表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/144

5月1週 土曜日

村30 町2

ダ19 討伐1 フ4

人1 犯1

魔100 中11 上1

剣100 剣中11 剣上1

回復6

採取35

草13 花5 実15

料理2

石工2

木工2

 異世界に日曜日はない。

 代わりに休日が存在する。


 休日はほとんどの者が休む日のことで、商店や食事処などのサービス業ももちろん機能していない。

 つまり、休日前に食料などを確保しておかなければ、休日は飯抜きになってしまうのである。


「へえー、市ですか」

「おーそっか田舎から出てきたって言ってたな。町じゃあ土曜はいっつも市やってるぞ。飯ねえんなら買ってきた方が良いぜ」


 そのため、町などでは土曜日に市を開くらしい。

 飯でも食べに行こうかと部屋を出ると店長と会い、世間話をしている内にそんな情報を手に入れた。


「町に入ってきたとこあったろ? あの近くでやってるからよ」

「あー、あっちらへんですか?」


「大体1日中やってるが、夜遅い時間は店も少ねえし、品も悪い。その時間にしか買いにこれねえ奴も来るから客層も悪い。暇なら早めの方が良いぞ。俺も昼から行くぜ」

「分かりました。行ってみます」


 俺は店主に礼を言い、差し出された手に銅貨を数枚置くと、教えてもらった市の場所へと向かった。

 金とるんかい! とは言っていない。

 取られるだろうと思っていたので予想内だ。


 外は雨が降っていた。

 昨日の予報通り。

 地面は濃い茶色に染まり、空は灰色で、見上げた顔には霧のように細かな雨が冷たく当たる。


 とは言え傘を差している人はいない。

 ただしその理由は、小雨だからではない。

 異世界に傘が存在しないからだ。


 地球に、いつどのタイミングで傘が生まれたのか分からないが、残念ながら異世界には傘がまだ生まれていないらしい。


 この町に来る際に、一度土砂降りの雨に見舞われたことがあるのだが、その際「傘ってないんですかー」と聞いても、「え? 傘ってなんだーっ?」と聞き返されたのは本当に驚いた。

 町についてから、ヘルプで調べても、傘の存在は確認できず仕舞い。

 正確に言うと、ヘルプは周辺の人々の常識を一覧できるものであるため、傘は一般的ではないだけで、もしかするとあるかもしれないが。


 まあ、少なくとも、目に映る範囲で傘を差している人はいない。

 濡れたくない人は、頭の上に布を掲げたり、頭巾を被ったりしているようだ。特別な名称はないようだが、一般的にはあれが傘。油を塗って水を弾くようにしたものが、良い傘。そんな感じ。


 だから適当な布を頭の上に掲げている俺も、傘を差していると言えば差している。

 俺はそうやって、店主に説明された市の場所までやってきた。


「おおおー」

 そこには店が、1、2、3、4……8軒が2列だから16軒も並んでいた。

 カルモー村にあった全ての店を合わせたよりも多い。


「いや、予想よりは少ないけど」

 その場で理由を聞いたところ、時間帯で結構変わるらしい。一番多いのは朝方。二番目は夜。三番目はあと2,3時間くらいした頃、つまり昼。

 今は谷間というわけでもないが、多いわけでもない時間。


 物が安く買えるのも、大体店がたくさん並ぶ時間帯らしい。

 することがない俺は、その時間までのんびりと待ってみた。


 頭から布を被って、1時間、2時間。雨は強くないので、特に寒くはなかった。

 人は徐々に徐々に増えていく。

 そしてその増加と共に、聞こえる声も、大きく多くなっていった。


「こりゃ高いよ。ロンザーの店の方が安いねえ。……銅貨5枚は?」

「ホントに良いのー? わーい、ねえねえ、これ僕のお小遣い! 牛乳ちょうだい牛乳!」

「そういやあ鍋の取っ手が取れたんだよなあ。あとで店に持ってくから頼むわ。だからこれ買ってくれよー」

「タンダナさんとこの旦那さん、浮気したらしいわよー。ねえ。やると思ってたわー、だってねこの前」


 たくさんの人がいる。

 たくさんの人が生活している。

 たくさんの人が働いている。

 たくさんの人が生きている。


 いつの間にか、雨は上がっていた。


 俺は傘の布を頭から剥がし、雑巾を絞るようにぐいっと絞った。

 水は地面と音を立てるくらいには出て、それが楽しくてもっと絞ったら、ビリッという音も聞こえてしまった。反省。


 布を広げてみて、千切れた部分を見なかったことにするように懐にしまい、俺は並んでいる店で買い物をした。

 明日の朝昼晩と、もしもの時の保存食。


 そして帰りしな、昨日ボッタくられそうになった店に寄り、通常の値段で食事をした後は、久しぶりに筋トレをしてみた。

 冒険者として生きるにしても、何をして生きるにしても、筋肉は重要だ。


 何をするかは決まっていないし、何をしたいかは何もない。

 しかしまあ、筋肉は鍛えておこう。とりあえず今は、それだけで良い。


「……そういえば、エッチなお店があるんだったか」

 とりあえず今は、それだけで良い。今日はちょっとあれだけど、明日。あ、明日は休日か。まあ、その内に。ぬっへっへ。


お読み頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価、ありがとうございます。

中々本来の日付に追いつきません。頑張って追いつきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