装備してみた
「じゅぁ、これから街道に行くんだろ。そこまでの道順は大丈夫なのか?」
「もちろん!! まかせといて!!」
そういうと、腰に下げた小さな袋に手を入れて何かを探している。
そのサイズで探すまでの量は入らないだろう。
「あったあった!!」
レイラは新聞紙くらいのサイズの少し古びた地図を取り出した。
「いやいや、その大きさのものは入らないだろ」
どう考えてもそのサイズの袋に入るのはおかしい。
「ん? あー!! これは魔法の収納袋だよ!! ほらっ!!」
袋の中から色々なものを取り出して見せてくれる。
「おー……」
驚きつつも、ゲームでものすごい量の持ち物を持ち歩けるのはコレのおかげだったのかと感心してしまった。
「それすごいな。どのくらいの量のものが入るんだ?」
「うーん……ちゃんとはわからないけど、この袋で1週間分くらい食料が入るよ!!」
1食がどの程度かわからないが結構入るようだ。
「無制限に入るわけではないんだな……」
「これ安物だからね!! 高いものになると何十倍も何百倍も入るんだよ!!」
これはひとつ欲しい所だ。街でどうにか稼ぐことができたら買うか。
「そうだ!! その変な恰好じゃ動きにくいでしょ? 男物の服は持ってないけど靴とローブはあるから着替えなよ!!」
これからしばらくは歩きになるだろうから靴はありがたい。
「ありがとう。 お金ができたら返すよ」
「いいよいいよ!! パーティーなんだし!! それに戦利品のあまりだしね!!」
あまりものならありがたく受け取っておこう。
しかし、靴はありがたいがローブは暑くないか?
「このローブは着た方がいいのか? 暑いと思うんだが……」
「ん?? 暑くないよ!! 着てみなよ!! それに防御力もあがるよ!!」
防御力とかいよいよゲームみたいだな。
そう思いながらローブを羽織ってみた。
「たしかに思ったより暑くないな。それになんかちょっと強くなった気がする」
「そりゃそうだよ!! 装備したんだもん!!」
「そういうものなのか……」
これにステータス画面とか出てくれば面白いんだけどな。
「じゃぁ靴も履くとなにかあがるのか?」
「もちろん!! この靴だと素早さがあがるよ!!」
「足が速くなったりするのか?」
「ホントちょっとだけなんだけどね!!」
ないよりはマシといったところだろうか。
たしかに足が軽くなった気がする。
「うんうん!! 少し魔法使いっぽくなったよ!!」
どう見ても不審者にしか見えないのだが、この世界では普通なのだろう。
「杖はごめんねー。 もらってもすぐ売っちゃうんだ……」
少しガッカリした感じで申し訳なさそうに謝ってくる。
「いやいや、いいんだ。 街で売ってたりするのか?」
「うん!! 売ってるよ!! ちょっと高いんだけどね」
やはりこういうものは高いのだろう。ゲームでも武器とか防具って高いもんな。
「無一文にはきついな……」
「でもでも、買ってあげるよ!!」
「いや、高いんだろ? それは悪い。自分で買うよ。だけど、お金を稼ぐ方法は教えてほしい」
ありがたい申し出だかものすごく悪い気がする。ヒモになった気分だ。
「お金を稼ぐ方法は魔物の素材を売ったりするのが一番手っ取り早いよ!! だから、杖買ってあげるからいっぱい魔物倒して?」
先行投資ということだろう。そこまで能力を買ってくれているのはうれしいが、初対面でそこまでするものだろうか。
「まぁ……そういうことなら、よろしくお願いします」
「よし、決まり!! はやく街に行こう!!」
ニコニコしながら拳を上にかかげ、楽しそうにしているレイラだった。