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6月3週 火曜日

村34 町34

ダ31 討伐1 フ8

人1 犯1

魔100 中12 上1

剣100 剣中12 剣上1

回復31

治療39

採取77

草16 花5 実33

料理7

石工3

木工11

漁1

歌3

体55

女7

 ダンジョン側が強くなるのは、11階から、21階から、31階から。

 毎度、1の階からである。


 しかし、冒険者が人数を増やすべきなのは、0の階からである。


 5階なら1人。

 10階なら2人。15階なら2人。

 20階なら3人。25階なら3人。

 30階なら4人。35階なら4人。

 40階なら5人。45階なら5人。


 ダンジョンの各階にはそれぞれ、ベストな人数というのが設定されている。

 それを越えると、稼ぎが少なくなり、それを下回ると、死ぬ危険性が増える。


 例え、その階を冒険する他の冒険者に比べて強かったとしても、その人数は守るべき。

 弱いのなら、16階から3人に増やし、強いのなら19階まで2人で冒険する。工夫は、そこが限界。20階は4人でも2人でもなく、必ず3人で冒険すべきだ。


 俺は現在15階で1人旅。

 早急に人を増やす必要がある。でなければこの前のように、ウッカリ集中を切らせるとすぐさま死ぬような目にあってしまう。


「はい、確認しました。ファイヤーストーンの石が1、ファイヤーウルフの牙が3、バンペストの髪が1、ファイアーフロッグの油が4つですね。合計で銀貨7枚と銅貨35枚になります。手数料を差し引きまして、銀貨6枚と銅貨61枚になります」

「どうもー」


 ダンジョンを早めに切り上げ、俺はまたしても奴隷商へやってきた。


 共に冒険する仲間、絶対に裏切らない仲間、奴隷を見つけるためだ。


 可愛い子がいれば良い。それが一番良い。

 けれども、その子が冒険者として戦えるかは分からない。もし足手まといになれば、俺は死んでしまうかもしれないし、俺が死ななくとも彼女が死ねば、それはそれで大変だ。


 だから、おっさんでも良い。

 ダンジョンでの戦い方を知らないから、レクチャーできる人だと、完璧だ。

 ただ……そうなると、ちんちんを切らなければいけなくなる。ちんちんを……、俺が、他人のちんちんを切る決断をしなければならないのか……。


「というわけで、ダンジョンに入れる奴隷が欲しいんですけど。……できれば綺麗どころの女性で」

「なるほど……。男の方は何人か心当たりがありますが、女の方はいませんね」

 いなかった。すまない、誰かのちんちんが、切り落とされてしまう。


「ダンジョンに入る奴隷で、さらに綺麗どころというのは、かなり珍しい部類になります。そもそも奴隷は借金が返せなくなり、最後の手段でなるものです。綺麗というだけで、金を返す方法というのは、結構ありますからね」

「ああー」

 娼館とかってことか。


「そしてダンジョンに入る者は、多少の元手さえあれば武器防具が揃い、生きる分は稼いでいけますので、中々借金地獄には陥りません。ダンジョンに入らず手に職も持たないものならばおりますので、一から鍛え上げる場合ですと可能ですが……、綺麗どころの奴隷をご覧になりますか?」

「あー、見たいですけど、一から鍛えるってのは、ちょっと……」

「そうですよねえ。階層半年と言いますから、エト様くらいの若さですと、気の長い話ですよね」


 階層半年。

 ダンジョンで戦う階をすぐに上げたくても、半年は戦ってからにしろ、という意味の冒険者のことわざだ。

 俺は守ったことがない。異世界に来て、まだ3ヶ月経ってない仕方ない。半分の月数で15階も上げちゃったよ。あ、最高は16階か、ほとんど戦ってないけど。


「それに綺麗と言っても、当店の奴隷は正直特に……、っと口が滑りましたね。それでは男の方の奴隷、戦闘奴隷の説明をさせて頂きます」

 どうやらこの店には綺麗な奴隷はいないらしい。まあ、小さい町の店だからなあ。


「奴隷の値段は、基本が銀貨30枚からになります」

「やっす」

「その後の生活費がかかりますからね。しかし、ダンジョンで活躍していた冒険者の奴隷は、値段が跳ね上がります。戦っていた階が1階なら銀貨10枚。10階なら金貨1枚が、それぞれ追加されます」

「ってことは、15階だと……」

「金貨1枚と銀貨50枚が追加され、金貨1枚と銀貨80枚になりますね」


 大分高くなったなあ。

 といっても、人の値段だと思えば安いのか?


「またジョブによっても値段は変わります。それからスキルを扱えるかも。詠唱は習得に時間がかかるものですから」

「あー、確かに」

「例えば僧侶で第二スキルまで使えるとなりますと、僧侶分で銀貨50枚、第一スキル分で銀貨50枚、第二スキル分で金貨1枚がそれぞれ追加されますから、金貨2枚分がプラスですね」

「たっか」

「それから年齢でも、加算があります。20歳が金貨2枚で、そこから1歳上下するごとに、銀貨10枚が引かれます。ただし0枚以下にはなりません。例えばエト様と同い年の16歳ですと、金貨1枚と銀貨60枚が加算されます」


 加算多いなあ。

 基本が銀貨30枚って、もうそれいらなくない?


