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生活保護者は幸せな老後の夢を見るか3

これはフィクションです。

自分がいた席は、片づけて、新しい人に譲ってしまった。

そして、新しい部署は1週間来るなという。

じゃ、自分はどうしたらいいのだろう。

いっそ、こっそり休んだりしても、分からないだろうかと思ったが、根が真面目なのか、そこまでの思い切りができない。

自分で自分のことを真面目とか言うなという批判は甘んじて受けよう。

とにかく仕事に行って、居場所がないというのは辛い。

することがない。

行くところがない。

食堂にずっと座っているのも、何となく、「何しているんだろう」という視線を感じて、居心地が悪い。

そうこうしながら、1週間、市役所の中を放浪すると、ようやく自分の席ができていた。

何と最悪なことに、オークの隣だ。


「ぐふっ、ぐふっ、よろしくね」

「・・・ども、よろしくお願いします」

「では、早速だけど、地区会議を開くので、面接室に行くよ、ぐふっ」

「面接室?」


執務室の向かい側の小部屋に拉致される。

小さい部屋が2つと、少し大きな部屋が1つ。

少し大きな部屋は、間をパーテーションで区切ることができようになっており、2部屋にわけられるようである。

少し大きな部屋に入ると、手早く机が動かされ、会議ができるような配置になる。

テーブルを囲んで8人が座る。

ここでおらさい。

まずか既出の3人。

係長は「軍曹」。超体育会系。どうやら剣道をやってたらしい。でも、今の趣味は蘭らしい。らんの雑誌が早くも机の上にある。おい仕事しろよ。

「オーク」:デブの知人。いや痴人・・・人ではないので痴豚か? 私の右隣の席。

「カビゴン」:あとで聞いたら、高校生のとき同じ学年だったらしい。うっそ、後頭部が・・・。

残りの5人。

「サドツ」:私の左隣。容姿から命名。係長を除き、最年長。容姿のみで命名。

「トグサ」:係員唯一の妻帯者らしい。チーム唯一の妻帯者であることから命名。

「サド」:席が離れているのでいまのところ不明。容姿のみで命名。狩人のほうではなく、王子に出てくるほうだ。

「かわうそ」:同期。新採で入ってから5年間、ずっとこの課にいるらしい。雰囲気から命名。もちろん伝染するやつだ。

「ナッパ」:一番若いようだ。容姿のみで命名。

そして私。

生活保護課2係が全員集合した。


「では、係長は来たばかりなので、私が司会をさせていただきます」


サドツが話を始める。


「いきなりですが、新しく配属された藤伊さんの地区について、どうしますか」

「ぐふっ、僕の地区、もう3年持ってる、僕の11地区ではどうです・・・ぷしゅう」

「・・・異議はないですか?」


サドツとオークが話をしているが、出来レースなのだろう。

そもそもどの地区がどうとか一切不明なので、意見の出しようがない。


「では、藤伊さん、11地区担当で、オークは浮いてる8地区を担当してください」

「・・・はい・・・わかりました」


他に持つ言葉がない。

了解する。


「そのほか、何かありますか」

「サ、サドツさん、ナ、ナッパの地区、100世帯超えてるんですけど」


サドが訴える。


「ああ・・・9地区かぁ」

「100世帯越えは厳しいな!」


サドツの感想に軍曹が同意する。

よくわからんが、100世帯を超えると厳しいらしい。


「あ、でも、大丈夫っすよ、もともと9地区は割りづらいんで」


ナッパが軽い口調で言う。


「9地区ってどこ?」


軍曹が確認する。


「あ、あれです。白い巨塔っていうか・・・」

「わかった、思い出した。地区割り表あるか? 民生委員別のやつ」

「ありますよ、これです」


何をやってるかさっぱりわからんが、私は11地区担当になったらしい。


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