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めんどそうなお嬢様登場、ですわっ!

最近書いて無さ過ぎて書き方忘れました。多分変な感じになってると思う。

あーーー誰かタイトルのセンスを分けてくれぇぇーーーー

穂高友莉(ほだかゆり)、わたくしと勝負なさい!!!」


昼休み開始の合図と共にお嬢様軍団に机を囲まれ放たれた言葉。

私、穂高友莉、なんかやらかしたかもしれません…。


「(チャイムっていつの間にか試合開始のゴングに変わったのカナ‥?)」


おどおどしながら見上げると、めっちゃキツそうな中心人物であろう縦ロールお嬢様に親の仇の如く睨みつけられる。


ピりついた雰囲気に、ただでさえうまく話せない口が強張っていくのを感じた。

…本当に、ここにきてコミュ障の本領を発揮してしまう自分に嫌気がさす。

こういう時に役立ちそうな日向さんもお弁当競争の為に購買に駆け出してて居ない。あ”ーもうどうすればいいんだァァ!!!


「どっ…ぁっと、何か私に御用でしょう、か‥?」


震えながら何とか絞り出した声は掠れて我ながら情けないものだった。

縦ロールお嬢様が目力を更に鋭くしながら、こちらに一歩歩んでくる。


「ひっ…」


と声を上げた刹那、目の前の彼女が私の机を思いっきり叩く。


「(あ、これ、あかんやつ)」


鋭い高音に、私がしょーもない覚悟を決める。‥よりも先に目の前のお嬢様が口を開いた。


「…そう、これは宣戦布告!わたくしの名前は西園寺流歌(さいおんじるか)!日向お姉さまファンクラブの代表取締役ですわ!!!」


…なんか聞いたことないファンクラブの名前が聞こえたような気がしなくもないが。思いのほか丁寧な挨拶に緊張が徐々に解けていくのを感じた。


「西園寺…さん?私が何かやらかしたのなら直しますのでどこが…」


「っ…そんなのッ!‥‥全部に決まってますわッッッ!!!!!!!!!!!」


突然の耳元デカデカ高音ボイス!友莉に30のダメージ!


「隣の席だとか親しく話している様子だとか、てっ、、、」

「…て?」


突如俯いて黙り込んだ西園寺さんに、覗き込んだ私は息を呑んだ。

その紫色の瞳は涙で彩られていて、


「‥だ、だいじょ‥」

「手を繋いで走って登校するなんて‥‥ッ!!!!!!!!!!!!!!!」

私がハンカチを差し出す寸前に、耳元デカデカ高音ボイス(二回目)!


…ん?

手を繋いで登校ってきっと駅、でのこと、、



「いや何処から見てんだーーーーーーーーー!!!!!!」

「遅刻しなかったからセーフ―ッ!ですわ!!!!!!!!!!!」


重なるデカデカ高音ボイスに、無事に教室から強制退去されられた二人であった。






場所は旧校舎三階の空き教室。

夕日の差し込む教室で向かい合う、西園寺流歌さんと私。

一体これから何が始まるのか、私がごくり、と喉を鳴らせば、目の前の西園寺さんはフッと勝ち誇った笑みを浮かべた。こうして向かい合えば、嫌でも相手を見ることになる。これから始まるであろう駆け引きや頭脳戦に備えている(ように見える)西園寺さんに対して、私が考えていたこと、それは


「(いや顔面偏差値高いな、日向さんと並んだら映えそう、、、ひなるか、か?それとも、るかひな…)」


ばっこし百合であった。またの名を現実逃避とも(以下略)

んなアホな、と思う反面、いやこれは必要なことなのだと頭を切り替える。


「(私が今するべきは日向さんに被害が及ばないようにすること。西園寺さんの怒りを全て私にぶつけてくれれば私は駄目でも日向さんは無事なはず‥!)」


何とも自己犠牲的な愚かな発想。でもそれで良いのだと、そっと頷く。

その姿勢こそが真のヲタクなのだ…!と己に酔っていると、西園寺さんがやっと口を開いた。


「穂高友莉…」

「ースゥッ…、ええ」


キリっとさせた視線をゆっくりと通わせる。それはさながらラスボスとの最終決戦。そう、私はここで全て懸け…


「私と”日向お姉さましゅきしゅき対決”をしなさい…!!!」


ようとした直前にシリアスモードを全て開放した奇妙な言葉が私の胸を殴った。

そっ、と手を差し出し、西園寺さんの白い指に自らの指を沿わせる。

「んな…っ」

困惑する西園寺さんを前にたっぷりと静寂を飲み込んで答えた。


「……喜んで」



爛々と輝くその瞳は、戦場で同志を見つけた兵士のようだった。






「……いや、なーんこれ」


旧校舎三階のとある空き教室の前の廊下。

そこに佇むすらりとした細身の女子生徒、真宮日向(しんぐうひなた)

