ひ、ヒナタチャン…さん?
やっと!やっと二人が会います!!長かった!!!
特に今回は主の語彙力のなさが際立っています!お了承ください!
4月、それは始まりの季節。
それぞれが今までとそれなりに違う環境で生活を始める。
少しの不安と期待が合わさるものの、それでいて心地よい。
それはきっとふんわりと包み込む春の日差しのお陰だ。
空を見上げて、小さくて多くな一歩を踏みだ‥‥‥さなかった者が一名。
何を隠そう、私、穂高友莉である。
期待なんて一ミリもない、絶望を抱えた高1だ。
今まで頑張る糧となっていた、隣の電車の『ひなたくん』。
認めよう、私は中学卒業までに行動を起こすことができるわけもない臆病者だった。もうそれはそれは醜いただのストーカーだった。
『ひなたくん』との別れは、思っていたより早く訪れ、
必死の抵抗(心の中)も虚しく、電車は時間通りにホームを後にした。
自業自得ではあるが、ふたりで異世界転生ルートや永遠ループルートを恨んだ。
そういうわけで、今日からの新生活に希望を見出せない。
死臭を漂わせながら駅へと向かう。
「(あーもうだからあの時窓を破ってでも突撃すればよかったってか最終日まで引き延ばすんじゃなくて計画的に距離を縮めていれば…っていうか無理なのは分かってるしあああもう自分嫌いすぎる死にた…)」
口から溢れるのはみっともない自己嫌悪と後悔。
ぶつぶつ言いながら死んだ顔で駅へと向かうJK、要するに不審者である。
周りの人の視線を感じるが、それを気にする余裕など私にはない。
「(あぁだからふたばが言ってくれたことをおとなしく聞いてれば…!!!!私の馬鹿!!!っていうかストーカーなうえに粘着質で引きずりまくってるとかただのゴミじゃん、誰か私を燃やしてくれ…)」
完全に病みモードに入ってしまってることを自覚してる、うん。
でも病みやすい人なら分かってくれると思うんだけど、自覚しててもどうにもならなくて周りの人に迷惑をかけるしかなく、それで更に病むっていうかとにかく時間の経過を待たないと収まらない。そして今がその一番病んでる時だ。
前すらまともに見えないままズルズルと足を引きずる。
心なしか体がグラグラする感覚もするし、頭が痛い。
…あれ、もしかしてこれ病みじゃない…?熱?
次の瞬間、床との距離がつかめなくなって足が滑る。
視界が暗闇に覆われたのと同時に遠くでぐしゃりと音がした…のを最後に
私の意識が途絶えた。
「―――、…だかさん…穂高さん!」
呼びかけられて、勢いよく目を開ける。
私の目の前には夢に見た王子様…、『ひなたくん』がいた。
え?
え?
えええええええええちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!!
「ひ、ひひひひなたくん!?!?!?!?!?!?なななんでこここっここここに!?!?!?」
青がかった瞳に吸い込まれそうになりながら必死に言葉を紡ぐ。
「‥ふっあはは!驚き方面白いね、穂高さん」
笑顔もふつくし…ってかまじで存在したんだ私の妄想じゃなかったんだ…!
「あぅえあいえ、ありがとうございます生きててくれて(?)」
そう言うと、『ひなたくん』はすこし首を傾げて微笑んだ。
「…?ありがとう、こちらこそだよ穂高さん」
今日が寿命かな私…ってちょ!!!???
「あれ、私名前言いました???」
そう言うや否や『ひなたくん』の笑顔が固まる。
「んー、あっあぁそうだ、鞄に!鞄に名前書いてたから!!!うん!!!」
なんか…誤魔化してる感じがしなくもないけど、まぁいいか!
ん…??
「どうかした?」
あれ今態勢どうな…ってあああああああ!!!!
「ふhfujwbajbvqめぴんヴぃqenwlmかdmcl!!!!!!!????????」
母国語の混じった叫びを上げながら、起き上がる。
もしかしてというかもしかしなくても!
「わ、私さっきまで膝枕されてマシタ???」
キョトンとした顔で『ひなたくん』は言う。
「うん、15分くらいね」
銃護紛…15分!?
「な、なんて罪深いことを…すいません…」
ベンチの上に正座しながら必死に謝る。
周りの視線を感じるが、それを気にする余裕など私にはない。(二回目)
「大丈夫だよ、ほら女の子同士のスキンシップだと思えば!」
「そうですね…、そうですね!?」
ベンチから立ち上がった『ひなたくん』は『くん』じゃなかった。
スカートを履いてた。
スカートを履いてた???
つまり…?
「ひ…ヒナタチャン‥さん?」
「その呼び方をされたのは初めてかな…?うん、私ひなただよ」
キャパオーバーで頭がぐるぐるしてきた。情報過多が過ぎる。
「あ、それとも…ふたばのほうが呼びやすい?りゆ?」
「どぅえ?」
「私、ふたばー!君のネッ友のふーたーばー!」
ちょっと?マークが頭上に浮かびすぎて対応しきれない。
「(ぷし―――ぃっ)」
「あれ、容量足りなかった?戻ってこーい、おーいりゆー!!」
無限に宇宙猫が湧く脳内。
兎にも角にも今日から始まる新生活は刺激が多いものになりそうです…!?!?
(またしても15分後)
「おーいりゆー、いや穂高ー!起きろー!!」
「ぬぅえ…」
「おはよ?(耳元囁き)」
「ぁ…ゔぐふっ」
「あ、また死んだー」
時計を見て入学式まで5分しかないことを確認してから天を仰ぐ。
「こりゃぁ…二人揃って遅刻だなぁ…」
脱力した乾いた笑みを浮かべると、二つ並んだ同じ通学鞄を眺める。
「まぁ…いいか、これから毎日一緒なんだから。」
スマホを取り出して、彼女の写真を一枚撮る。
愛しい寝顔に私は気持ちを隠しきれずに微笑んだ。
「大好きだよ、りゆ」
急展開に語彙力が追い付かない!!(絶望)次回から百合強めのいちゃいちゃになります!!