魔法を使ってみた
「さっきワタシがやったみたいに、火よ!!ってやるだけでいいんだよ!!」
かなり適当な説明だな。
「……え?? それだけ??」
「うん!! 手を出してそこに魔力を集める感じで!!」
本当にこれで魔法が使えるのだろうか。
騙されたと思ってやってみるか。
「火よ」
掌になにか力が溜まっていくのがわかる。
いや、なにかわからないがすごくまずい気がする。
咄嗟に手を森の方に向けると同時に、カッと光った。
「おー……これは思ってた以上だね」
目の前は百メートルくらい先まで木々は無くなり、地面は黒ずんで燃えていた。
「……。いやいや、おかしいだろ!! コレ!?」
「こんなに強い魔法初めて見たよ!!」
なぜかレイラは目をキラキラさせながら見てくる。
「いや、こんなの危なすぎて使い物にならないだろ……」
「うーん、それは多分、杖がないからかな?」
「杖?」
魔法の杖とかザ・魔法使いという感じだ。
「うん!! 魔法使いは大体持ってるよ!! ユウは持ってないんだよね?」
スマホはあったが杖らしきものはなかったな。
「持ってないな」
「だよねー。杖は魔法を制御しやすくなるんだよ!!」
「じゃぁ、こんなことにはならないと??」
焼野原のほうを指さしながら言う。
「うん!! 多分!!」
多分とは信用ならないな。
「ねぇ!! 他の魔法も使ってみてよ!!」
「他の魔法? ……と言われてもわからないんだが」
「えっと、魔法はね、火・水・風・土・光・闇っていう属性があるの」
「結構いっぱいあるんだな……」
「一応みんな全属性の魔法は使えるんだけど、得意不得意があるんだ!!」
「じゃぁレイラは火が得意なのか?」
「おー、よくわかったね!! ワタシは火が一番得意!!」
誇らしげに胸を張ってえばってくる。
「わかるもなにも、さっき見せてくれたから……」
「あ、そっか!!」
またケラケラと笑っている。
若干アホの子なのだろうか。
「じゃぁ、次は水魔法見せて!!」
「水よ、とか言えばいいのか?」
「わかってるねー、そうだよ!!」
バカにされている気がするが無視だ。
「水よ」
今度はちゃんと手を森に向けて唱えた。
「……」
先ほどと同様にものすごい水圧の水が放たれ、木々をへし折った。
「おー……」
いやいや、若干引かれている。
「火と同じくらいだな。多分、他もの同じくらいだと思うぞ」
レイラは少し考えこんでしまっている。
「……どうした?」
直感だが、いいことではなさそうだ。
「えっとね、普通は得意じゃない魔法ってものすごく弱いの」
そういうと、レイラは水よと言って剣を振った。
「ほらね!!」
たしかに、レイラの剣先から水がちょろちょろと出ているだけだ。
「たしかに……。いやでも、得意なものが複数あってもおかしくないんじゃないのか?」
「得意な魔法が複数あるって聞いたことないけどなぁ……」
うん、やはり俺がおかしいようだ。