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6月2週 土曜日 その2

村34 町31

ダ30 討伐1 フ8

人1 犯1

魔100 中12 上1

剣100 剣中12 剣上1

回復20

治療38

採取68

草15 花5 実33

料理7

石工2

木工10

漁1

歌2

体55

女7

『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:15 MP:100

  ATK:27+5 DEF:14+5

  CO:欠損 流血』


「ウルルル」

 ファイヤーウルフが唸り、攻撃のクールタイムが終了したことを告げる。


 次の攻撃を食らえば、HPは7、8、9、のどれかになる。9であれば、次の攻撃を受けても死なないが、7か8ならば高確率で死ぬ。

 いや、そこを耐えても、結局のところ死ぬことに変わりはない。

 もう、どうすることもできない。


 そう思ったその時――。


「ん? 戦闘中か?」

 俺が戦っていた部屋に3人の冒険者パーティーがやってきた。


「た、助けて下さい!」

 俺は彼等に向かって必死に叫ぶ。


 3人の中で中心にいる男は一瞬驚いた顔をするも、しかしすぐさま頷きこちらへ走ってきて魔物を攻撃してくれた。


 幸い、俺はそこから攻撃を食らうことなく、ファイヤーウルフは男達の手によって倒された。


「あ、ありがとうございます」

 立ち上がれないので、俺は倒れたまま男達にお礼を言う。


『ナッケル

  ジョブ:戦士

  HP:44 MP:82

  ATK:30 DEF:30

  CO:--』


「ナッケルさん」

 男と俺は顔見知り。

 飯屋で会ったこともあるし、同じく15階で戦っているため、ダンジョン内でも何度も顔を会わせている人だ。


「良いってことよ、エト、危ないとこだったな」

 ナッケルさんは俺のお礼に、強面の笑顔を作ってそう応えた。


 助かった、俺はそう安堵した。

 しかし、すぐにまだ助かったわけではないと気づいた。


 これから俺には、いくつかの危険が待ち受けている。


 まず1つ目。

 ここで見捨てられること。


 欠損して動けないのだから、運んでもらう必要がある。しかしそれは面倒だと断られてしまう場合だ。

 暇そうな奴を見つけたら伝えといてやるよ、とこの場に放置されるかもしれない。そうなればほぼほぼ死ぬだろう。いや、まあこれはあんまり無いか。


 2つ目。

 運ばれている最中に魔物の襲撃を受けること。


 俺は動けないのだから魔物から身を守ることができない。ナッケルさんパーティーは3人いるので、守りきってくれそうに思えるが、3人いるのは3人いないと15階で戦えないからだ。

 結局のところ余裕はなく、攻撃を何度も受ける可能性がある。

 ここは、出口からもそこそこ離れているし、戦闘も、最低で1回はあるだろう。


 そして3つ目。これが……正直一番怖い。

 身ぐるみ剥がされ、殺されること。


 冒険者を助けた際は、助けられた本人から報酬を受け取ることができる。冒険者ギルドに登録していれば、貢献度のようなものも貯まるそうだ。

 しかしなんと言っても、装備を全て剥がし殺してしまうのが、最も金になる。


 15階の装備は、1つ大体銀貨80枚だ。武器含め6つあるのだから、銀貨480枚。

 もちろんその値段で売れるわけもないが、しかし同じ階で戦っている以上、自分達で使うことが出来る。そうすれば、その分のお金が浮くのだ。


 ダンジョンは人が死ぬ場所である。人の死なんてのはありふれた話で、例え殺したとしても怪しまれることはない。

 そして人が死ねば、死体はダンジョンに吸収される。ヒューマンならアイテムボックスに装備を全て入れられる。証拠の隠滅など、ひどく簡単だ。


 それに、俺はナッケルさんにとって商売敵でもある。

 ダンジョンは階によって魔物の数も決まっている。復活までの時間も結構長い。だから俺達は限られた資源を争っている商売敵と言える。殺す理由としては、十分だろう。


 そのため、今のこの俺の状況は、助かったとは微塵も言えない状況だった。


 ナッケルさんの強面の顔が、にやりと歪む。

 が、流石にそれは穿ちすぎた意見だったらしい。


「どんくらい攻撃食らった? ポーションいるか?」

「……。け、結構食らいました。欲しいです」

「あーっと、今は8本ある。全部飲んどけ。出口まで連れてってやるよ。おい」

「はい」


 疑ったのが申し訳なるくらい、ナッケルさんは親切にしてくれた。

 俺は、40代のひげもじゃのおじさんに頭を持ち上げられ、口にポーションを突っ込まれる。おじさんのツンとした臭いが漂ってきたが、俺は8本のポーションを全てごくごく飲んだ。