「エト様がお求めの奴隷は、前衛でしょうか後衛でしょうか」

「あー、前です前」

「でしたら少々お安くなります。冒険者と戦士は銀貨10枚、剣士は銀貨15枚。ですから。スキルの方も、冒険者と戦士は少しお安く、第一スキル分が銀貨30枚、第二スキル分が銀貨60枚です」


 しかし、細かく決まってるもんなんだなあ。俺は感心した。

 他の店とかだと、店主の機嫌で値段が上下することも多いので、こんな風にガッチガチに決まっているところは珍しい。


 奴隷商っていうちょっと怪しい職業だから、逆にキッチリしているのだろうか。

 ぼったくりがなさそうで、少し安心した。

 

 けど、スキルがどこまで使えるかは、実際に使わせて確認できるが、ダンジョンのどの階で戦ってたってのはどう確認するんだろうか。

 自己申告、もしくは店申告だろうか。常に戦ってきた、って人と、戦ったことがある、って人じゃあ随分違うと思うが……。結構決まってると思ったが、案外ぼったくれそうな部分はあるな。


「また、そこへ、顔や体格、その他能力に関して、さらにプラスがございますので、御了承下さい」

 もっとぼったくれそうな部分があったぞ。なんだ顔と体格、その他能力って。凄く適当。


「大体どのくらいの値段なんですか? そのー、15階辺りで戦う前衛の人って、今まで売った中の例で良いので」

「そうですね、直近で、18階で戦っていた奴隷を売りましたが……、金貨7枚ほどでしたか。手数料は抜いてです」

 俺がそう聞くと、奴隷商人は少し考え、そう答えた。


 結構良いお値段だった。

 武器防具も買えば、金貨10枚が簡単に飛ぶだろう。金貨10枚あれば、どんな怪我も治し、1歳若返ることのできる俺からすれば、その支出は結構大きい。あと手数料が異世界はどこにでもあるな。


「うーん」

 ちょっと考えてしまう額だ。

 それだけのお金を払って役に立たなかったら、と思うと、かなり。


「15階近辺で戦っていた奴隷を、一先ずご覧になりますか?」

 考え込んでいると、それを良くない雰囲気だと悟ったのか、店主はそんなことを言ってきた。

 頷くと、店主は一旦、応接間のようなこの部屋から奥の扉を開けて出て行き、なんて言っているかは分からないが、何かを店員に伝える。


 俺はなんとなく、部屋の出口側に、座っている位置をちょっとずらした。

 他意はない。ちょっと不安になっただけだ。

 奴隷商という怪しげな商売をしているから、命が惜しかったら金を出しな、と、豹変するイメージが消えないし、なんだったら奴隷が暴れて向かって来る可能性だってある。


 いや、それはないか。

 命令で何かをさせることはできないが、させないことはできるみたいだし。まあ、命が惜しかったら金出しな、をするんならそれをやるか。怖!


 そうして待つこと十数分。

 部屋の中に、4名の奴隷が入ってきた。どれも男だが、年齢はバラバラで風貌もバラバラ。

 種族は大体ヒューマンだが、1人だけビースト。兎っぽい耳がはえている。バニーかよ。


「こちらが、お客様へオススメします奴隷でございます。どうです? 皆強そうでしょう?」

 店主はニコニコ笑顔で、再び俺と机を挟んだ位置にある椅子に腰掛けた。


「ええ、本当に」俺はそう言って、奴隷達を見た。

 本心でそう言っているわけでは、全くなかった。むしろ真逆だ。


 俺は天才じゃないが、それなりに才能は持っている。

 そんな俺が持つ才能の中で、最も優れた才能は、おそらく天才を見抜く目だと思う。俺は一目で天才を見抜ける。


 顔つきというか、体つきというか、雰囲気というか、オーラというか。

 本当に一目で、俺はそいつが天才かどうかを見抜くことができた。まあ、天才っていうのは、誰の目から見ても一目で天才と思われるのかもしれないが。

 そして、その恩恵か、天才じゃない者の才覚も、多少は見抜くことができるようになった。どの程度才能を持っているのか、とか、そんなことが分かる。


 多分、大して的確じゃあないだろう。そこそこ見誤りはすると思う。けれども、それなりには当たると自負している。

 その目で、その奴隷達を見た感じ、才能は微塵も感じられなかった。

 普通。至って普通。


 ケビンさん達と、同じくらいかな?


