野宿をすることになった
しばらく歩くと日は傾き、周りは薄暗くなりはじめていた。
「今日はここらへんで野宿かな!!」
「たしかに、暗くなってきたな」
野宿はあまりしたくはないが、2~3日はかかると言っていたので仕方がないだろう。
「うんうん。あそこの壁のところまで行こう!! 背後をとられたら嫌だしね!!」
あれから魔物らしきものは出てこないが、あんなのに囲まれてはたまったものじゃない。
「そうだな、急ごう」
壁のところまではそんなに時間はかからなった。
少し高い丘の一部が崩れて壁のようになっている。
さらに、ほどよく木も少ない。
「野宿するにはちょうどいい場所だな。というか、よすぎないか?」
どう見ても人間によって整備された感じがする。
「そりゃそうだよ!! ここは冒険者の中では鉄板の場所だもん!!」
「それでか」
「うん!! でも今日はワタシ達以外はいないみたいだね。 残念だなー」
「あまりまとまっていると襲われやすくならないのか?」
「たしかにそれもあるんだけどね!! でも夜中の見張りの交代が多いほうがよくない?」
おっと、言われてみれば見張りは必要だな。
「……じゃぁ、今日は俺たちが交代で見張るんだな」
「うん!! なにか来たらすぐ起こしていいからね!!」
完全に襲われる前に起こすようにしよう。
「順番はどうする?」
「うーん……じゃぁ3時間交代でいいかな!!」
あまりまとまって寝れないが仕方ないだろう。
「わかった」
「もしきつくなったらすぐ言ってね!!」
「お、おう……ありがとう」
ここまで親切にされるとなにか企んでいるんじゃないかと勘繰ってしまう。
しかし、いい笑顔で言ってくれているところ、ただのいい人なのかもしれない。
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――…
しばらく野宿の準備として、薪を集めたり、簡易的なテントを張ったりした。
夕食に関しては、レイラに一任している。
コンビニ弁当ばかりで自炊をあまりしてこなかったツケがここでくるとは……
「~♪」
テントを張りながら横目でレイラを見ると鼻歌交じりで肉を切っている。
肉料理かと考えつつ、ふと、あの肉は何の肉なんだという疑問がわいてきた。
「なぁ、レイラ」
「んー? なにー?」
「その肉って何の肉なんだ?」
「これー? さっきのビックウルフだよ!! あんまり美味しくないけど許してね!!」
そんな気はしていた。
ゲテモノは好きじゃないんだけどな……
「……そっか。はじめて食べるから楽しみだ」
せっかく作ってもらっているので嫌だとは言いにくい。
「それならよかった!! いっぱい食べてね!!」
うん、がんばろう。
「……テントはこんな感じでいいか?」
「ありがとう!! いい感じだよ!! ごはんできるまで中でくつろいでて!!」
テント中はギリギリ二人で過ごせるかというくらいの広さだった。
とりあえず寝っ転がって今後のことを考える。
「魔法かぁ……」
掌を見ながら先ほど使った魔法を思い出す。
「やっぱこれって夢なのか? ……でも、リアルすぎるよな」
頬を自分でつねってみるがやはり痛い。
「現実だよなぁ。帰れるんだろうか……返とりあえず街に行ってこの世界のことを調べないといけないな」
色々考えているうちに、結構時間がたったようで外からレイラが声をかけてきた。
「ユウー、できたよー!!」
「わかった。すぐ行く」
とりあえず、ごはんを食べながらレイラに色々聞いてみるか。