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5月1週 火曜日

村29

ダ19 討伐1 フ3

人1 犯1

魔100 中11 上1

剣100 剣中11 剣上1

回復3

採取35

草13 花5 実15

料理1

石工1

木工2

 神は天にいまし、全て世は事もなし。


 物語の主人公は幸せだ。


 なぜなら彼等には、倒すべき敵がいる。


 悪の組織。強力なライバル。最強の魔王。

 主人公達は、彼等を倒すために努力すれば良い。彼等こそが、主人公の目的や夢を阻害する者。彼等を倒せば、主人公の目的や夢は叶うのだから。


 物語の主人公は幸せだ。


 なぜなら彼等には、解決すべき事件がある。


 密室殺人事件。誰々が自分の好きな人を好き。誰かが迷子になった。

 主人公達は、そんな事件を解決するために奔走すれば良い。事件を解決すれば、必ず結果が手に入る。その結果が、良いにしろ悪いにしろ、主人公の人生は確かに進むのだから。


 物語の主人公には、それをなんとかしなければ、絶対に目的も夢も達成できないが、乗り越えたなら必ず叶う、そんな分かりやすい障害が、常に用意されている。


 しかし、人生の主人公には、そんなもの存在しない。


 人生の主人公には、倒すべき敵などいない。

 解決すべき事件もない。


 毎日は平々凡々。何をどこからやれば良いのか、取っ掛かりすら見えない毎日。

 目的を邪魔する者を、例えばどうにかできたとしても、それは邪魔者を排除できたというだけの話。物事が上手くいくかだとか、成功するかだとか、そんなことはまた別の話なのだ。


 人生の主人公には、明確な指針がなにもない。

 敵がいれば、事件があれば、それに向かってひた走れば良かった。


 けれども、神は天にいまし、全て世は事もなし。


 人生の主人公には、そんな七難八苦は与えられない。

 停滞する人生において、目標や夢が、自分の中で消えないように、くすぶらないようにするのが、人生の主人公にできる、目的や夢を叶える唯一の方法なのだ。


 まあ、だから人生の主人公も幸せだ。

 こうやって歩いていても、何かトラブルに巻き込まれたりしないし。


 のんびりゆっくりとした旅路は、夜にさしかかった頃、終わりを告げる。

 俺は村に到着した。名前は知らない。


 カルモー村のように、柵で囲まれているわけでなく、草原にそのまま家を建てたような集落だが、人口はカルモー村よりも多そう。

 しかし、騎士は常駐しておらず、入口に門番のように立っている人はいない。あれは、ダンジョンのある村限定なのだろうか。ともかくそんな村に到着した。


 門番がいないため、中に入って良いものかどうか悩んだが、突っ立っていると余計怪しそうなので、俺は村の中へと入った。踏み固められているが、雑草がところどころに生えた村の中の道。

 家の中には人もいて、歩いている人もちょこちょこといる。


 誰だコイツ、みたいな目を、愛想笑いで躱しながら歩いて、何かしらのきっかけを探していると、偶然、カルモー村にも来ていた行商人を発見した。


 小太りの行商人は少し会話をすると、俺のことを思いだしたようで、「カルモー村に最近やってきたやつだよ。すげー貧乏」と村人に紹介してくれた。


「カルモー村から来たのか、あんな田舎からご苦労なこって」

 そうして、村人達からも無事受け入れられる。

 いや、ここも十分田舎だろ、とかは言っていない。お隣の村同士、いざこざはなんやかんやあるだろうし。俺は空気が読める男だ。


 行商人とさらに話したところ、この行商人は、近くの町、ヘデラルという町を拠点に活動していて、近隣の村にヘデラルの品を、そしてヘデラルへ村の特産品を売りに行くのを生業にしていることが分かった。

 今回この村に滞在する理由もそう。そのため明日の朝、この村を発ちヘデラルへと戻るのだとか。


「その時、乗っけてってくれません? お金払いますよ?」

 なので俺は交渉を行う。

 すると、知り合いだったこともあって怪しまれず、「銀貨2枚。……それと昼は寝てても良いが、夜の番は交代で見張ってくれるなら」という条件を提示され、もちろん承諾。


 宿屋も紹介してもらった。

 なぜか同室だったが。襲う気か?


「金ないんだろ? 節約は大事だぞ」

 どうやら善意によるものだったらしい。変な想像をしてしまって申し訳ない。


 俺はベットに入って目を瞑る。

 今日も特に何もなかった。


 俺の人生には、敵もいない。事件も起こらない。


 敵がいれば、何かが起これば。

 俺は、きっと自分が生きていることに意味を見出せるのに。


 金があっても、漂うのは虚無感ばかりだ。


 ちなみに、行商人のいびきは、くそうるさくて、何回か殺そうかと思った。人生に敵はいないが、嫌なことは起こる。最低だな。

 明日こいつが裏切って、仲間の盗賊達の元ヘ俺を連れていく、とかしてくれれば良いのに。ないんだろうけど。


 そんなことを思いながら、そしてかすかに父親のことを思い出しながら、俺は眠った。

お読みいただきありがとうございます。


ブックマークや評価も、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。これからも頑張ります。

と言っても、ここからはしばらく、短い話が連続して続きます。

1ヶ月くらいは、山場もなく、何ごともない形で過ぎるかと。

面白くなるように工夫はしますので、是非読み続けて下さい。


ありがとうございました。

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