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6月1週 木曜日

村34 町22

ダ22 討伐1 フ8

人1 犯1

魔100 中12 上1

剣100 剣中12 剣上1

回復38

採取68

草15 花5 実33

料理7

石工2

木工10

漁1

歌2

体55

女7

 ダンジョンに入る際は、持って入らなければならない物がいくつもある。


 武器防具に、許可証。

 それから毒を使う魔物がいれば毒消しポーション、火傷させてくる魔物がいれば冷却ポーション。


 超時間ダンジョンに入るなら、水はもちろん、食料も必要だ。


 上階を目指すなら、現在の階の部屋と通路をメモする用の紙や板。

 余裕があれば、武器や防具が壊れた時用に、予備の武器防具。


 ヒューマンでないのなら、ドロップアイテムがアイテムボックスに入れられないため、大きめのリュックも必要である。


 映画によくあるダンジョンのように、ヘルメットにライトを付けたものや、縄梯子やロープ、サバイバルナイフなんかは必要ないが、それでも意外と持っていなければならないものは多い。

 そして1日に1度しか入れないダンジョンでは、何か忘れ物をしてしまうと取りに帰る事は不可能になる。

 それは1日の稼ぎに大きく関わるため、毎日の忘れ物チェックは欠かせない。


「あれ持ったそれ持ったこれ持った。よし」

 俺は部屋を出て、1階ロビーを清掃していたアパートのオーナーに挨拶をすると、近所のパン屋にやってきた。


 良い匂いが辺りにたちこめる割に、そこまで美味しくないのが難点のこの店だが、ここではなんと、惣菜パンが売られている。


「こんにちはー」

「おお、エト坊、すっかり常連になってくれたな。そうだ、お前の言ってたパンにミンチの肉を挟むコレ、作ってみたんだが中々いけるな」


 この店主は俺より4つ5つくらい年上なだけだからか、中々革新的な人で、新しいパンの可能性を目指し日々思考錯誤を繰り返していたらしい。

 店の中には、野菜を挟んだパンやら、干した実を一緒に焼いたパンやら、色々と詰め込まれたパンやら、様々な惣菜パンがある。

 おかげで祖父の代からの常連が離れてしまい、経営難に陥っていたようだが、俺にとってはほんの少し日本に戻ってきたかのような気持ちになる店だった。


 初めて店に行った際に、何か良いアイデアはないかと尋ねられたため、ハンバーガーを提案したところ、今店主の手にはハンバーガーが握られていた。


「でしょう? ソースとかあったらもっと美味くなりますよ」

「ああーソースか。確かにこれ食ってると口ん中パッサパサになるもんな。しかしソースは高級品だろ? 流石になあ」

「あーソースそう言えば高級品になるんでしたっけソースって」

「もしかして知ってんのか? ソースの作り方!」

「あー……」


 ソース、ソース、デミグラスソース……。ワイン……、トマト?

 ワインってあんのかな。あるんだろうな、でも酒屋行かないから分からない。味も分からない。トマトは一回も見てないな。

 うーん、うーん。


「うーん、知らないっすね」

「なんだよ今の間は。まあ良いや。ともかくハンバーガーか、サンキューな。ほい、じゃあこれサービスだ」

 店主は、ハンバーガーと、いつも買っていた干した実をを一緒に焼いたパンを手渡してくる。


「お、ありがとうございます。よっ、太っ腹!」

「太っ腹? なんだそりゃ」

「腹が出てるぞ、ってことです」

「悪口じゃねえか!」

「あははは。嘘です嘘です。なんだろう、人に恵んであげられるくらい金持ってる人、って感じですかね」

「へー。いや俺全然金持ってねえよ!」


 俺は笑って、貰ったパンに再度礼を言って店を出た。


 パンはビニール袋に入っているとかそんなことはないので、腰の袋に裸のままぶち込んだ。

 こういうのにも慣れたなあ、としみじみ思いながら、俺はダンジョンへと向かった。


 ダンジョン15階。

 出てくる魔物は、11階から15階で新たに出てくる魔物5匹。


 11階は、ファイヤーストーン。赤い石の体を持つ魔物が出てくる。イメージとしてはボーリングの玉が一番近い。


 12階は、ファイヤーウルフ。赤い毛色の狼で、飛び上がっての噛み付きをよくしてくる中々強い魔物。


 13階は、バンペスト。よく分からない生物だが、形としてはイモムシが一番近い。

 体長は1m程度だが、2m近い長さの髪の毛が生えていて、相当気持ち悪い。そして相当弱い。あと売値が銅貨50枚と破格の安さ。


 14階は、ファイヤーウルフ。12階と被っている。たまにあるらしい。


 15階は、ファイアーフロッグ。ファイヤーではなくファイアーを冠する謎の魔物。ただし舌の攻撃は相当の威力を持っていて、まともに食らえば昏倒してしまうほど。


 魔物が2匹チームで出てきた場合、一番凶悪な組み合わせは、ファイヤーウルフ2匹だろうか。

 動きが速いし、2匹同時に攻撃を仕掛けてきた場合、対処が難しい。


 2匹出てくるなら、片方はバンペストが良いな。

 売値が安いので1匹の時は戦いたくないが、2匹の時なら、ほぼ無視して行動できる。

 攻撃方法が、頭を振り回して、長い髪の毛で叩いてくるものなのだが、ふぁさ、と当たるだけで全く痛くない。むしろ撫でられる感覚が気持ち良いくらいだ。いや気持ち良いってことはないか、見た目気持ち悪いし。


