5月1週 土曜日
村30 町2
ダ19 討伐1 フ4
人1 犯1
魔100 中11 上1
剣100 剣中11 剣上1
回復6
採取35
草13 花5 実15
料理2
石工2
木工2
異世界に日曜日はない。
代わりに休日が存在する。
休日はほとんどの者が休む日のことで、商店や食事処などのサービス業ももちろん機能していない。
つまり、休日前に食料などを確保しておかなければ、休日は飯抜きになってしまうのである。
「へえー、市ですか」
「おーそっか田舎から出てきたって言ってたな。町じゃあ土曜はいっつも市やってるぞ。飯ねえんなら買ってきた方が良いぜ」
そのため、町などでは土曜日に市を開くらしい。
飯でも食べに行こうかと部屋を出ると店長と会い、世間話をしている内にそんな情報を手に入れた。
「町に入ってきたとこあったろ? あの近くでやってるからよ」
「あー、あっちらへんですか?」
「大体1日中やってるが、夜遅い時間は店も少ねえし、品も悪い。その時間にしか買いにこれねえ奴も来るから客層も悪い。暇なら早めの方が良いぞ。俺も昼から行くぜ」
「分かりました。行ってみます」
俺は店主に礼を言い、差し出された手に銅貨を数枚置くと、教えてもらった市の場所へと向かった。
金とるんかい! とは言っていない。
取られるだろうと思っていたので予想内だ。
外は雨が降っていた。
昨日の予報通り。
地面は濃い茶色に染まり、空は灰色で、見上げた顔には霧のように細かな雨が冷たく当たる。
とは言え傘を差している人はいない。
ただしその理由は、小雨だからではない。
異世界に傘が存在しないからだ。
地球に、いつどのタイミングで傘が生まれたのか分からないが、残念ながら異世界には傘がまだ生まれていないらしい。
この町に来る際に、一度土砂降りの雨に見舞われたことがあるのだが、その際「傘ってないんですかー」と聞いても、「え? 傘ってなんだーっ?」と聞き返されたのは本当に驚いた。
町についてから、ヘルプで調べても、傘の存在は確認できず仕舞い。
正確に言うと、ヘルプは周辺の人々の常識を一覧できるものであるため、傘は一般的ではないだけで、もしかするとあるかもしれないが。
まあ、少なくとも、目に映る範囲で傘を差している人はいない。
濡れたくない人は、頭の上に布を掲げたり、頭巾を被ったりしているようだ。特別な名称はないようだが、一般的にはあれが傘。油を塗って水を弾くようにしたものが、良い傘。そんな感じ。
だから適当な布を頭の上に掲げている俺も、傘を差していると言えば差している。
俺はそうやって、店主に説明された市の場所までやってきた。
「おおおー」
そこには店が、1、2、3、4……8軒が2列だから16軒も並んでいた。
カルモー村にあった全ての店を合わせたよりも多い。
「いや、予想よりは少ないけど」
その場で理由を聞いたところ、時間帯で結構変わるらしい。一番多いのは朝方。二番目は夜。三番目はあと2,3時間くらいした頃、つまり昼。
今は谷間というわけでもないが、多いわけでもない時間。
物が安く買えるのも、大体店がたくさん並ぶ時間帯らしい。
することがない俺は、その時間までのんびりと待ってみた。
頭から布を被って、1時間、2時間。雨は強くないので、特に寒くはなかった。
人は徐々に徐々に増えていく。
そしてその増加と共に、聞こえる声も、大きく多くなっていった。
「こりゃ高いよ。ロンザーの店の方が安いねえ。……銅貨5枚は?」
「ホントに良いのー? わーい、ねえねえ、これ僕のお小遣い! 牛乳ちょうだい牛乳!」
「そういやあ鍋の取っ手が取れたんだよなあ。あとで店に持ってくから頼むわ。だからこれ買ってくれよー」
「タンダナさんとこの旦那さん、浮気したらしいわよー。ねえ。やると思ってたわー、だってねこの前」
たくさんの人がいる。
たくさんの人が生活している。
たくさんの人が働いている。
たくさんの人が生きている。
いつの間にか、雨は上がっていた。
俺は傘の布を頭から剥がし、雑巾を絞るようにぐいっと絞った。
水は地面と音を立てるくらいには出て、それが楽しくてもっと絞ったら、ビリッという音も聞こえてしまった。反省。
布を広げてみて、千切れた部分を見なかったことにするように懐にしまい、俺は並んでいる店で買い物をした。
明日の朝昼晩と、もしもの時の保存食。
そして帰りしな、昨日ボッタくられそうになった店に寄り、通常の値段で食事をした後は、久しぶりに筋トレをしてみた。
冒険者として生きるにしても、何をして生きるにしても、筋肉は重要だ。
何をするかは決まっていないし、何をしたいかは何もない。
しかしまあ、筋肉は鍛えておこう。とりあえず今は、それだけで良い。
「……そういえば、エッチなお店があるんだったか」
とりあえず今は、それだけで良い。今日はちょっとあれだけど、明日。あ、明日は休日か。まあ、その内に。ぬっへっへ。
お読み頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価、ありがとうございます。
中々本来の日付に追いつきません。頑張って追いつきたいと思います。




