6月3週 金曜日 その1
村34 町37
ダ33 討伐1 フ8
人1 犯1
魔100 中12 上1
剣100 剣中12 剣上1
回復39
治療40
採取77
草16 花5 実33
料理7
石工3
木工11
漁1
歌3
体55
女7
ヒューマン、ビースト、エルフ、ドワーフ。
異世界で生きる者達は、肌の色以外にも大きく違う部分を有する。
なぜなら種族そのものが違うのだ。
ドラゴニュートも、ヒューマンとは違う種族。
ビーストが獣に近い種族と言うのなら、ドラゴニュートは竜に近い種族と言える。
竜と似た様な特徴を多く持つのだ。
耳の少し上には宝石のような美しい角を生やし、背中には翼を、そして鱗と尻尾を持つ。
さらには口からは火を吹くことができ、さらには随分と長寿で、体のいずこかに逆鱗を持ち、体温は外気と反比例する。
もちろん、本物の竜と全く同じ力はなく、劣るものばかり。
角は比較的小さく、特に女性は髪の毛に隠れてしまうこともある。
背中の翼も、飛べるのは5mほど。
鱗は体のほんの一部にしかなく、頑強ではない。
尻尾は個人差もあるがお尻の少し上から地面に1割2割がつく程度の長さで、そちらもあまり強靭ではない。
口から吐く火の温度も、生木を燃やすには少し足りず、長寿と言っても竜のように数千年間生きるわけではなく、寿命はヒューマンの5倍程度。
逆鱗も触れられればビックリするくらいで、体温も竜のようにマイナスまで下がることも数千度まで上がることもなく、30℃から40℃ちょっとの間のみ。
竜に近いと言っても、竜よりも随分人寄りだ。
しかしそれでも、人間という括りで考えた場合、その能力は非常に優れている。
種族を能力で格付けした場合、その能力は上位に位置すると言われるほどに。
また、かつてドラゴニュートは、竜の化身として崇められる存在だったこともある種族で、個体数はかなり少なく、ほとんどが同一国家に終結していることから、滅多に出会うことはない珍しい種族でもある。
そんな理由もあって、ドラゴニュートの奴隷は値段が非常に高い。
ドラゴニュート、というだけで、その値段は金貨10枚になるそうだ。
さらに――。
「さらにこの女奴隷は、美貌とスタイルにも優れております。亜人が駄目だという方も多いですが、逆に亜人の方が、と仰られる方も多いですしね。特に都会ではそのようです」
店主は言う。
「ドラゴニュートの女性、ということで、性奉仕には不向きですが、これだけの美貌があればなんとでもなるでしょう。エト様ももちろん性奉仕希望ですよね?」
「そうですね」
ただ、本人の前では言わないで欲しいと思う。
チラリと女に目をやると、女は、この世で一番憎い者を見るかのように俺を見ていた。
唇には殴られたのか痣が残っているが、そんなものなどお構いないとでも言うように、ギリリと歯を食い縛り、手を握り締め、睨んでいる。
俺は昨日とは違う部屋で、店主、そして、昨日暴れた女と会っていた。
その女を、買うと言って。
店主は最初、あんな女を買うのですか? まだ性格の矯正は何もしていませんよ、と非常に心配そうだったが、俺の意思が固いとなると、値段の交渉を始めた。
昨日はどんな奴隷でも無料でと言っていたのに。
結果、金貨10枚で決着がつく。
俺は値段交渉があまり上手くない。
異世界は、世の中言ってみた者勝ち、という風潮がとても強い。原始人が集まった未開の地だから仕方ない。日本のぬるま湯で育った坊ちゃん嬢ちゃんには生き辛い世の中だよ。
なお、金貨10枚で決着はついたが、手数料も加わって金貨11枚だった。
俺はアイテムボックスから金貨11枚を出し、店主に手渡すと、主人を変更する手続きが行われる。
その最中、暴れないように、かなり厳重に括られた女奴隷は、音をつけるなら、ガルルルル、だろうか。そんな目つきで俺を見ていた。どう考えても、凄く凄く嫌われているようだ。悲しいなあ。
確かに君の右腕、というより右肩か、僕が壊しました。今、包帯で首から吊ってるその腕の原因は僕です。
多分脱臼ですね。
完治には数週間かかるでしょう。
でも君は槍を振り回してたからね、正当防衛ですよ。逆恨みじゃないですか。
まあ、分かるけど。