『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:55 MP:100

  ATK:27+5 DEF:14+5

  CO:欠損 流血』


「ぷはあ、ありがとうございます!」


「ちゃんと金払えよ?」

「ははは、それはもうちゃんと。本当にありがとうございます」


「ったく。忠告無視して1人で入るからだぞ? 仲間がいりゃあこんなもん屁でもねえんだ」

「……死ぬところでした」

「なんで仲間作んねえんだ? 結構誘われてんだろ? それも結構上の方の階の奴等から。ちょいちょい聞くぞ?」


「……」


「まあ良いや、おい、背負ってやれ。今日は終わりだ、帰るぞー」

「はい」

「はい」


 俺はおじさんにおぶられ、帰路につく。

 幸い、魔物には1度しか出会わず、俺は通路の端に放り投げられ心が少し傷ついたたものの、攻撃を食らうことはなく体は傷つかなかった。


「仲間は……、仲間と一緒にダンジョンに入ってるナッケルさんに言うのもあれですけど、裏切られるとかが恐くて。昔馴染みとかいないですし」

 そして、ダンジョンの出口が見えてきた頃、俺はそんな話をナッケルさんにした。


「ああ、そういうことか」ナッケルさんは納得がいったという表情で、隣を歩くおじさんに背負われた俺を見る。「俺もそうだよ、出は結構遠くの町でな。だからパーティーは奴隷としか組んだことがねえ」


『ロジョー

  ジョブ:冒険者

  HP:24 MP:100

  ATK:25 DEF:28

  CO:奴隷』


『パースリー

  ジョブ:剣士

  HP:48 MP:50

  ATK:30 DEF:30

  CO:奴隷』


 俺は俺を背負っているロジョーさんと、前方を歩くパースリーさんを見た。確かに2人共、奴隷のようだ。

 状態異常が奴隷になっているし、首輪もつけている。


「奴隷は良いぞ? 最初の金はたけえが、裏切る心配はねえし、儲けはほとんど懐にいれられる。お前もそれが心配なら奴隷を買えよ」

 ナッケルさんは強面に笑って、俺の背中をバンバン叩いた。


 そうして俺達はダンジョンから出て、そのまま冒険者ギルドへ。


 俺は欠損が回復するまで、ギルドの隅っこに転がされ、回復したら、ナッケルさん達と共にギルドの応接室へ。


 助けてもらった報酬を支払うためだ。


「15階ということで、銀貨15枚を3名に支払って頂きます。ただ、お二方が奴隷ということで、その分が半額となり、合計は銀貨30枚となります。また魔物1匹と戦ったとのことで、プラス銀貨15枚。それから、使用したアイテムがポーション8つですので、倍の値段の銀貨4枚と銅貨80枚を加え、計、銀貨49枚と銅貨80枚。報酬としてお支払いいただきます」


 命を救ってもらった代償は、結構高めに設定されている。

 1人1人に階数分の銀貨。それから魔物1匹と戦うたびに、階数分の銀貨がプラス。

 数日分の稼ぎどころか半月以上頑張って、ようやく武器防具代として貯まる金が吹き飛ぶ計算だ。正直、金貨の貯蓄がなければ、死活問題になるところだ。


 しかし、そうでないと、助けずに殺してしまえ、という論法が横行するかもしれない。

 それを思えば、多分安いものなんだろうと思う。


「また、エト様は冒険者ギルドに登録されておられないため、ギルドへの手数料として2割頂きます。お支払い頂く額は、合計で銀貨59枚と銅貨76枚になります」

 ただ手数料はなんか納得いかない。たっか。


「ありがとうございました」

 金を払い終え応接室から出た俺は、一緒に出てきたナッケルさん達に、改めて頭を下げた。


「良いってことよ、こういう時は持ちつ持たれつだろ?」

 するとナッケルさんは、まるでお金を貰っていないようなことを言いながら、良いコトを言った風な顔をした。

 モヤモヤしながら俺は、苦笑いで返す。


「そんじゃあな。あ、そうだ、仲間に奴隷、考えとけよ。町にゃ奴隷商は一軒しかねえから、行く時は紹介してやるよ」

「あ、はい……」

 ナッケルさんと、2人の奴隷は去って行く。俺の心にやはりモヤモヤを残して。


「奴隷、か……」

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークもありがとうございます。


ようやくここまでやってきました。あと少しです。

ただ、あと少しというのはただ仲間が増えるだけのことで、その仲間との展開が進むのは、やはりさらに先ですが。そこまでは一生懸命頑張ります。何月になることやら、ちょっと分かりません。

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