表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

生保大戦6

私の家と職場を直線で結んだちょうど中央付近が九龍城。

九龍城の前を通らないルートは、ガチで駅前を通過するルートで、バスも多く、従って交通量も多くて、通りたくない。

結果として、私は、毎日、九龍城の前を通ることになる。

「車に乗っている姿をみられると、車に何されるかわからないので、自分の車では訪問に出かけないように」と言われているが、通勤路なので、これは仕方がないと思う。

もっとも、見られたくはないという気持ちもある。

もちろん、この見られたくはないというのは、若気の至りで、いろいろと私の車の車体には絵が描かれており、数年前、ちょっと恥ずかしくなってきたので、旦那に頼んで、車全体に磁石性のシートを作って貼って隠しているのを、見られるのが嫌だという意味ではない。

ま、それはそれで嫌なのだが・・・。

とりあえず、車を特殊コーティングで覆ってから、「イタコ」も卒業したのだ。

あとは、あのオークを滅すれば、私の黒歴史は、完全に闇に頬むることができる。

いつかやってやる。

妄想が過ぎたが、九龍城付近は、港湾地区なのであるが、若干の民家やマンションがあり、若干の子供がいる。

その子供は、九龍城より、少し駅よりのボーリング場の前の横断歩道を通ることが多い。

しかし、元々、人口が少ないこの地域では、横断歩道に信号機が付いていない。

でも、直線道路で、ある意味、スピードを出せる道路であるため、子供には危ない。

加えて、人口が少ないため、誰も立哨していなかった。


私が通りかかると、子供が不安そうに横断歩道に立っていた。

もちろん、公僕である私は、スピード落とすが、その前に、でかいおじさんが、手に黄色い旗をもち、ぬぼうっと出てくる。

そう「ぬぼうっ」だ。

なんとなく、ぬりかべを思い浮かべてしまったが、加藤だった。

加藤は、そのでかい体と、黄色い帽子と黄色い旗で、車にプレッシャーをかける。

すると、私の前の車が停車した。

加藤は頭を下げると、子供を渡らせて、再度、車に頭を下げた。

黄色い帽子と旗が真新しい。

恐い顔と、でかい体に、真新しく輝く黄色のアクセント。

ユーモラスさえ感じる。


毎日だ。

所長民生委員が、地域の要望で、人を探していたが、通勤時間に合わせて立哨してくれるような酔狂な人間がいなくて――たぶん、みんな働いていて、通勤があるからね――困っていたところ、私の言葉に反応して、この役目を押し込んできたのだ。

雨の日も、風の日も、雪の日も立っている。

感心なものだ。

恵子さんの手術費用を全額出すという話のついでに、ボーリング場前の横断歩道の立哨の話をすると、2つ返事だった。

別に、手術費用を特別に出してあげるわけではなく、生活保護を受給すると、医療費はこちら持ちになるのだが、変な意味でタイミングが悪かった。

加藤には、もしかして、毎日、立哨しないと手術費用を出してやらんぞという脅しになってしまったのかもしれない。

仕事はあまり探していないようだが、年金をもらうまであと少し。

子供たちが交通事故に遭わないためにも、厳しい就労指導をして、無理やり廃止に追い込むより、いいのではないかと思った。


生活保護者の家には定期的に訪問しなければならない。

就労指導をしている加藤の家には、毎月1回は必ず行かないといけない。

加藤は、私が毎朝、加藤の立哨を確認しているのを知らないので、訪問すると、真面目に立哨をやってますと報告してくる。

かわいいやつじゃのぉ。

一方で、私が担当になってから、一度も会えないやつが何人かいる。

もっと言うと、前担当者から、家を教えてもらってない保護者もいる。

ちょっと怖い。

なんでだろう。

いろいろやらかし気味のオークに追及したいのだが、仕事をまだまだ覚える段階なので、追及しにくい。ようするに、あまり追及しすぎて、敵に回したくない。サラリーマンはつらい。

最も経験がないので、オークからの引継ぎ内容が、普通なのか、普通でないのかも判断付かない。

なに、このブラック職場。

公務員なのに・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