思わぬところに同志を見つけたのだが、完全にリア充だと勘違いされてしまっている。お隣さんは羨ましすぎて、血涙が流れ出ている。
「このクソ野郎が!!!地獄に落ちろ!!俺はエロゲの海に沈んでやる!!!」
「ぜひ俺も連れて行ってくださあああああい」
それを皮切りに、お隣さんは扉をばたんと閉めてしまった。まさかこんな身近に同志がいるとは。後で誤解を解いて仲良くなろ。
「おい・・・私に気持ち悪いことだけ聞かせて気持ち良くなってお帰りですか先生?」
「ですよねぇ」
このまま流れで部屋に戻れるかと思ったんだが、全く無理だった。翔子は完全に真っ黒の瞳で最大限の笑顔でこちらを見ていた。コントラストって表現をより強調するよなぁ~
「彼氏と遊んでくれば?」
なお逃げようとするが、
「ん」
「ん?」
俺はスマホを見せられた。
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『エロゲ好きの人に痴漢されたので、別れよ。さよなら( ;∀;)』
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「いくらなんても俺と彼氏に悪いとは思わんの?」
「私は精神的苦痛を受けたので全くですぅ」
俺はまだいいけど(よくないけど)彼氏がかわいそすぎる・・・
なんてことを考えていると、部屋の奥からヤツが来てしまった。
「ん~うるさいなぁ、伊織~どうかしたのぉ?」
寝ぼけ眼でゴリはへそを出して、ポリポリとおっさん風味を出しながら出てきてしまった。
まだ寝足りないのだろう。ただ完全に無防備なので、謎の色気を発していた。
「おい~伊織~ん?」
ゴリは見てしまった。翔子を。時が止まってしまった。
翔子は玄関でニコニコ。俺はガクブル。ゴリは何が起きたのかよくわかっていない様子。
とりあえず、
「家で話そう」
俺は家の中に翔子を招いて、ご近所に変な噂が広がらないようにした。
『重要なお願い』
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