スマホを調べてみた
テントの入り口の隙間から外を覗いてみる。
「向こうはテントなしなのか……」
テントを張る様子はなく、焚火の準備をしている。
特段変な動きをしている様子はない。
「今日は天気いいからねー!! 魔物に襲われたときにすぐ対処できるようにテントは張らない冒険者も多いよ!!」
たしかにテントの中からだと初動は遅れそうだ。
「それもそうだな。でも、レイラは今日テント張ったよな?」
「ワタシも一人の時はあんまり張らないよ!! 今日はユウがいるからね!!」
俺のためだったのなら、なんだか申し訳ないな。
「そうだったのか。あまり気にしなくていいんだが……」
「二人で交互に使えるし、座って寝るよりいいでしょ?」
これもレイラの優しさなんだろう。
「まぁ……そうだな。ありがとう。」
地面に座って寝るよりはマシだしな。
しかし、今回みたいにドラゴンに襲撃されたときはひとたまりもないな。
そんなことが日頃からあってはひとたまりもないのだが……。
そんなことを考えているとレイラが続けて話しかけてくる。
「そういえばユウって持ち物は何もなかったの?」
「いや、特には……」
そう言いかけて、ポケットにスマホのようなものがあるのを思い出す。
バタバタしていて忘れてしまっていた。
「いや、こんなのが入ってたな。なにかわかるか?」
ポケットから取り出したスマホのようなものをレイラに見せてみる。
「んー……ちっょと貸してくれる?」
レイラは裏表と色々見て回る。
「電源は入らないし、壊れてると思うんだが」
若干の凹凸はあるものの電源ボタンのようなものはないのでつけかたもわからない。
「これ多分、旧時代の産物だと思う!!」
なんだか怪しい名前がでてきた。
「旧時代の産物?」
「うん!! ロストテクノロジーってみんな言うかな!!」
昔の機械文明的なやつか。
よく昔は今より文明が発達していたなんていうやつだろう。
「ロストって言うくらいだからこれの使い方はわからないってことか?」
「ワタシの知ってるものではないけど、この四角い金属の部分に魔力を流すと動くんじゃないかな!!」
そう言ってレイラは俺にスマホのようなものを返してくる。
たしかに、裏側に少し色の違うところがある。
「魔力を流すって剣のときみたいに何か言ったりすればいいのか?」
「いやー、ワタシも専門家じゃないから詳しくはわからないんだ!!」
それもそうだな。
少なくとも俺よりは知識があるレイラを信じてみるか。
「聞いた話だと、ビビビ!!!って感じみたい!!」
よくわからないジェスチャーを交えながら伝えてくる。
ビビビってことはやはり電気を流すのようなイメージをすればいいのだろうか。
「……よくわからないが、やってみるか」
レイラから言われたところに手を触れ、電気を流すイメージをしてみた。
「……」
ピリピリとした感覚はあるが、スマホのようなものはうんともすんともいわない。
「……なにもならないな」
「やっぱ違ったのかな?!」
諦めようと思った瞬間、画面に文字が浮かび上がってきた。