6月1週 土曜日
村34 町24
ダ24 討伐1 フ8
人1 犯1
魔100 中12 上1
剣100 剣中12 剣上1
回復4
治療38
採取68
草15 花5 実33
料理7
石工2
木工10
漁1
歌2
体55
女7
装備する武器、防具の性能、つまりATKやDEFは、基本的にその階に出てくる魔物と同じである。
階の2倍。
5階ならばATK10、DEF10。
10階ならばATK20、DEF20。
15階ならば、ATK30、DEF30の武器防具を装備する。
俺以外にATKやDEFが見える人に出会ったことはないが、全員が、大体そんな装備をしている。
おそらく、長年紡がれてきた冒険者の歴史が、それが適性だと言っているのだろう。
ATKが低ければ、戦闘が無駄に長引き疲れて稼ぎが減る。
DEFが低ければ、いつの間にか死ぬ。
安物ならば脆いためにすぐ壊れ、安物買いの銭失いを地で行くことになる。
ATKやDEFが高ければ、それは嬉しいが、高価であればあるほど壊れた際に、そこでの稼ぎで賄えなくなる。
俺も鉄の剣が壊れた時は、正直泣きそうだったよ。宿に泊まることを諦めても買えないんだから、そりゃあ賄えない。
だから、そこら辺の平衡があって、皆そういった武器防具に落ち着いているのだと思う。
経済に詳しい人なら、きっともっと正確な答えを思いつくんだろうが、まあ、そんなことは俺の人生に関係がない。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:100 MP:100
ATK:27+5 DEF:29+5
CO:--』
大切なのは、武器や防具を壊さないことさ。
……まさかファイアーフロッグの舌の一撃で、腕の防具が壊れるとは思わなかったよ。
昨日、ヘトヘトの中、もう1戦だけ頑張ろうと思い彷徨っていると、ファイアーフロッグを見つけたので勝負を挑んだ。
順調に進んでいたのだが、後ろにステップを踏んで下がった際、足がもつれてこけてしまったのだ。
そこで焦らなければなんとかなったんだろうが、焦って慌てて立ち上がったところ、足が疲れていたためにバランスを崩し、丁度壁にもたれかかる形になってしまった。
そこへ舌がきたのだ。
体をずらし、胴体部分は避けることに成功したが、避けた分、腕が犠牲になった。
壁との間に挟まれて、腕の鎧はベコンと思い切り凹んでしまった。
鍛冶屋に行って聞いてみたところ、修繕不可能。
さようなら、ライアスさんの腕鎧。
もう貴様に用はない。
最後の1戦なんて、欲張らなけりゃ良かった。
銀貨1枚得るために、銀貨53枚も使わされてしまった。あと修繕可能かの見積もり代金、銅貨20枚。がめついわあ。
『鍛鉄の籠手
ランク:1
DEF:5』
防具、あんまり強そうに見えないのに、高い……。
値上がりの幅も異常だ。DEFが4のものは銀貨30枚を切るのに、DEF5は53枚。DEFが6になれば銀貨80もするのだ。なんか……詐欺じゃない? と思ってしまうのは俺だけだろうか。
「やっぱりああいう時に仲間が……、いや、仲間は駄目だ、信用できない」
なにせ20年来の仲でも――、と俺はお決まりの文句を言って、今日もダンジョンに入り、魔物を倒す。
1対2だと観察の隙がなく、ただただ来た攻撃を避け、当てられる攻撃を当てる。そんな戦いになってしまうが、1対1なら観察の隙は十分ある。
どういう状況で、どの攻撃を仕掛けてくるのか。攻撃を仕掛けない条件は。スキル発動の条件は。
1対1の時、俺は1つ1つ魔物の挙動を観察していく。
目の前にいるのは、赤い石。
直径20cmほど。ボーリングの玉のような魔物。
『ファイヤーストーン
ジョブ:熱石
HP:100 MP:100
ATK:30 DEF:30
CO:--』
石の表面のどこを探しても、目や耳はついていないが、こちらの位置は完全に把握しており、転がって攻撃してくる。
最初に見た時は、転がって攻撃してくるなんて当たるわけがない、コイツは雑魚だ、と思ったが、案外転がり攻撃は厄介だ。
まず初速がそこそこ速い。近くで転がり始められると、躱すのが難しい。
また、必ず軸足を狙ってくる。どうやって判別しているのかは知らないが、今のところ100%。なので動かすために軸足を変える必要があり、時間がかかる。結果躱すのが難しい。
躱せないなら止めれば良いじゃない、と思い、サッカボールを止める要領で1度止めてみたのだが、その時は呆気なく跳ね飛ばされた。
全身に鎧、それから片手剣と盾を装備している俺の体重は、軽く100kgを越えると思うのだが、全く止められる気配はなかった。
ダンジョンじゃなかったら、膝や股関節を完全に痛めていただろう。強い。