ある者はそれを見て「夕日の妖精の様だ」と呟いたかもしれない。

何故なら、彼女の髪や瞳が、夕日に溶けてしまいそうな程ぴったりだったからだ。

‥いや、ある者なら「は?日向さんは何にでも似合いますけど?」とキレるかもしれないが。

そんな彼女がこんな空き教室の前の廊下で盗み聞きをしている理由は只一つ。

愛しの友莉ちゃんがヤバめな縦ロールお嬢様に強制連行されたからだ。

内心、暴力被害があったら力尽くで止めようと、戦闘態勢に入っていたのだが‥、

結果的にはそんなことは必要なかった。


「日向さんの流し目が美しい、クールな中に残る熱っぽい瞳がー‥!」

「なにを言っていらっしゃるの?日向お姉さまはまず瞳の色がー」

「そんなの義務教育でしょ?馬鹿なの??」

「ハァーーーーですわ!?まじで有り得んですわ!基本的なことこそ大切なのに!」


うん、そして内容が気まずい。ついでに西園寺さんのお嬢様言葉が壊れかかってる。


「じゃ、じゃあアレですわ!知識対決といきましょう!」

「…フッ、知識で私に勝るとも??」

「グッ…!舐められては困りますわ、わたくしを甘く見ないで貰えますの?」


比喩じゃなく火花が散ってきそうで普通に怖い。…ま、まぁ友莉は大丈夫そうだしここはひとまず退散…


「第一問!日向さんのカップ数は?」

「ちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょい」

「…っ、日向さんどうしたんですか?」


きょとん、とした顔でこちらを見上げる友莉。

照れも混じりながら、止められた理由が分からないというように困惑の色を滲ませる表情で視線を絡ませる。はーくっそ可愛いかよ。…じゃなくて。


「いや第一問でそれは攻めすぎでしょ、いや第一問じゃなくても止めて?っていうかそこは西園寺さんが問題出す所でしょ、なんで友莉が出してんの」


うーん我ながらツッコミ回数多い。っていうかこれに関してはツッコミどころが多い友莉が悪いと思う。


「そっ、そうですね、第一問からは止めておきます…第一西園寺さんの実力では到底無理な問題ですし」


前半と後半で言葉を向ける相手の違いが分かりやすすぎる友莉、その挑発に乗っかってか、西園寺嬢が閉ざしていた口を開いた。


「…A」


「は?」

西園寺さんの呟きに、私は口の端から言葉が漏れ、友莉が眉毛を震わせる。


「…Aカップ…、ですわ(キリッ)」


キリッ…


キリッ…




じゃねーんだわ!


「えっえっえっちょっとなんで西園寺さん知って…っ?!」


勝ち誇った笑みを浮かべ、縦ロールをヴァサッっとする西園寺嬢。

何か言いたそうな友莉。


場は混沌を極めていた。




「‥‥それで?」


やっと口を開いた友莉はそんなことを口にした。


「何‥ですの、まさか答えが間違っているとでも?」


煽るように西園寺嬢が言う。


「それは答えの全てではない、そう、続きがあるはず」


その西園寺嬢にも屈せず、冷徹な表情を保ったまま友莉が告げる。



「その答えは‥‥」



「こた‥え‥っ?」


困惑の色を隠しきれない西園寺嬢。


「そう、それは…‥




 B寄りの…Aカップ…!」




「ゥオェイ!!!!!」

「ゥゴホヘェ!!」


ハッ、思わず友莉を全力ラリアットしちゃった!(棒読み)

慌てて見ると、友莉は一時的に失神している様であった。死んでは居なさそうなのでひとまず安心。


「ーーーっーへ」


ん?なんか言ってね?


「へへ…日向さんが一匹‥二匹‥へへへ」


無言で死なない程度に優しく頭をブチ殴る。


「…っし」


その間、ずっと無言を極めていた西園寺嬢に目を向ける。


「っすぅ、っすぅ、っすぅ、っすぅ」


…どうやら規則的に呼吸をしているらしかった。

目を見開いてどこかを虚ろに見つめている表情は、普通に怖い。

これが尊死しない様に己を保っているのか、私と同じ空気を逃すことなく吸おうとしているのかは、初期のストーカーでしかない自分には判別出来ない。恐らく両方であろう。


まーいっか放っとこ


簡単に思考を途切れさせると、友莉の身体を優しく持ち上げる。

”お姫様抱っこ”とかなんとか、妙に気恥かしい名称の抱きかかえ方だった気がする、多分。


さっきの友莉を振り返りながら、そっと、聞こえないように、そっと呟いた。



「…やめてって言ったのに、敬語。







 …‥‥‥‥‥次は許してあげない」




言葉の余韻を掻き消すみたいに、乱暴に戸を開けて空き教室を出た。







もっとも、特定人物のことになると聴覚が良くなるバフ持ちにはばっちり聞こえていたが。


「っ…‥はっ、はっ、はっ、はっ」


息を荒くして真っ赤に染まった頬に手を重ねるのは先程まで友莉とバチバチにバトルしていた西園寺流歌、其の人だった。


「っ‥なっ、なに、いまの…」



『ー‥、次は許してあげない』



甘えを帯びた可憐な声。

憧れた日向お姉さまの意外な一面に、胸が揺さぶられる。


「…っそんなのっ、好きになっちゃうじゃない…っ」


でも、それはいつもの彼女だけではなく


「ーーーーっ、あの二人のこと…!!」


その隣に並ぶのは憎いはずのあの人で。



「わた、し…っ!」



流歌の心に初めて、百合が生えた瞬間であった。





ーー次の日ーー


「日向‥っ、やっぱ敬語なしはちょっときついよ‥」

照れたように目を背ける友莉。

「えー?もっと聞きたいなぁ?」

そんな様子を愛らしそうに見つめる日向。


そんな二人と曲がり角でぶつかりそうになった流歌。

予期せぬ遭遇第一弾。


「「「…」」」


何とも言えない空気の中、口を開いたのは流歌であった。


「おはようございます、日向お姉さま、()()()()()()


その瞳や言葉に悪意はなく。

代わりに、曇りなく透き通った微笑みがあった。



気が付かぬうちにどこかのVさんに影響を受けてるかもしれない‥。自分の中では流歌ちゃん結構好きです。

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