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人間始めました。
私は次期精霊樹。
名前はまだない。
生まれてから数年はのんびりと、陽の光を浴び、水分を根から吸いあげ…
穏やかに暮らしていたのだけれど。
女神様からの天命がびびっときたのが本当に先日。
まあ、次期、だし。
まだ現精霊様は御存命だし。
時間あるよね、たっぷり…と。
高をくくっておりましたよ。ええ。
「お願いします、…この子を…守って…」
褐色の肌に尖った耳、幼子を抱えた血塗れのその人は私の前で、果てた。
だから私は女神様に祈りました。
この人の願いを叶えてください、と。
私は精霊樹(予定)だもの。
次の世代の、この世界を見守る樹。
…だったのだけれど。
気付けば何故か、その人になっていた。
うでの中には幼子。
守るって私が?
ちょっと待って。
待って。
まだ天命とか来てないんだけど教えて女神様。