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6月1週 金曜日

村34 町23

ダ23 討伐1 フ8

人1 犯1

魔100 中12 上1

剣100 剣中12 剣上1

回復2

治療38

採取68

草15 花5 実33

料理7

石工2

木工10

漁1

歌2

体55

女7

 フィクションの戦いではいざ知らず、実際に戦うとなると、戦闘時間は非常に重要なものである。


 ボクシングが3分で区切られ、1分のインターバルが設けられているのはなぜか。

 野球の攻守が交代で行われ、投手に球数制限が設けられているのはなぜか。


 疲れるからである。


 パンチを繰り出す、パンチを避ける。ステップを踏んで移動する、相手の懐に潜り込む。

 ストレートを投げる。変化球を投げる。打たれた球に反応する、ベースカバーに入る。


 こんなことを休む間もなく連続して行っていれば、体力はすぐさま尽きてしまう。


 ダンジョンでの戦いも同じだ。


 剣を振る。攻撃を避ける。踏み込む、下がる。

 これらの動きを休む間もなく連続して行っていれば、体力はすぐさま尽きる。適度に休憩を挟まなければ、到底持たない。


 だが、ダンジョンでは、魔物が死ぬまで休むことはできない。

 ボクシングのように、逃げれば耐えれば休憩できる、なんてこともなければ、野球のように誰かが交代してくれるわけでもない。


 魔物が死ぬまでは剣を振り続け、魔物が死ぬまでは攻撃を避け続け。

 魔物が死ぬまでは踏み込み、下がらなければ、こちらが死ぬだけなのだ。


 だから魔物を倒すまでの時間、戦闘時間はとても重要だ。

 それが長くなると、最後には疲労で動けなくなる。無論、死に直結する。


 15階での、特に2匹出てきた際の戦いは、そんな死に随分近づいていると俺は思う。


「ふう、はあ、ふう、はあ」

 俺は肩で荒い息をしている。


『ファイヤーウルフ

  ジョブ:火狼

  HP:21 MP:100

  ATK:30 DEF:30

  CO:--』


『ファイヤーウルフ

  ジョブ:火狼

  HP:35 MP:100

  ATK:30 DEF:30

  CO:--』


『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:88 MP:100

  ATK:27+5 DEF:30+5

  CO:--』


 俺の前には、2匹のファイヤーウルフ。15階で最も強いかもしれない組み合わせ。

 見かけ次第逃げることを徹底しているのだが、今回は通路から部屋に入ったところで、丁度バッタリ出会ってしまった形のため、逃げられなかった。


 やむを得ず戦い、ここまでダメージを重ねてきたが、俺はもう疲れた。

 とても疲れた。


「ガウッ」

 ファイヤーウルフが飛び上がり、俺の胸か脇腹辺りに噛み付こうとしてくる。

「ええーいくそう、ちょっとは休ませろ!」

 俺は左手の盾を振って、それを横から殴りつけた。


 重い感触を、腰の回転で押し出すように振りきって、ファイヤーウルフは噛み付くことなく俺の右側に着地した。

 そこへ攻撃したいが、疲れた俺の体は、左手を振った勢いに負け、攻撃できる体勢にはなっていない。

 その隙に、もう1匹のファイヤーウルフがやってきた。


「ガウッ」

「うおいしょーっ」

 飛びかかって行う噛み付きを、俺はでんぐり返しのように躱す。多少みっともないが、避けるためには仕方ない。


「この野郎、反撃だ!」

 そして俺はでんぐり返しから素早く立ち上がると、盾で殴った方のファイヤーウルフを斬りつけようとした。

 その場から離れるようにでんぐり返しをしたため、そのファイヤーウルフは、俺の背中側にいた。そのため視界から外れていたが、いる場所は分かっている。

 俺は振り向きながら剣を振りかぶり、青い線を探す。


 疲れている今は、どうしても剣のスピードが遅くなるから、予め剣を振り始めておいて、振り向きざまに正確に把握し、青い線に乗せよう。そういう考えの行動だった。

 完全に失敗だった。


 ファイヤーウルフを見つけ、良しちゃんといるぞ、と思ったのも束の間、そのファイヤーウルフへ向かう青い線は、どこにもなかった。

 つまりは――。


 俺の剣の軌道に対し、ファイヤーウルフはサイドステップをするように横に飛んだ。

 剣は空を斬る。流石に空振りしたからと言って、足を斬るような真似はもうしない、が、すぐさま別の行動に移ることはできない。


「ガウウッ」

 横っ飛びから着地したファイヤーウルフは、飛び上がり、俺が咄嗟に前に出した右腕に噛み付く。


『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:85 MP:100

  ATK:27+5 DEF:30+5

  CO:--』


「グルルルル」

 そして唸りながら頭を振った。


『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:81 MP:100

