6月3週 月曜日
村34 町33
ダ30 討伐1 フ8
人1 犯1
魔100 中12 上1
剣100 剣中12 剣上1
回復28
治療39
採取77
草16 花5 実33
料理7
石工2
木工11
漁1
歌3
体55
女7
奴隷の扱いには、いくつもの決まりがある。
酷く扱わない。そんな決まりも中にはあるが、ほとんどは奴隷の暮らしをどうするか、という決まり。
奴隷の、衣食住。
奴隷の服は、奴隷の衣類を扱う店で、主人の金で購入した服を着用する。
奴隷の衣類を扱う店とは、いらなくなった衣類を買い取り、それを仕立て直して販売する店。つまりは古着屋である。
そこで買えるような衣類を、奴隷の衣服の最低限とする。それが奴隷の衣の決まり。
もちろん、そこで購入するよりも、もっと上等の服でも良ければ、自分達が着ていた服のおさがりを着せても良い。要は町を出歩いても、他者が不愉快に思わない格好をさせろ、ということ。
奴隷の食は、食事を提供する店で、主人の金で購入した奴隷用の食事を食べる。
定食屋の中には、格安の料理を提供する店もある。それが、基本的には奴隷用の食事となっている。中には奴隷用の食事専門でやっている店も存在する。
そこで注文できるような食事を、奴隷の食事の最低限度とする。それが奴隷の食の決まり。
もちろん、そこで購入するよりも、もっと上等の料理でも良ければ、自分達の夜食の残りなんかでも良い。要は最低限の品質の物を食わせろ、ということ。
奴隷の住も、同じような決まりだ。
奴隷には、奴隷専用の宿屋がある。1部屋に何人も詰め込まれるタコ部屋だが、同じ奴隷ばかりで気疲れはしない。そこに主人の金で、寝泊りをさせる。
もちろん、そこで寝泊りさせるよりも、もっと上等の宿屋でも良ければ、自分達の家と同じ屋根の下でも良い。要はどこか屋根の下、家に住ませろ、ということ。
ただ、住に関しては少し問題がある。
1部屋に何人も詰め込むタコ部屋であるから、色々問題が起こるのだ。生活様式の違いだとか、そういうものではなく、男と女の夜の営みの話。
一応は男女別の部屋であるが、人数の都合上、男女同室になることもある。そうなれば、始まってしまうだろう、情の事と書いて、情事と読む行為が。
また、同室でなくとも、同じ屋根の下。ちょっと移動すれば異性の泊まる部屋があり、廊下に出れば出会うこともある。そして仕事のない夜更け、時間もはいくらでもある。そうなれば、始まってしまうだろう、情の事と書いて、情事と読む行為が。
すると必然的に、妊娠してしまったりすることもある。
その場合、生むにしろ違うにしろ、金は誰が払うのか。反対に妊娠してしまった場合、その分の金は誰が払うのか。自身の金を持たない奴隷になんとかできるものではない。
奴隷同士でなくとも、それは起こる。行きずりの誰かに妊娠させられたら、逆に妊娠させたら。
主人として、それは非常に困る問題だ。
だから、それを回避するため、基本的に奴隷は――。
「す、すみません、もう1回言っていただけますか? ちょっと、聞き違いをしたかもしれなくて」
「はい、かしこまりました。性的奉仕を目的としていない場合の男の奴隷は……」
「男の奴隷は……?」
「ちんちんを切ります」
「ちんちんを……切る?」
俺は予想外の事実に、カルチャーショックを受けていた。
それはいけない、それはいけない……。
「ちんちん、つまりは男性器ですね。誰かを妊娠させると困りますから、仕方ありません。切ります。チョキっと」
店主は人差し指と中指でハサミを作り、それを閉じるジェスチャーをした。想像すると、股間がひゅんと引っ込んだような感覚に襲われた。
奴隷というのは、やはり世界が違っても厳しい環境に置かれてしまっているようだ。
ここは奴隷を売っている店。
