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ヲタクってめんどくさい

多忙で投稿が空いてしまいました…!

(前回、「次回は百合強めのいちゃいちゃになります」と書きましたがあれは嘘ですごめんなさい!!!!)


中高一貫緑川女子学院。


木々に囲まれ、新年度のスタートを穏やかに迎える校舎。その一階にある職員室では…ちょっとそれどころじゃなかった。


「え!?新入生代表の真宮(しんぐう)さんが遅刻!?」


「ちょっ、どうすんの!あと30分で式始まるけど!!???」


「親御さん曰く、ちゃんと時間通り家を出たらしいけど、何か事故でも…」




「あああもう何してるんだ真宮日向(しんぐうひなた)ぁぁ!!!!」




ー-その50分後(前回から25分後)ー-


「おーい、おいこら起きろー」


優しい響きに瞼を開けると、眩い光に包まれる。

段々焦点が合ってくると上から見下ろす人影に気づいて、思わず

「ぅわ…」

と声を漏らしてしまった。これはきっと感嘆なんだと思う。自ら光を出すかのように輝く彼、ううん、彼女は…


「いい加減起きろやボケェ?!」

めっちゃキレてた。

「ひゃいっ!!?」

反射的に声を上げるとほっぺをガッチリ掴まれながら強制的に起こされる。


「りy…ん”ん”っ、穂高さんさ、今何時だと思います?」

「ぇ、あっえっと‥」


ぶつぶつ言いながら液晶に浮かんだ数字に目を見開く。


「ー-っ、8時58分です」

「…いつまで寝てんだって話ですよ、ほら走りますよ!」


そう言い終わるのが早いかひなたさんに手首を掴まれて走る。

誰も居ない駅に遅刻の焦りとそれ以上に二人きりであることに嬉しさをー-、


「余計なことばっかり考えてないで走って!速いって言ってたじゃん!!」


図星を指されて思わず俯くものの、後半の言葉を覚えててくれた事に口角が上がる。そして軽く息を整え、手を握りなおした。


「本気で行くから着いてきてくださいよ!」

「遅刻してんだからそんな謎ノリ要らないって!」


その言葉と共に爽やかな風がホーム内を駆け抜け‥駆け抜け…




たところで間に合うとは限らないよね(現実逃避)


「うん…うん、知ってたよ?」

時計を確認すると9時半を周っており、入学式はとうに終わっていた。


でもまぁ遅れた原因が倒れたからっていうのが先生達も追求しづらいらしく、事なきを得た。もっとも、新入生代表であったひなたさん…、真宮日向は他の対処法はなかったのかと言われていたが、あれくらいは許容範囲だろう。


「いやー派手に遅刻したもんだから、注目を集めるのは避けようがないと思ってたけど…まさかここまでとは」


どこか他人事に窓から空を見上げる日向さんに、私も苦笑する。

私たちは今、現在進行形で周りの生徒にガン見されていた。

正確には私()()ではなく、日向さん単体だが。


遅刻して教室に来た(増してや入学式に)人は否応なくガン見されるのは仕方ないと思うが、その遅刻してきた人が、高等部から編入したイケメン美少女だったら、それはそれは注目されるはずだ。それに加えて、横にいるのが私なら驚くはず。…なぜなら、クソが付くほどのド陰キャだから。何となく察してくれてたかもしれないし、事実だからきっぱり言うけど、ぶっちゃけ私は存在感がない。多分中等部から共に進学してきた面々も、私を覚えてる方が絶対に少ない。

…今受けている視線は、「王子様の横のモブ女さっさとどけや」って感じだろう。

私も、遠くから拝みたい+心臓持たんから、さっさとどきたい。

でも、ここから動けないのは不可抗力、仕方ない。その訳は明確、


「なんで隣なんだよ私たち…」


まぁそういうことだ。やめて、視線を強めないで、刺さる。


「ん~、まぁお約束だろうね。その方が話の展開楽なんじゃない?」

「メタいこと言わないでください…」

「ってかその敬語なんとかならないの?ネットで散々だったでしょ」

「~…っ」


ふたばと同一人物というのは分かっているが、今まで散々推してきた身としては今すぐなれなれしくできる筈もなく、待ち受けるのはヲタク三箇条(個人的)である。


其の一  推しには干渉してはならない

其の二  絶対に迷惑をかけてはならない

其の三  推しに対し不遜な態度をとってはならない


とまぁこんなところ。其の一はもう破っているので今すぐ逃げたいが、ここは一度目をつぶるとして。敬語を止めるということは其の二と其の三的にアウトなのである。これは私にとって絶対条件であり、これ以上これらを破るようであれば切腹でもなんでもするつもりであった。

そう…なんだが、


「なっ、なんですかその目は」

「え~?寂しいなって思って…」

「いやでも、三箇条的にアウトなのd…」

「あーうんうん知ってるけど、(ってかりゆ限定で心読めるし)」

「なんで知ってるんですか…」


なんか推しが涙目でうるうるしてるんだけど無理死ぬ…、っじゃなくて


「敬語を外すことは日向さんに対して迷惑をかけることに繋がり、それに不遜な態度をとることにも繋がってしまうんです、ですので…」


言葉が進むと同時に日向さんがどんどんしおれてる、心が痛い


「…けーごだったらわたしがめいわくなんだけど」


急なキャラ変に友莉のライフはもうゼロだ!…いやほんとに。


「ん”ん”ぁ”く”はっ、う”、いい…デスケド…」

「何が良いの?ちゃんと言ってくんないとわかんないなー?」


ア”ア”ア”ア”ア”小悪魔てぇてぇんじゃぁぁぁあああ?!?!?(キャパオーバー)


「…っと、け…いご、無しに…します(小声)」


日向さん一瞬目を見開いた後、むぅーっと頬を膨らませて


「声が小さい‥けど、今回だけ許す」


と言うが先か窓の方に顔を背けた。

でもやはりお約束と言うべきか、窓に映る日向さんの頬は桃色に染まっていて。


「――っ、なんか言ってよ!穂高さ…」


そう言ってこちらを振り返る日向さんに私は、


「…ぐへぁ―――ッッッッ」


ダイイングメッセージの如く「てぇてぇ」とだけ書き残し昇天する他無かった。










「お”いこら!ぶっ倒れるネタはもうお腹いっぱいなんだけどーー?!」






教室に真宮日向の切実な叫びが響いた。














――…同時に


「(ってかこれで入学初日とか、私あと何回昇天しなきゃなんだ…!)」



とか思ったりしてるヲタクの鑑がいたとかいなかったとか。

ヲタク三箇条ってなんや・・・(遠い目)

【次回】友莉、ついに切腹ーー!!??(しません)

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