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4月4週 休日

村27

ダ19 討伐1 フ1

人1 犯1

魔100 中11 上1

剣100 剣中11 剣上1

採取28

草11 花5 実12

料理1

 銅貨100枚で、銀貨1枚。

 銀貨100枚で、金貨1枚。


 普段の生活では、銅貨と銀貨しか使わず、金貨は見かけることも少ない。

 基本的に給料なども、銅貨や銀貨で支払われるため、流通することもそうは多くない。


 勤め人の給料は、1日銀貨2,3枚が目安。

 支払い方法の多くは日払いで、週払いは少数派。月払いはよっぽどの大手か、給付金などだけ。また、給料の形の多くは現金支給だが、現物支給のみの企業も少なくなく、現金支給を謳っている企業でも、ときおり現物支給に転ずることもある。


 したがって、お金は大切だ。


 なければ不幸になる。


 異世界で生活をして、それは思い知った。

 食べ物がないのも、屋根がないのも辛い。人情がこの世に存在しなければ、速やかに死んでしまうに違いない。


 しかし、お金があっても不幸になる。


 異世界で働いて、それを思い知った。


 これは、ただそれだけのことだ。


「ドロップアイテムのブルーサファイアだが、ロズン達が取りにいってくれたぞ。16階なのに本当に出るんだな。金貨80枚はカルモー村にないから、証明書を発行する。別の町の、騎士団の詰所か冒険者ギルドに持って行けば、引き換えてくれる」


 宿屋の俺の部屋で、カルモー村に派遣されている騎士団の隊長が、机の上に模様が描かれた木板を置く。


「はい……ありがとうございます……」

 俺は、それに精一杯の誠意と笑顔で礼を言う。


 だがそれは、全然なっちゃいなかったのだろう。むしろ同情されるような、醜い笑顔だったのかもしれない。


 隊長は、困ったような顔で笑って、話を続けた。


「こんな月末前に討伐してくれたせいで、大忙しだ。昨日早馬飛ばして、今日も休日なのに事後処理。まあこれから、休日に魔物が出てくることもないし、それを思えば楽だけどな。ダンジョンが消えるまであと16年、小遣い稼ぎもできるからありがたいよ。あはは」


「はい……」


「……それでこっちが、ダンジョン討伐の報酬な。金貨1枚と銀貨60枚。それからケビン達は村付きだったから、村からの報酬分で同じだけ。それから……ケビン達の荷物は全部、パーティーメンバーのお前さんの物になる。近々あいつらの家に確認に行ってくれ。いらない物があれば売ってくれて構わない」


 隊長は、別の袋を机の上に置きならが言う。袋は重そうで、机に当たるとゴトゴト、と音を鳴らした。

 けれども俺はそちらを見ることができない。顔は、ずっと俯いたまま。


「……。多分色々と売ったら、金貨2,3枚くらいにはなるだろうな。だからエト、金貨85枚くらい手に入ったってことだ。凄いことだよ、だから……分かるけどよ、もうちょっと明るい顔しろよ」


 冒険者は、命を賭けて金を稼ぐ仕事と言える。

 低い階ならいざ知らず、10階20階ともなれば、日々の冒険ですら、死の危険性は常にある。


 しかし、ほとんどの冒険者は、それ以上の危険を常に背負う。一攫千金という夢のために。


 ダンジョンでは、宝箱の中から。魔物のドロップアイテムから。

 普通の生活をしていては目にすることもない大金を、突発的に手に入れることができる。


 もちろん、身の丈に合わない強行を行ったり、階へ行ったりすれば、死の危険性は非常に高まる。ほぼ死ぬかもしれない戦いに、身を投じることになるかもしれない。


 だが、そこを天秤にかけ、夢を追いかけるのが冒険者。

 であるからやはり、冒険者は、命を賭けて金を稼ぐ仕事と言える。


 だから、まあ、そういう金貨85枚とか、そんな金が、20年来の仲間より上回っても、不思議じゃない職業だ。

 そしてだから、俺は、大した犠牲もなく、金貨85枚を丸まま手に入れた幸運な冒険者だ。


 ただ、それだけの、なんてことのない。

 俺の不幸は、こんな過去を背負ったからと言って、物語の主役にはなれもしないような、よくある話で、俺の幸福は、普通なら諸手を挙げて喜ぶような、自慢できる話。


 けれども、


「お前、死にそうな顔してるぞ」


 俺の顔は、多分相当酷い。


「はい……、はい……」


 俺は、懸命に応えるが、これが限界。


 隊長さんは良い人だ。休日なのにわざわざ届けてくれて、多分色々な手配もしてくれた。

 本当に良い人だ。ケビンさん達に負けないくらい良い人だ。


 また、俺の目から涙がボロボロと落ちる。


「そうか、お前、まだ16だったな」


 隊長さんは、どこかもの悲しそうにそう言うと、俺の頭に手を置き2,3度強く撫でてから、部屋をあとにした。


 俺は、それから5分くらいして、ようやく動きだし、ベットに倒れこんでまた眠る。


 夢の中には、ケビンさん達がいて、とても仲良くしていて、俺は、なぜ自分がこんなに悲しんでいるのか分からないまま、一緒にダンジョンへ入って冒険をした。


 だから目覚めるたびに、ケビンさん達が死んだ事に気付く。


 夢の中の俺は、かなり馬鹿なようだ。


 現実でも、それだけ馬鹿だったら良かったのに。

お読みいただきまして、誠にありがとうございます。

また新しい話が始まります。


どうぞ、よろしくお願いします。

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