6月2週 水曜日
村34 町28
ダ27 討伐1 フ8
人1 犯1
魔100 中12 上1
剣100 剣中12 剣上1
回復14
治療38
採取68
草15 花5 実33
料理7
石工2
木工10
漁1
歌2
体55
女7
装備品は消耗品である。
半年も使えば、大体は壊れてしまう。
そのため冒険者は、日々の稼ぎを散財せずに、装備を買う用の資金としてせっせと貯めたり、ツケやローンで買った武器防具の返済に追われなければならない。
なぜなら冒険者が各階で稼げる額はある程度決まっており、そしてATKやDEFによっても値段がある程度決まっている。
ゆえに、大体何日稼げば武器防具を買えるようになるかもまた、必然的に定まってしまうものなのだが、それと装備品が壊れる速度は、恐ろしいほどピッタリなのだ。
10階では、銀貨4.25枚が稼げる。10階で戦う人はほとんど休まないため、週に6日ダンジョンに行くが、そうなると、25.5枚。
1日の生活費に銀貨2枚を使うため、1週間では銀貨14枚。そこからさらにポーション類の購入代金を引くと、手残り金額はおおよそ銀貨8枚ほどになる。
使用する武器はATKが20、防具はDEF4のもので、値段は大体銀貨30枚ちょっと。下回る物よりは上回る物の方が多いくらい。
価格を1日の手元に残る金額で割ると、つまり武器防具購入のためには、4週間近くダンジョンヘ行く必要があることが分かる。
15階では、銀貨9.45枚が稼げる。2人で冒険する人達は隔週で休むことがほとんどのため、5.5日換算にすると、週に稼げる銀貨は、約52枚。
1日の生活費に銀貨3.5枚を使うため、1週間では24.5枚。そこからさらにHPMPポーションや増えてきた状態異常を回復するためのポーションなどを購入し差し引くと、手元に残る金額は、銀貨20枚前半になる。
使用する武器はATK30、防具はDEF5のもので、値段は大体銀貨80枚ほど。
価格を1日の手元に残る金額で割ると、やはり4週間近くダンジョンへ行く必要があることが分かる。
装備品は、武器、頭、胴、腕、腰、足の6種。
もちろんその内、武器の破損が一番早く、頭が一番遅い。頭なんて2,3年持つこともあるらしい。
しかし全体の平均で見れば半年。だから装備品全体を見て考えると、1ヶ月間隔で壊れることになる。
装備品分の金額は、1ヶ月で貯めないといけない。
4週間は1ヶ月。そのためどちらも1ヶ月。ピッタリだ。
だから冒険者は、貯金や返済に追われることになる。
銀貨30枚が貯まる頃に、銀貨30枚の武器防具が壊れ、銀貨80枚が貯まる頃に、銀貨80枚の武器防具が壊れるということなのだから。
そしてもし貯金が少しでも遅れたなら、ATKやDEFの低い装備を購入するか、馴染みの商家にツケを頼むか、冒険者ギルドでローンを組むかしかなく、もし返済が少しでも遅れたなら、馴染みの商家に泣いて縋りつくか、冒険者ギルドで強制的にいくつかの任務をこなすしかなくなる。
また、時折、装備品はアッサリと壊れることがある。
俺も1度、購入した剣を1週間ほどで折った。
そんな時も同様で、ATKやDEFの低い装備を購入するか、馴染みの商家にツケを頼むか、冒険者ギルドでローンを組むか、あとは知り合いに借りるか、防具ならもう無しで入るか、そんな感じだ。恐ろしい。
もちろん生活費を削れば、1ヶ月よりも早く装備品の代金を賄えるだろう。
1日銀貨3.5枚のところを銀貨2枚にするだけで、1日1.5枚の銀貨が多く貯まるのだから。
しかし、冒険者が高い階に行くのは、良い暮らしをしたいからに他ならない。
わざわざ高い階に行っているのに、低い階の時と同じしょぼい暮らしをするのなら、低い階で戦っている方が死ぬ可能性が低い分、ずっとマシだ。
こうして、冒険者業界は成り立っている。
案外皆、ギリギリの生活をしているようだ。世紀末だよこんなん。
だから、実は1つ、問題が発生している。
お気づきだろうか。
先輩面をしてくる冒険者からこんな説明を受け、俺なりに分析し色々な計算式を出したが、ここには重大な秘密が隠されている。
なんと……、老後がヤバイ。
あと怪我した時とかもヤバイ。
「へっへっへ、こうやって俺達はな、爺さんの爺さんの爺さんの代から教えられて毎日稼いでんだよ」
そいつは飯を食いながらそう言うが、ちょっと待て、あなたの老後は大丈夫ですか? 体力はどんどん減っていきますよ、60代になっても稼げますか?
「親父からこのことを教わってなあ、本当に感謝してるぜ」
あなたの親父さんは大丈夫ですか? 年金が足りないどころか、年金自体無いんですよ!
冒険者は、恐ろしい職業だ。
俺の老後も、完全にピンチだ。
正直、貯蓄に回すお金は一切ない。以前の1日銀貨2枚生活のまま過ごしていれば少しずつ貯蓄もできたのだろうが、銀貨3枚と銅貨50枚の生活を送っているせいで、完全に0になった。
しかし、今更銀貨2枚のあの生活には戻れない。だってあの生活は貧しいんだもの。
この生活を維持しながら貯蓄をしたいが、もう稼ぎは頭打ちになっている。
稼ぎが階で決まる以上、稼ぎたいなら上の階に行くしかないが、16階17階は2匹で出て来る魔物の割合が増える。厄介な種類の魔物も増える。戦える回数は絶対に減って、結局危険だけ増えて稼ぎは変わらないだろう。
そして少ない戦いでも稼ぎを増やそうと21階に行けば、魔物は3匹出てくるようになる。
2匹相手でもてんやわんやなのに、死ぬ未来しか見えない。1人じゃ無理だ。
『イッサイワカガエール 金貨10枚』
こんなアイテムもあるので、年間で金貨10枚が稼げれば、動けなくなる老後を無視できる、という荒業も俺には存在する。
しかし……金貨10枚ってどうやって稼げば良いんだ。あばら家で1日銀貨1枚くらいで過ごすとか?
若返り続けるからそれを永遠に?
それは一体どんな生き地獄だ。
16歳にして老後の心配をしなければいけないとは、異世界とは、そして冒険者とはなんて因果な職業なのか。
とはいえ、冒険者なんていつまで生きていられるか分からない商売だから、将来のことを考えても仕方ないのかもしれないけれど。
なにせ、冒険者仲間が死んだというのに、そいつの友人までもが1日2日で通常営業に戻っているのだ。恐ろしいよ。
そう言えば、ケビンさん達も元いた仲間、名前なんだっけ、俺が異世界に来た初日で死んだ人がいたが、数日経てばもうケロっとしていた。
異世界怖いよ。
考え込んでた俺が馬鹿みたいじゃないか。
随分と命が軽い世界に来てしまったものだと、俺は改めて思った。
だからこそ、俺は死なないように心がけて、将来必要なお金を少しずつでも貯蓄していこう。
そんなことを誓った今日だった。
お読み頂きありがとうございます。
1日に稼ぐ金額がいくらで、必要な金額がいくらで。そんなことを計算するのが好きすぎて、そのために書いてる作品です。
なので、面倒かもしれませんが、耐えて下さいますよう、よろしくお願いします。もうすぐ話も進みますので。




