4月月末 休日1日目
村28
ダ19 討伐1 フ1
人1 犯1
魔100 中11 上1
剣100 剣中11 剣上1
採取28
草11 花5 実12
料理1
人間、何もしていなくても腹は減る。
楽しくても腹は減る。
悲しくても腹は減る。
俺は起き上がって、ケビンさん達の家に行き、いる物といらない物を分けつつ、買い貯めてあった食料を口にする。
「うま! このハムうま!」
お腹が空いているからか、基本的になんでも美味しい。
俺はもぐもぐと口を動かしながら、これからのことを考える。
決まっていることは、この村を出ること。
そして、もう戻ってこないこと。
明日辺りにでも出発する予定だ。既に騎士さん達や冒険者さん達には伝えてある。
出る理由は、色々。
金貨80枚分の引き換えをしにいかなくてはいけない、という事務的な理由に、至るところでケビンさん達のことを思い出してしまうので悲しい、という感傷的な理由もある。
それから、居心地が悪い、という感情的のような、実害を被るような、そんな理由もある。
というよりこれが1番の理由だ。
昨日今日で、俺を見る村人の目は、異様に冷たく、嫌なものになった。
ダンジョン討伐は村の願いだったのだから、ヒーローを見る目で見ても良いだろうに、クズでも見るような仇でも見るような、そんな嫌な目で誰しもが見てくる。
まあ、実際に仇なのだろう。
村に慣れ親しんで、数年間暮らしていたケビンさん達の。
ケビンさん達は良い人だ。だから村人にも好かれていた。
そんなケビンさん達を殺した俺は、だから嫌われている。
ケビンさんを本当に殺したのはライアスさんだし、俺が殺したのはライアスさんだけだ。それも、こちらが殺されそうになっての自衛。俺は悪くない。
ホロードさんは、確かに俺が殺したと言えるだろうが、でも、村人に恨まれる筋合いはない。
けれども、そんなことは関係ないのだと言うように、村人は俺に冷たい。
冷たいだけなら実害はないが、まあ、そこは流石田舎、実害も出てくる。
基本的に、好き嫌いとは、感情の話だ。
合理的に考えれば、俺が悪くないとしても、村人から見れば俺は、自分達の親しい友人を殺した殺人犯のように見えるのだろう。
異世界は科学が全然進んでいないからか、人の知識というか、理知的な部分というか、理性というか知性というか、民度というか、そういうもののレベルがてんで低い。
物事や価値観の判断基準が、感情しかない。
原始人みたいな奴等だ。
多分日本でも、田舎の人間はそんなんだろう。閉鎖的に暮らして、自分の価値観と違うものにさらされず、そのまま大人になる。だから判断基準が自分の感情しかなくなるんだ。
もっと広い世界や上の世界を知れよ。SNSをやれ!
異世界のカルモー村の住人は、きっとSNSなんてやってないんだろう。日本の田舎以上にやってないんだろう。だから物事を全て感情で判断する。まさに原始人だ。
だから、俺は村を出る。
俺は、村人のこと、結構好きだったんだけどね。なんだかんだ。……原始人とか言ってるけど。
しかし、村を出て、はてどうするか。整理をしながら、俺は悩む。
「町までは歩いて1週間。遠い」
果てしない。
しかし、原始人の群れから脱出するためには、やはり都会へ行く必要がある。
ケビンさん達の言っていた、ジュザイムだったか。大きい町らしいし、都会っ子の俺としては是非行ってみたい。
けれど、遠い。
「一番近い村なら、2日で行ける。遠いけど、近い。ただそこは町方向じゃない。近づくは近づくけど。町に行くのに経由できる村なら、歩いて3日。遠い、遠いけど、遠い」
どうしようか。悩む。
「町に着いてからもどうするか……、まあ金はあるけど……、うーん……」
俺は、ハムを食べ終わってもまだ、これからのことを考え続けた。
しかし数分後、らちがあかないと思ったので、一旦中断し、また整理を再開する。
家財道具はいらない。運べないし。
服なんかも、まあ、いらない。サイズも合わないし。ライアスさんの服は着れそうだったが、でも服に困ってるわけじゃない。
食料は、保存の効くものだけ頂く。
剣に槍に鎧に、あとアイテム。これらはアイテムボックスの中にも入るので、使いそうなものだけ貰う。
サファイアマンティスに大体壊されてるけど。
「……」
武器や防具を見てるとちょっと思い出してしまう。
『キブンアガールスコーシ 銅貨10枚』
だから俺は朝方購入したその錠剤を、また水で流し込む。
「よーし元気になったぞー」
そうしてまた、整理を続けた。
色々売り払った金額は、ケビンさん達の貯蓄と合わせ、金貨2枚と銀貨14枚と銅貨66枚。
4人の生活の全てを売り払ったのに、少ないもんだ。
こんなもんなのか。
まあ、こんなもんだろうな。
お読み頂きありがとうございます。
しばらく短い話が続きます。どうぞお付き合い下さい。