そして、奴は硬い。
剣で怯ませようと思いきり叩けば、あの憎きコガネオンのように、剣をバキバキ折ってくるくらいに硬い。
あいつは、表面の硬さだけじゃなくて、殻と殻の間に挟まって折れるってパターンが多かったので、また違うかもしれないが、まあ何にせよ剣を折られるのはゴメンこうむる。
刃が欠けた、曲がった、それくらいなら修繕すれば直るが、それにもお金はかかるし。
だから俺は、そういう事態に陥らないよう、ファイヤーストーンの一挙手一投足を観察する。手足ないけど。
「軸足に攻撃するんだから、途中で変えれば――、っと、なるほど、無理矢理方向転換するのね。たまに曲がってたのはコレか」
軸足をいつもの左足から右足に変えた瞬間、赤い線がグネっと曲がり、ファイヤーストーンも右足に向かって転がってきた。
直角で曲がれるわけじゃないのか、結局は足の間を通り抜けていったのだが、避けるタイミングによっては当たる。
当たれば軸足を跳ね飛ばされるのですっ転ぶ。この避け方は駄目だな。
「タイミング合わせてジャンプ――、いやお前も跳ぶんかーい。ってジャンプ力、低っ」
俺が跳ぶと、ファイヤーストーンもそれにあわせるように跳びあがった。ただし3cmほど。俺に当たるわけがない。
「この避け方はいけるかも――、ってスキル? 条件って10mくらい離れるじゃなかったっ?」
『ファイヤーストーン
ジョブ:熱石
HP:100 MP:84
ATK:30 DEF:30
CO:--』
MP消費は、16。
第一段階の急加速スキルのMP消費は2~4だから、これは違う。第二段階スキルか? 見たことねえ。
そう思った瞬間、俺の視界が真っ赤に染まった。
「えっ?」視界どころか、俺の周囲全て。ファイヤーストーンから放射状に、超広範囲が赤い線に包まれている。「なんじゃこりゃ! まさか、火吹くのかっ?」
赤い線が広範囲に長く続く。
クレーアントの酸を吐くスキルに似ている。あれの射程距離は短いが、拡散する酸の形に赤い線が引かれるため、近くにれば視界が真っ赤に染まることになる。
それと同じことを、このファイヤーと名を冠するファイヤーストーンがすると思えば。
俺は慌てて顔を焼かないよう盾で顔を守り、目や肺が潰れないように目を閉じ呼吸を止めた。
そして、攻撃が来る。
「……」それは生暖かい穏やかな温風だった。「ええー……」
そう言えば、ジョブは火石じゃなくて、熱石だったっけ。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:95 MP:100
ATK:27+5 DEF:29+5
CO:--』
「あ、でもHP減ってる!」
納得いかない!
「まあともかく、起動条件はジャンプで攻撃を避ける。いや空を飛ぶ敵に対しての攻撃手段、って考えた方が良いかな? 試しに攻撃とは関係ないところで跳ぶと……、来ないか。なら跳んで回避することが条件か、いや、もしくは一定時間は撃たないかだな。そういうやつもいるし」
俺はこうして、今日も魔物を一匹一匹検証していく。
検証しつくして丸裸にすれば、もうこっちのもの。倒すのはとても簡単になる。
1人で15階でやっていくためには、こういった努力が欠かせない。怠れば、戦いは途端に厳しいものに変わり、ともすれば死んでしまう。
しかし、1つだけ、魔物を検証していくことには、弱点というか、難点がある。
それは――。
「おい、エトの坊主、もうここ通って良いか?」
「あ、はい。もう大丈夫です。すみません、気づきませんでした」
俺は、同じく15階で戦う他の冒険者に声をかけられた。20歳くらいの女の人と、30過ぎの男の人の2人パーティー。
俺のいる場所の先に行きたかったようだが、俺が戦っていたために、通らずに待っていてくれたらしい。
「良いってことよ、お互い様だしな。……しかし、お前……、1人か?」
「あ、はい。1人で戦ってます」
「……、ずっと、喋ってなかったか?」
「……」
「……独り言か?」
「……」
「……」
「……」
「若いのにな」
「……はい」
魔物の検証の弱点は、考えるためにブツブツ呟いていると、周囲の人に見られた時に、とても変に思われることである。
仲間を、仲間を見つけるべきなのか……。
お読み頂きありがとうございます。
これからも頑張ります。
主人公の現在所持しているお金ですが、ちょっと多いかな、と最近思い始めました。
元々この後予定したストーリーのためのお金だったのですが、ストーリーは刻一刻と変化してしまっているため、いらなくなりそうです。いつか減らすかもしれません。
しまりがなく申し訳ないです。