「この奴隷は、数週間前奴隷に落ちたばかりでして、おそらく奴隷のことをよく理解しておりません。一応、奴隷十二か条を暗唱はできるようですが、色々と問題がございますでしょう。教えながらよろしくお願いします」
それから店主は、女奴隷の身の上話を始める。多分、購入した客にするものなのだろう。
女奴隷は、ドラゴニュートの国から武者修行とでも言おうか、そんな理由で旅に出て数年、ダンジョンで頑張っていたところ、仲間に借金を背負わされ、奴隷落ちしたらしい。
そしてこの辺りで一番大きな、店主の父親がやっているキュレトンの奴隷商に持ち込まれた、と。そんな経緯。
ゆえに、自分の借金が原因で首が回らなくなったわけではないため、奴隷落ちに納得しておらず、奴隷が受けるべき教育を受けてもいないため、奴隷として必要な業務がこなせないだけでなく、生き方にも抵抗を持っており、身分も弁えない行動や言動をする可能性も高い。主人に迷惑をかけることも多々あるだろう、と。
じゃあもっと値引けや。俺は思った。
「それでは。この度はありがとうございました」
女奴隷を引き連れ、俺は奴隷商の店の外に出た。
店の中では店主と店員が頭を下げ、大きな声でそう言った。
完全に奴隷を買った人って感じで恥ずかしいなと思いつつも、俺は丁寧に頭を下げる。
すると、向こうも同じように下げてきたために、それに呼応しまた下げると向こうもまた下げ。ループした気恥ずかしさと奴隷を買った気恥ずかしさから、俺はそそくさとその場を離れた。
後ろからは、女奴隷がまるでカルガモの子供のようについてくる。
……いや、いつまでも女奴隷じゃ駄目か。
『アンネ・アールセドルーン
ジョブ:槍士
HP:100 MP:100
ATK:1 DEF:5
CO:奴隷 麻痺』
「……アンネ」
道中、人の目がなくなった場所で俺は立ち止まり、呼びかけてみた。
目にはほんの少しの驚きと、警戒、そして怒りの感情が現れる。……そう言えば名前教えてもらってなかったっけ? 失敗した。ちなみにこの、知らないのにウッカリ名前を呼んでしまう現象は、今のところ一番よくある失敗だ。
「店主に聞いてたんだ」
「……店主に言った覚えはありませんが」
「……」
「……」
「俺はエトだ」
聞いてたんだから特に驚くこともありませんけど、という顔をして、俺は自分の名前を教える。
「なんとでも呼んで」
「……」
アンネは黙って俺を睨みつける。
アンネは美人だ。
ドラゴニュート基準ではどうか分からないが、ヒューマンの基準、俺れの基準から言えば、相当に美人。
睨んでいる現状はキツイ印象を受けるし、おそらく結構怖い印象を与える美人なのだろうが、だからこそ誰が見ても綺麗な顔をしている。
さらに言えば、スタイルも抜群。
アンネの服装は、奴隷らしい格好というか、みすぼらしい布切れ1枚なので、スタイルの凹凸がよく分かるのだ。
胸も大きい。
「……」
視線に気づいたのか、俺を睨む視線に軽蔑を混ぜながら、アンネは自由に動く左手を、自らの胸を隠すように置き、体を半身にするよう捻る。
赤く長い髪がフワリと動いた。
そう、確かに俺はアンネのことを美人だと思うしスタイルが良いとも思う。
扇情的だとも思う。やりたい盛りの年齢なので、非情に魅力的だ。ムラムラして当然。
しかし、そうやって隠す必要はない。その理由を、少しイラっとした俺は、思わず言った。
「言っとくけど俺、お前のこと結構嫌いだからね」
「なっ!」
スッキリした。
お前も俺のことが嫌いだろうが、俺だってお前のことが嫌いさ。
それだけの才能を持ってるくせに、奴隷になる程度のことで捨てようとするとかふざけてる。だったら俺に寄越せって話だ。俺ならチンコ切るのと天才になるのどっちが良い、って言われたら迷わず天才を選ぶよ……多分。
ともあれ性的にムラムラしても、それは女であれば誰にでも反応するムラムラで、お前個別に反応しているわけじゃない。
男子高校生あるあるだ。それを分かって欲しい。
「はい、じゃあ買い物行くから」
これから、俺とアンネ、2人の冒険が始まる。
お読み頂きありがとうございます。
また、ブックマークありがとうございます。頑張ります。
今日中に金曜日を終わらせたいですが、まだ書いている途中です。終わらせられるよう頑張ります。