俺は紹介してもらってこの店にやってきた。
奴隷購入が初めてだと店員に伝えると店主が出てきて、奴隷の主人になるにあたり色々な説明を始めた。
歴史の授業で、奴隷は悪しきものだと教えられたのだから、扱い方の説明にはショックを受けるだろうな、そんなことを俺は思っていた。しかし、案外奴隷の扱いはマトモなもので、やるじゃないか異世界、そんなことを思うようになっていたところへ、コレだ。
「切っちゃうんすか」
「はい。スッパリと」
「……」
「チョキっと」
「ひい……」
そのジェスチャーはやめろ。
「ちなみに女奴隷も、性的奉仕を目的としていない場合の女の奴隷は、中に詰め物をして埋めてしまいます」
「はえー。可哀相というかなんというか」
「奴隷は一度なったらほとんどの場合一生奴隷ですからね。もし解放されて、必要だと感じたなら、その時自分で治せば良いです」
ああ、そう言えば治せるんだったか。ちんちんも生やせる、凄いよな。
……でも怖!。
「自宅に住ませるから切らないって選択肢はあるんですか?」
「いいえ、ございませんね。性的奉仕を目的としない場合は、住まわせる場所に関わらず切ります。いつか住まいを移す可能性もありますし、そこに行かずとも隠れて行為に及ぶ場合がございますから」
「あー。なら、性的奉仕するからって残しといたら、外でって、そういう可能性はありますね」
「そうですね。ただ無ければ性的奉仕もできませんので、仕方ありません。そこはそう使う分、リスクが残ることになります」
チンコかあ。
俺がその立場になったらと思うと……。とてもじゃないが辛過ぎる。おしっことかどうするんだろう。
「しかし……自宅に、住ませるから、切らない……?」
「ん?」
なんかブツブツ言ってるな。
「男の奴隷に性的奉仕させる……、もしや、あなたは……」
「え? ち、違いますよ!」
「ひ、ひいっ。と、当方にはそんな趣味はございませんので! ございませんので!」
「いや話を聞けこの野郎!」
その日は結局、奴隷を買わなかった。
聞くところによると、男が男の奴隷を買う場合はほぼ必ずちんちんを切っているそうなので、買うとしたら俺も切らなければならない。
切るのか……。
「……痛い痛い痛い」
俺は切ない気持ちでダンジョンでその日1日戦った。
「よう、どうだった?」
すると、ダンジョン内で偶然ナッケルさんに会い、そう聞かれた。もちろん自分が紹介した奴隷商店でのことだろう。
「買ったか?」
「あー、ちょっと保留で……」
「そうかー、まあ、金かかるからなあ、最初は。装備含めて」
ナッケルさんは、2人の奴隷と共にダンジョンで冒険をしている。
その2人は、どちらも男。
ナッケルさんは結婚してるし、性的奉仕をさせているってことはないだろう。
つまり……、無いのか……。
「しっかし、結婚してねえからな、羨ましいぜ?」
「? と言うと?」
「いやほら、綺麗どころの女の奴隷を買えばよ。冒険仲間にもできる上に、……なあ?」
その時、俺の脳裏に電撃が走った。
そうか、女奴隷を買えば良いのだ、と。
「ふっ、ナッケルさん、あなたは素晴らしい考えの持ち主のようですね」
「なんだよいきなり」
「今日ご飯行きましょー」
「お、良いね、行くぞー! あ、でもお前は酒飲むなよ」
「えー」
「いや、飲むなよ」
明日もう一度奴隷商の店に行こう。
俺はやる気に満ち溢れてきた。
ただ、酒を飲んでいる最中に、自分のちんちんがでかすぎて使えないと思い出し、テンションはだだ下がり。
むしろ俺以外の男のちんちんなんぞ全て切られてしまえば良いと思ったので、どっちでも良いと思い直した。
なお、吐いて怒られた。
お読み頂きありがとうございます。
ブックマークありがとうございます、今日中にもう1話頑張ります。頑張れなかったらすみません。