「あ、そっか」

「ん? どうされました?」

「いや、こっちのことで……。そうだ、やっぱり20階以上に行ってる奴隷を見せて頂いてよろしいですか?」

「え? ええ。構いませんよ。当店には20階以上で戦っていた奴隷が、なんと3人もおりますからね。少々お待ち下さい」


 少な! そんなことを口に出しそうになったが、店主は自慢気だったので、何も言えない。

 店主は、そこにいた4人の奴隷と共に奥に引っ込む。


 俺は全員が扉の向こうへ消えたタイミングで、改めてさっき思いついたことを考えた。

 多分、15階で戦ってる人って、あれくらいが普通なんだな、と。


 奴隷になるということは、その階で武器や防具を破損する回数が増え、金がなくなり、借金で首が回らなくなった、ということ。つまり苦戦したのだ。

 15階で苦戦し苦戦し敗北したからこそ、彼等は奴隷になっている。

 15階相当として売られる奴隷達の才能とは、誰を見ても、15階で敗北する程度のものなのだろう。


 じゃあ、やっぱり才能はない。


「まあ、俺も絶賛苦戦中だから人のことは言えないけど」

 自虐に少し笑うも、しかし彼等を買うことはありえない。

 もっと稼ぎたい、もっと上の階に行きたいから買うのに、そこで苦戦してしまう才能の持ち主を買うなんてのはナンセンスだ。


 自立した経済状況の普通の仲間と違って、奴隷の武器防具は、必ず主人が用意しなければならない。

 もしもポコポコ武器防具を壊されたならば、俺が破産する。


 だから、狙うは20階以上の奴隷。才能を持った奴隷。

 店主は3人の奴隷を連れて、部屋に戻ってきた。


 俺は期待を込めた目で3人を見る。が、残念なことに、結局はどんぐりの背比べのような感じで、特に才能のある者はいなかった。


 だから、断ることにした。

「ううーん、すみませんけど、今回は」

 才能のない人をわざわざ買いたくないし、急いで買う必要もない。

「そうですかー」

 店主は残念そうな表情をした。


「エト様は、この町に長らく滞在する予定ですか? でしたら新たな奴隷が入荷しましたら声をかけますが」

「あー、多分、そんなに長くはいないですね。もしかするとそろそろ発つかもしれないです」

 店主に問われ、俺は長くはいないと答えた。


 それは、連絡しなくて良いですよ、という意味ではなく、本当の事実。

 俺がテトン町に滞在する理由は、そろそろなくなる。

 今日、おそらくデオグラさんが、テトン町にやってくるからだ。


 俺をこの町に連れてきてくれた人で、唯一課金のことも異世界のことも知っている。

 2週間に1度、この町へ来るのだが、その到着予定日が今日なのだ。何時頃到着するのは知らないが、そろそろ夕刻だし、もう着いているかもしれない。


 そしてデオグラさんと、もう一度食事をして、出立を見送れば、俺はもうこの町に用はない。

 用意が済めば、出発しようと思う。


 俺は席を立って頭を下げ、椅子の後ろの扉から外に出ようとした。

 しかしその時、後ろから呟くような声が聞こえた。


「残念です。明後日以降なら、良い奴隷がいるんですけどねえ」

 そんな声が。


「……え?」

「あ、いやね、父がキュレトン市で奴隷商を営んでおりまして、当店の開店10年を記念して、良い奴隷を何人か送って下さるそうなんですよ。20階後半で戦っていた奴隷や、綺麗どころの奴隷です。その到着が明後日で」

「明後日また来ます!」

「お待ちしております!」


 外は雨が降っていた。けれど、俺の気分はルンルンだ。


「さて」

 俺は奴隷商の店を出ると、商人達の寄り合いに向かった。

 そこには、おばちゃんが1人カウンターに座っている。後ろにはいくつも木の板がかかっている。


 あれは、町にいる商人達を管理する板で、誰がいて、誰が行商に行って留守にしているのかが、分かるようになっている。


「デオグラさん、もうテトンに着いてます? 泊まってる宿教えてもらって良いですか?」

「良いですよ」

 なので俺はそこのおばちゃんにそう聞いた。もちろん解答はイエス。個人情報保護法がない世の中ってのは、怖いが便利だ。


「って、ああ、そういえば今日来る予定でしたね。まだ着いてないと思いますよ、見かけてないですから。おかしいですねえ」

「あれ?」

「まあ、1日ずれることは時々ありますから。あの馬も歳ですし。明日到着したら、何か伝えておきましょうか?」

「あー、いえ、大丈夫です。また明日も来ます」

「はい、それじゃあ」


 残念ながら、デオグラさんはまだ到着していないようだった。まあ、明日には到着するだろう。

 なら、会うのは明日で良いや。

「そうだ、その時に奴隷のことでも聞いてみよう。駄目って言われたら困るな。まあ、異世界じゃあ普通のことだし大丈夫か」


 それよりも、俺がもっと高い階に行こうとしてることをしったら、自分のことのように喜んでくれそうな気がする。

 楽しみだ。


 俺はそう思いながら部屋に戻って横になり、眠った。

お読み頂きありがとうございます。


毎日2話投稿すれば、実際の日付に追いつけるかもしれません。頑張ります。多分無理です。ごめんなさい。

現在1ヶ月以上離されておりますから、せめて少しでも近づけるよう頑張ります。応援のほどよろしくお願いいたします。

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