  ATK:27+5 DEF:30+5

  CO:--』


「いってえ――、いや鎧の上だから痛くないんだけどさ!」

 右腕を払うのと、ファイヤーウルフが離れるのは同時だった。お返し、とばかりに俺は一歩踏み込んだが、もう1匹のファイヤーウルフが攻撃を仕掛けてくるのが横目で見えた。

「でえええいくそー!」


 1対2の戦いというのは、中々辛い。とても疲れる。


 基本的に、15階での戦闘時間は、1戦あたり15分だ。

 魔物の種類にもよるし、魔物の数が1匹か2匹かにもよるが、平均すれば大体そんなもの。


 自分のATKと相手のDEFが同じであれば、1度の攻撃で5ダメージ。どんな生物でもHPは100なので、20回攻撃すれば死ぬ。

 そんなに時間はかからないように思えるだろう。5分もあれば終わるんじゃないかと思うだろう。少なくとも俺は思っていた。


 しかし、戦闘と言うのは、無酸素運動の連続だ。

 剣を振る。攻撃を避ける。踏み込む、下がる。これらはちんたらやっても意味がない。やるのなら、全速力で行う必要がある。掠らせるだけの連続攻撃でも。

 ゆえに、無酸素運動。使用する筋肉は白筋。


 白筋は、マラソンで使う筋肉ではなく、100mを疾走するための筋肉。

 パワーや瞬発力はあるが、持久力はない。

 以前聞いた話では、100mを走りきることもできないそうだ。だからオリンピックに出るような100m走選手でも、60mを境にタイムを徐々に落としていく。


 ゆえに、5回も剣を振れば、腕に疲労がたまる。

 突発的な回避運動は、1回しただけでも多少息が荒くなる。

 近づいた状態のまま、攻撃し続け回避し続けることができないのだから、何度も距離をとって、そして近づかなければならないが、そうこうしていると足にも限界がくる。


 20回攻撃、というのは、案外中々に遠い。

 途中途中に、睨み合いという名の休憩時間を設けなければ、とてもじゃないが届かないくらいだ。


 それに、20回の攻撃で死ぬのはこちらも同じ。

 そしてこちらは魔物と違って、稼ぎ終わるまで20回攻撃されてはいけないのだから、攻撃を絶対に食らってはいけない。

 1匹につき2回攻撃を食らえば、4匹しか倒せなくなる。稼ぎは銀貨4枚以下。だから何よりも回避を優先しなければならない。

 1戦あたり15分かかるというのは、むしろ納得の数字だ。


 俺がファイヤーウルフ2匹を倒し終えたのは、20分と少しが過ぎた頃だっただろうか。

「ああ、疲れた。はあ、疲れた」

 俺はそう言って、腰をドスンと地面に下ろした。


 そして腰に下げている水筒を手に取り、中の水を勢いよく飲む。

「もっと仕事しろよファンタジー……」


 魔物なんて言う化け物を相手にしなきゃいけないのに、対抗手段が筋トレとランニングってどうよ……。

「俺のファンタジーの味方はこいつだけだ」

『カラダゲンキナールスコーシ 銅貨10枚』


 俺は水に続いて、それを飲む。

 不透明のビンに入った液体。密閉されたキャップを捻って開け、飲んだ味わいは、どこかで飲んだことがあるような、ないような。

 ともあれ、俺は少し元気になった。


「武器防具の重さ0とか、ジョブとか。色々ファンタジー要素はあるはずなんだけどなあ。……まず俺の場合ジョブが死んでるからなあ」

 ジョブ異世界民。

 全ての武器と防具を装備可能なこのジョブは、ある意味最強と言えるが、しかし本当は別に最強でも何でもない。

 なぜなら、自分の戦いにあった武器防具しか、そもそも装備しないから。全部が装備できたところで、全く意味がない。ビックリだ。


 ジョブにとって最も大切なのは、スキルだが、異世界民のスキルは……、詠唱が難しい。長い。まだできたことない。

 できたことないので、何か分からない。

 最早死んでいる。


 そしてスキルが発動したところで、異世界民のスキルが、ダンジョンで使えるとは思えない。

 なんだろう、異世界民、何が起こるのか。元の世界に帰れるとか? いやそれはないか。

 まあ、つまりは、ダンジョンでの戦いはこれ以上楽にならない。


 楽にしたいなら、時間を短縮したいなら、俺が上達するしかないわけだ。

 ……しんどいわ!


「あーどっこいしょっと」

 俺は5分ほどの休憩を終え、再びダンジョン内を散策する。


「やっぱり仲間って必要かねえ」

 そんなことを呟きながら。

お読み頂きありがとうございます。

ブックマーク、それから評価ありがとうございます。嬉しいです。


さて最近投稿の間隔があいています。申し訳ありません、取り戻せるように頑張りたいと思います。

と言っても、今週末は予定がビッシリで、投稿できそうにありません。その前と後で頑張ります。


前書き部分を少し変更致しました。

今まで回復だった部分を、治療に変え、そして回復は別のものを意味することとしました。

今後も多分たくさん変わります。メモのようなものです、気にしないで下さい。


日があいたにも関わらず読んで頂いて、本当にありがとうございました。これからも頑張ります。

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