話を聞いてみた
レイラの作ったごはんは意外と美味しかった。
ビーフシチューもといウルフシチューだろうか。
「美味いな……」
「ホント!? よかったー!!」
レイラは喜びながらガツガツと食べていく。
華奢な体をしているが結構大食いのようだ。
「おかわりもあるからいっぱい食べてね!!」
「あぁ……わかった」
レイラは街に着いた後の話をしてくれた。
まず、街に着いたら冒険者ギルドに登録をしにいくといいようだ。
なんでもこの世界で稼ぐには農家になる、商人になる、職人になる、聖職者になる、冒険者になる以外はほとんど稼ぐことができないらしい。
一番手っ取り速いのは冒険者になることのようだ。
たしかに、野菜は育てたことないし、営業マンでもないし、宗教家でもない。
職人といっても、プログラマーのスキルはこの世界では通用しないだろう。
消去法で冒険者しかないだろう。
それにパーティメンバーになると言ってしまったからにはなるしかないだろう。
「冒険者は、そのギルドってとこからお金がもらえるのか?」
「うん!! でも、依頼を達成したり、魔物の素材を売らないとお金はもらえないからね!!」
やはり、サラリーマンみたいに固定給がもらえるわけではないようだ。
「その、依頼ってのはどんなのがあるんだ?」
「そうだねー、やっぱ一番多いのは魔物退治かな!! 薬草採取とか商人の護衛もあるかな!! 」
「魔物退治って……さっきのビッグウルフみたいなのをか?」
「うん!!」
俺の魔法が強いはずというのがわかってはいるが、不意打ちとかで死ぬこともあるのではないだろうか。
危険な分、すぐに稼げるのだろう。
元の世界とそういうところは変わりがないのが少し悲しくなる。
「ちなみに、依頼を達成したらどのくらいもらえるんだ?」
「うーん……内容によるんだけど、さっきのビッグウルフ討伐で大銀貨5枚くらいかな!!」
大銀貨とはこの世界の硬貨だろう。
多分、この世界観なら紙幣は流通していなさそうだ。
それにしても大銀貨とやらの価値がわからない。
「大銀貨……?」
「まさかお金のことも忘れちゃったの?! まぁ、仕方ないか!!」
忘れているわけではないんだけどな。
レイラから、この世界の貨幣について教えてもらった。
貨幣の種類は大金貨・金貨・大銀貨・銀貨・大銅貨・銅貨のようだ。
だいたい一般的な宿1泊が大銀貨5枚程度らしい。
「あれを倒して、1泊程度か……」
「仕方ないよ!! 比較的弱い魔物だもん!!」
あれで弱い方とは……。
この世界は非常に物騒そうだ。
「まぁ、でも1泊分でも確保できたのはよかった」
「ん? 今回のは依頼を受けて倒したわけじゃないからないよ!!」
「え? そうなの?」
「うん!! 素材を売って大銀貨1枚くらいかな!!」
世知辛い世の中だ。
「……まぁでも!! お金はあるから大丈夫だよ!!」
若干落胆している俺を慰めてくれるように明るくしてくれている。
「ほらほら!!」
レイラは収納袋から金色の硬貨を何枚か取り出して見せてくる。
その顔はお主も悪よのうとか聞こえてきそうだ。
「お、おぅ……」
「!!」
若干引き気味で返事をしていると、突然レイラは立ち上がり剣を構えた。