新しいパーティに出会った
「ん……」
「あ!! 目が覚めた!!」
レイラが覗き込んでくる。
ここは、テントか……?。
「……!! ドラゴンは!?」
「きゃっ!!」
ガバッと勢いよく起き上がったせいでレイラとぶつかりそうになる。
「あ、ごめん」
「危ないな!! ドラゴンはユウがバッチリ倒したみたいじゃん!!」
「そうか……というか、みたいってどういうことだ」
「ワタシも気を失っちゃってたみたいでさ!! 他の冒険者に起こされたんだ!!」
「そうだったのか……」
たしかに、外から人の声がしている。
「外で何してるんだ?」
「あー、ドラゴンを街まで運ぶために切り分けてるんだよ!!」
「……もしかして、ドラゴンって売れるのか?」
「うん!! なかなか手に入らないからかなりいいお金になると思うよ!!」
やはり、そういうことか。
しばらくはお金に困らなくなりそうだ。
「でもなんで解体してるんだ? 魔法の袋に入らないのか?」
「そうなんだよ!! 本当はそのまま持って行った方が高く売れるんだけどあんなに大きい魔物は冒険者の持ってる袋じゃなかなか入らないんだ!!」
たしかに、2階建ての家くらいはある大きさだったから無理もないだろう。
「それは……残念だな」
「でもでも、大金には変わりないから!! ……勝手に決めちゃってごめんね?」
レイラは申し訳なさそうに言ってくる。
「いえ、俺じゃ判断できなかったし、むしろ助かってる。ありがとう」
ぱぁっと顔が晴れていくのがわかる。
「ちょっと見に行こうか!! 立てる?」
レイラの手を取り立ち上がる。
「おっと……」
若干、よろめいたが問題なさそうだ。
「大丈夫?! 行けそう?」
「あぁ、大丈夫」
テントを出ると、3人の男がドラゴンのそばで話をしていた。
そのうち、1人がこちらに気が付くと駆け寄ってきた。
「おう、起きたか。竜殺しの兄ちゃん。体は大丈夫か?」
結構いかつい、見た目40代くらいそうな大男が話しかけてきた。
「あ、はい。大丈夫です」
「そんなかしこまるなよ。同じ冒険者だろ? 俺はカイルって言うんだ。よろしくな」
差し出した手も大きくゴツゴツしている。
「あぁ、よろしく。……カイル。俺はユウって名前だ」
握手をするが握りつぶされてしまいそうなほど強い。
「まったく、びっくりしたぜ。ものすごい魔力を感じたからパーティーみんなですっ飛んで来てみたらドラゴンがいたからな」
この3人はパーティなのか。
やはりこの世界はパーティを組むのが普通なのだろうか。
「さすがにドラゴン相手はかなわないから引き返そうとしたら、お前らがいたから焦ったぜ」
こんなにいかついおじさんでもかなわないのか。
ドラゴンって相当やばいやつなのかもな……。
「だけど兄ちゃんが倒しちまうからビックリしたぜ。お前さん相当名のある魔法使いだろ?」
「いや、そんなことは……」
「そうだよ!! 記憶がないだけですっごい魔法使いなんだから!!」
急にレイラが話に割って入ってきた。
それにやはり、記憶喪失だと思われているようだ。
いつかちゃんと訂正しないといけないな。
「やっぱりか。うちにも魔法使いがいるがあんな魔法見たことないって言ってたしな。おい!! そうだろ?」
後ろで話している2人で声をかけると、こちらにやってきた。
「ん? なんだ?」
1人はローブを着て、いかにも魔法使いですというような帽子をかぶっている。
もう1人は、弓と矢を背負っている。
「あんな魔法見たことないって言ってたよな?」
「あぁ、見たことないな。それに君、杖も使ってなかっただろ?」
魔法使いであろう男は、凛とした整った顔と落ち着いた声の持ち主だった。
年齢は俺と同じか少し年上くらいだろうか。
「おい!! マジかよ!! 杖なしであの魔法はすげーな!!」
チャラい。
弓矢の男は若くて顔はカッコよく、とても遊んでそうな感じだ。
「うちのユウ、すごいでしょ!!」
すごいドヤ顔をしている。
レイラが自慢してどうする。