 射程距離が長いので避け辛いことは確かだが、剣や盾をコースに置いておくだけで何も問題ない。

 いてもいなくても、戦況に影響は全くない敵なので、2匹の内1匹だととても助かる。


 あいつは一体なんなんだろう。

 自然界に存在してるんだろうか。生きていけるんだろうか。何食って生きてんだろう……、髪の毛フッサフサだから……、ひじき?


 ともあれ俺は15階を進んだ。


 徐々に強くなっている気がする。

 要は戦い方だ。


 立ち回りというか、攻撃防御のタイミング、位置取り、そういったものは考えれば考えるほど上手くなる。

 また、戦いの技術、例えばファイアーフロッグの舌攻撃を、斜めにした盾で受けることにより受け流せることを方法を発見したり、ファイヤーウルフの噛み付きはバックステップで空振りさせられることを発見したり、そう言ったものでもどんどん上手くなる。


 上達していくことが気持ち良い。


 とは言え、相変わらず、青い線の通りに攻撃することはできないままだ。

 青い線の通りに剣を走らせると、途中で体が硬直したように硬くなって、攻撃が外れたり、変な風に当たってしまう。

 剣を片手で持つ分、変な風に当たるとパワーが足りず、怯ませられないこともある。正直大変だ。


 でもこればっかりは仕方ない。イップスになったことはなかったが、周囲でなった奴はいたので、恐ろしさはよく分かってる。

 俺の現状は残念ながらそんな感じだ。


 できないものはできない。


 日本では、その言葉によって野球の道を諦めたが、残念なことに異世界では冒険者の道を諦めると、失職して稼ぎがなくなって、いつか死んでしまうのでできない。

 できないならできることをやるしかない。

 異世界は全然楽じゃなかった。


「あー、疲れたー」

 白いゲートに入ってダンジョンから出た俺は、心の奥底からそんな言葉を深い息と共に吐いた。

 太陽の位置はもう随分低くなっていた。


「はい、確認しました。ファイヤーストーンの石が3、ファイヤーウルフの牙が4、バンペストの髪が2つにファイアーフロッグの油が6つですね。合計で銀貨12枚と銅貨5枚になります。手数料を差し引きまして、銀貨10枚と銅貨84枚になります」

 しかし、それを聞くとちょっと元気になった。

 銀貨10枚と銅貨84枚。多分最高記録だ。今までの最高記録を覚えてないけど!


「凄いですね。お1人でこんなに稼ぐなんて」

「いや、宝箱がありまして、中からファイアーフロッグの油が2つも出てきたんですよ。だからまあ、銀貨2枚マイナスですね」

 倒した魔物だけでは、手数料を除くと銀貨10枚もいかないが、それでもやった感がある。


「あーなるほど。でも銀貨8枚ですか。凄いですよ」

 それに、褒めてもらえるのは気持ちが良い。

 どうせ褒めてもらうなら、昨日担当していたお姉さんが良かったが、まあ、40歳か50歳のこのおばちゃんでも気持ちが良いものは気持ちが良い。


 騎士団の詰所を出た頃、丁度夕食の時間帯になっていた。

 俺は気が大きくなっていたからだろう、ちょっと高そうな店を選んで、豪勢な食事に舌鼓を打った。

 最近、舌が慣れてきたからか、割となんでも美味しいと思えるようになってきた気がする。良いことなのか、悪いことなのか。


 いや、なんでも美味しいと思えるわけじゃないか。あのパン屋のパンはそんなに美味しくない。

 パン屋変えた方が良いのか……、でも縁あるし、変えるとなんか悪い気がするなあ。それに惣菜パンを売っているのはあそこだけだし……。


 金があっても人生上手くいかないものだ。


「ま、でも明日も頑張ろう。頼むぞ俺の体、明日起きたら元気になっててくれ」

 そうして俺は、ダンジョン生活で疲れ果てた体をベットに沈めた。

 眠気はすぐにきて、俺は深く深く眠る。

お読み頂きありがとうございます。


また、ブックマークや評価もありがとうございます。

今後とも頑張ります。ヒロイン登場までは、あと2週間近くお待ち下さい。

ただ、もったいぶっている割に、お好みに合うかは分かりません。精一杯頑張ります。

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