~第二の錦織圭たちに贈る言葉(24)~ 『試合に臨む前にプレーに対する考え方を確認しておけ』
〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(24)〜
『試合に臨む前にプレーに対する考え方を確認しておけ』
1. まえがき;
2019年バルセリナオープンの準決勝で錦織選手はメドベージェフ選手に
4−6、6−3、5−7で敗れた。
最終セットは5−6となり、錦織選手はサーブゲームを迎え6−6タイブレークに持ち込みたいところであった。しかし、30−30の次のポイントの時、『勝つためのプレー』を間違えた。
『負けないためにはストロークミスをしないこと。』と云う考えが浮かび、強打のストロークが出来ずにメドベージェフ選手のエースショットを浴びた。そして、30−40となり、次のダウンザラインを狙ったショットは焦りからネットして万事休すとなった、と私は感じた。
2. 贈る言葉;
二人の対戦はストロークのエースよりも返球ミスでのポイントが多かった。メドベージェフ選手は強力サーブでエースを取っていたが、錦織選手はほとんどサービスエースがなかった。
しかし、ストロークを強く打つことで相手のストロークミスを誘い、最終セットの第12ゲームを迎えた。そして、錦織選手は強打してバックアウトとサイドアウトで2ポイントを失った。メドベージェフ選手も同じであった。全く対等なストローク戦である。しかし、強打を続けるメドベージェフ選手には失うものがない強みがあった。
『負けないためにはストロークミスをしないこと。』と考えるのはなぜいけないのか。
結局、強打を控えて相手に余裕を与えてしまうことになるからである。
『勝つためには強打が必要。』と考えなければならない。もちろん、自分のリズムに合ったときに強打し、リズムに合わない時でも気力を込めたショットを打てば、相手選手からエースを奪われることはない。気力を込めたショットに対してリズムをあわせるのはかなり難しいのである。
贈る言葉(10)で『攻撃的踏ん張りに成功すれば《勢い》が付く』とのべた。
『攻撃的踏ん張り』とは常に気力を込めたショットを連続的に打ち続けることである。強打はしなくても手加減をしないショットを放ち続けることである。これには忍耐が必要である。『攻撃的踏ん張り』の言葉を換えれば『攻撃的忍耐』である。
土壇場で『攻撃的忍耐』を諦めた錦織選手はエースを奪われて負けたのである。
『攻撃的忍耐』を持ち続ける為には、試合に臨む前に『プレーの考え方』を決心しておかないと、土壇場で弱気の虫が出る。
それは、『勝っても負けても悔いを残さないプレーをする。』と云う決心である。
勝つために練習してきたことを出し切る覚悟を決めておかないと、相手からのプレッシャーに飲み込まれてしまい、弱気の虫が顔を出すことになる。
十分な練習をしていない、中途半端な練習しかしていない選手は心の底から『悔いを残さない』とは思えないものである。
また、『勝ちたい。』と思ってはいけない。『負けたくない。』と思いなさい。
『勝ちたい』は無謀なショットを打ちやすいが、『負けたくない』は忍耐をした確実なショットを打つことになる。そこから『攻撃的忍耐』が生まれ、勝利に導く『勢い』が生まれるのである。
試合の途中で追い込まれたとき、『負けたくない』と思えれば『守備的忍耐』、すなわち『粘り』が出る。そこで相手の攻撃に耐えられると、徐々に『攻撃的忍耐』が生まれてくるのである。もちろん、試合の初めから『攻撃的忍耐』でプレーすることを心掛けるべきである。
『諸君の健闘を祈る』
目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ
2019年5月1日