6月2週 土曜日 その1
村34 町31
ダ29 討伐1 フ8
人1 犯1
魔100 中12 上1
剣100 剣中12 剣上1
回復20
治療38
採取68
草15 花5 実33
料理7
石工2
木工10
漁1
歌2
体55
女7
ダンジョンにおいて、気をつけることベスト3。
第3位は状態異常。
HPが減る毒、DEFが減る流血、様々あるが、ベスト3にランクインした理由は、欠損である。
ダンジョンでは欠損状態に陥っても、その先がなくなるわけではなく動かなくなるだけで、麻痺とそう変わりはない。
しかし麻痺と違い欠損は、高価なポーションを使わなければ治せない。そして自然治癒までには相当の時間がかかり、首を欠損すれば、首から下が一切動かない事態に陥る。
例え仲間がいようとも、戦闘中にそうなってしまえば、生き残ることはかなり難しい。
なぜなら、動けなくなった仲間を背負って逃げようにも、装備によっては重量が300kgを越えるのだ。
運ぶ者達も200kg300kgの重量があるため、運べないことはないが、戦いが終わるまでは難しく、また戦いが終わってから出口へ向かっても、辿り着くまでに魔物と出くわすことは1度や2度では済まないだろう。
それに全員揃っての人数でやっと戦える階にいるのだから、1人減った状態では苦戦も必至。動かない者は何度も攻撃されてしまうだろう。
もしもそんな風に重い欠損になってしまったのなら、死を覚悟すべきだ。
第2位はHP残量。
HPという言葉は一般にないが、概念はある。それの残量に注意することは、冒険者にとって絶対だ。
HPは見えないものであるし、減ったところで体調に変化をもたらすものでもないため、残りが1になっていても誰も気づけない。
すると本当にアッサリ死ぬのだ。HP管理は常に怠ってはいけない。
欠損などのように、滅多にならないものではなく、毎日毎回気をつけなければならないものなので、HP残量が第2位。
そして栄えある第1位は、仲間の裏切り。
裏切るタイミングというのは、決まって最悪のタイミング、必殺のタイミングに他ならない。
裏切られてしまったならば、どれだけ鍛え対策していようが、ほぼ確実に死ぬ。
だから、仲間というのは、本当に重要だ。
絶対に裏切らない人、というのがいるのかどうかは分からないが、そんな人を選ばなくてはいけない。
俺は仲良くなった冒険者達を頭に思い浮かべ、一緒に冒険をする想像をしてみたが、ちょっと、無理そうだった。
1ヶ月2ヶ月は上手くいくと思う。笑いあいながら楽しく、そして全てが順風満帆だろう。けれどもいつかは壁にぶち当たる。それが乗り越えられる壁だったとしても、その時に偶然お金がポロリと転がりこんできた時、果たしてどうなるのか。そんなのは、言わずもがなというやつだろう。
それは、きっと俺が余所者だからとか、そんな話でもない。
人間の性の話だ。
だから俺は今日も1人で、15階にやってきた。
ファイヤーストーン、ファイヤーウルフ、バンペスト、ファイアーフロッグ、敵はいつも通り。
まるで作業のように、俺は自らの体と魔物の行動を操って小銭を稼いで行く。
いつもの日常。
進んでいる感覚もなければ、何かが叶う予感もない、
だから、良くない戦いだった。
集中力を完全に欠いていた。ダンジョンでの戦いに飽きて、全てがおざなりだった。
こうなるのも当然だろう。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:61 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
俺は、ダンジョンで気をつけること第3位、状態異常、欠損を食らってしまった。
それは、首から下の欠損。
ファイヤーウルフが飛びかかってきた際に、俺はいつも通りの対処を行った。盾を装備する左手でぶん殴る対処だ。
そうすれば、攻撃を逸らしつつ怯ませられる。一挙両得の手というやつだった。
しかし、ファイヤーウルフが1匹だったことから、俺は気を抜いており、そんな気持ちで繰り出した攻撃では、威力が足りていなかったのだろう。ファイヤーウルフはパンチを食らいながらもコースを変えず、俺に食いかかってきたのだ。
本来なら高さ的に、胸辺りに噛み付かれるため、防具が傷つくも事なきを得るのだが、パンチが押し戻されたせいで、俺はバランスを崩し尻餅をつく寸前だった。
だからファイヤーウルフの顔の位置には、丁度俺の首があった。
胴防具は、革素材で首を守ってくれてはいるが、ファイヤーウルフの牙はそれなりに鋭く、顎の力はそれなりに強い。食事の度に肉を食い千切るオオカミなのだから当然だろう。
そうしてファイヤーウルフは、革部分に穴を開けながら、俺の首を深く噛み砕いた。
あまりの激痛と、あまりにも唐突なことに叫び声すら出せず、俺は糸が切れた人形のようにその場に倒れ、動けなくなった。
欠損したと気づいたのは、すぐだった。
「う……おお……、ヤバイ、マジでヤバイ。これ」俺はうめくように言う。「体、全然動かねえ、嘘だろ……?」
ジタバタと動くことすらも叶わない。
足に力を込めても、足はピクリとも動かない。
手に力を込めても、手はピクリとも動かない。
体を起こそうとしても、体は全く起き上がらない。
声を出すことすら難しい。
噛まれてすぐは、ダンジョンで良かったと一瞬思った。外ならきっと即死だっただろうから。
噛まれたのも革部分で良かったと思った。革なら直すのも安い。スキルで直すんだから、鉄部分の穴も革部分の穴も変わらないだろと言いたいが、革の方が断然安い。
しかし、もうそんな考えは露ほども持っていない。
「ガウッ」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:53 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
このままではなぶり殺しになるだけだと、気付いたからだ。
「まずいまずいまずい」
口からはそんな言葉がついてでて、再び必死に体を動かそうとしたが、一切動かない。満身の力を込めても1mmすら。
動くのは首から上。顔だけ。
だからか、迫ってくるファイヤーウルフの顔だけはよく見えた。
「ガウッ」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:45 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
「グルルルル」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:38 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
もちろん、自分を見ることもできるから、自分のHPもよく見える。
残り4割。
首を食い千切られるという攻撃だったために、流血の状態異常も凄まじいものが付与された。防具は壊れていないのに、DEFが半分になっているのだ。
そのせいでダメージは1度で平均8ダメージ近く。
あとたった5回。5回攻撃を食らえば、それで、俺は死ぬ。
ダンジョンでは、少しの油断が命取り、まさにその通りだ。あれだけ簡単に戦えていたここでさえ、油断すればこうなる。こうなって、死ぬ。
……嫌だ。
死にたくない。
「誰かっ! 誰かいませんか! 誰かっ!」
俺は必死に叫んだ。
首から下の欠損のせいで、大声どころか上手く声すら出せないが、それでも叫んだ。
しかしダンジョンでは、音は一切響かない。俺の声は、この部屋を一歩出たところにすら届いていないはずだ。
「誰か!」けれども俺は叫んだ。「誰か!」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:31 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
死にたくないと、必死に。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:23 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
「助けて!」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:15 MP:100
ATK:27+5 DEF:14+5
CO:欠損 流血』
減っていくHPが見え、その恐怖に思わず涙が零れる。
死にたくない。どうして死にたくないのか、理由は1つも説明できないが、俺はそう思い、叫んだ。
「誰か、助けて下さい! 助けて……」
お読みいただきありがとうございます。
これからも頑張ります。今日中にもう1話投稿したいと思っています。思っているだけでできなかったらすみません。




