表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/144

4月4週 土曜日 その3

村26

ダ19 フ1

魔100 中11

剣100 剣中11

採取28

草11 花5 実12

料理1

『サファイアマンティス

  ジョブ:青宝石蟷螂

  HP:58 MP:88

  ATK:96 DEF:96

  CO:--』


 残る最後の敵、サファイアマンティスを4人で囲む。


 俺が正面。

 時計回りに、ライアスさん、ケビンさん、ホロードさん。ヨランダさんは、ケビンさんの後ろ辺り。


 ただし囲むと言っても、サファイアマンティスから、距離は4m以上保っている。

 これ以上近づけば、見えないほど速い攻撃が襲ってくるから、迂闊には近づけない。


「ふうー。行きます!」

 しかし、俺はそう言って飛び込んだ。


 サファイアマンティスは4mの射程圏内に入った俺に反応し、360°どこまでも回るような顔を向け、さらには体の向きも変える。

 その動きは素早く、まだ俺は4mの内の1mほどしか進んでいない。

 そして、赤い線を引き、攻撃を仕掛けてきた。


「今です!」

 だから俺はそう叫ぶ。


「おう!」

「おおおー!」

「どりゃあ!


 その声に合わせ、他の3人が走りこむ。


 4mの距離だ。攻撃にさらされていなければ、1秒もあれば詰められる。

 サファイアマンティスが俺に攻撃しているその隙に、3人は各々の武器を振って、サファイアマンティスにダメージを蓄積させた。


『サファイアマンティス

  ジョブ:青宝石蟷螂

  HP:47 MP:88

  ATK:96 DEF:96

  CO:--』


 そして、すぐさま3人はその場から離れる。


 サファイアマンティスは、攻撃を行った3人の方を向こうとしたが、今度は俺が攻撃を行う。

 横っ面を見せようとしたそこへ、1発。2発。


 だからか、サファイアマンティスは、再び俺の方へ向き直って、攻撃を行なう。

 振り向きざまに放たれた赤い線は3本。


 躱して、躱して。


「――っとお!」


「エト!」


『キジョウ・エト

  ジョブ:異世界民

  HP:39+20 MP:100

  ATK:18+10 DEF:16+4

  CO:--』


「だ、大丈夫です!」

 最後の一発は、鎧を掠めていったが、しかし無事は無事。

 掠ってもダメージは受けるので、無事と言えるのかどうかは分からないが、生きてはいるし、防具が壊れてもない。


『ケビン

  ジョブ:剣士

  HP:46+20 MP:39

  ATK:28+5 DEF:25+5

  CO:流血』


『ライアス

  ジョブ:戦士

  HP:30+20 MP:9

  ATK:28+10 DEF:20+9

  CO:流血』


『ホロード

  ジョブ:冒険者

  HP:25+20 MP:75

  ATK:26+5 DEF:19+4

  CO:流血』


『ヨランダ

  ジョブ:僧侶

  HP:100+20 MP:24

  ATK:54+5 DEF:22+5

  CO:--』


 しかし、なんともまあ、全員ボロボロだ。

 ライアスさんの盾や兜は割れて、既に捨ててしまっているし、ホロードさんの胴の防具も、完全にパックリ割れている。とても重そうだ。


『サファイアマンティス

  ジョブ:青宝石蟷螂

  HP:47 MP:88

  ATK:96 DEF:96

  CO:--』


 だが、勝てる。

 あと半分!


 サファイアマンティスはATKもDEFも高く、鎌の振りは、未だ一度も目に捉えられていない。

 攻撃の威力は強力で、まともに食らえば一発で防具が破壊される。


 もし今戦っているのが、野生の、フィールドのサファイアマンティスだったなら、俺達は既に全滅していることだろう。

 間違いなくそうだと思えるくらい、サファイアマンティスは強く、絶望的な戦力差がある。


 しかし、今戦っているのは、ダンジョンのサファイアマンティス。

 それも、思考回路が、ファミコンスペックのプログラムで動く、16階のサファイアマンティスだ。


 とる行動も、とれる行動も全て決まっている。

 特に攻撃対象の選択は、ガチガチに。


 攻撃対象は、一番最初に自身の射程圏内に入った者。

 その攻撃が終わるまでの間は、例え攻撃を受けようとも、攻撃をキャンセルしない。


 攻撃後は、自身に攻撃してきた者の内、最後の者を攻撃対象にする。

 だが、対象が射程圏外へ出ようと動いていれば追いかけず、現在自身に向かって来る者を優先し攻撃する。


 だから、勝てる。


「今です!」

 俺は再び叫ぶ。


「おお!」

 その声に応じて、ケビンさん達がサファイアマンティスに向かって駆け、攻撃を行なう。

 先ほど同様、3人に対して、サファイアマンティスは攻撃しない。


「よし、引くぞ!」

「おう!」


 攻撃をしようと反転を試みても、すぐさま俺に攻撃対象を戻し、攻撃を仕掛けさせる。


 俺には赤い線が見えるから、攻撃はそうそう食らわない。

 今のところ、サファイアマンティスの攻撃はほとんどが空振り。


 この戦い方を続ければ、必ず勝てる。


 ゲームみたいなもんだ。

 こうすればこうなって、こうしたらああなって。

 この動きが来たら、あれがきて。こっちがこうすれば、あれをやめて。


 最初、どんなに絶望的だと思おうが、必ずやりようはある。

 RPGでは無理だろうが、アクションゲームでは例えば、上手い人なら初期装備でラスボスに勝つこともできる。

 攻撃パターンを見切れば、攻撃を全て回避できるし、あとは微々たるダメージでもずっと当てていけばいいだけだからだ。


 俺だって、最初は苦戦していたのに、今は裸装備でクリアできる、なんて遊びをしたこともある。


 今もそんな感じ。

 楽しくてたまらない。


「ガンガン行きましょう!」

「おー!」


 さっきは、人間に勝てるようにできていない、と言ったが、あれは間違いだった。

 ダンジョンでの戦いは、頭を使う人間だからこそ、勝てるようにできている。


 サファイアマンティスのHPは、ついに30を切った。


 だが、しかし。


 残念なことに、これはゲームではなく、人生で。


 そして、俺達もゲームのキャラクターではなく、人間だった。


 サファイアマンティスは決まった行動を取るが、俺達が必ずしも同じ行動を取れるわけではない。

 ゲームのキャラクターなら、攻撃後の硬直時間も、回避した際のロール幅も、毎度同じだろう。しかし俺達は毎回毎回バラバラだ。


 間違った行動もする。行動に慣れが出て少し変えたりもする。疲れもある。恐怖を覚えることも。コケたりだってしてしまう。

 ゲームではラグが出れば一気に負けてしまうことも多いが、人間の戦いは、どこにもかしこにもラグだらけ。様々な要因で、狂ってしまう。


 そして一度狂ってしまったなら、それだけで死ぬのが人生だ。


「ぐああ!」

「ケビン!」


 ケビンさんが、弾き飛ばされた。

 攻撃にではない。方向転換する際の尻尾の振りというか、そんなようなものに。


 なんともマヌケな言葉である。

 だが、頭を上げれば4mを越すサファイアマンティスの体は非常に大きく、重い。尻尾がぶち当たるというのは、例えるなら自動車との衝突のような威力がある。


『ケビン

  ジョブ:剣士

  HP:46+20 MP:30

  ATK:19+5 DEF:25+5

  CO:骨折 流血 混乱』


 数m飛び、ゴロゴロと地面を転がるケビンさんは、HPこそ減っていないが、腕は折れ、鼻から血をたれ流し、脳震盪でも起こしたように、動かない。


「大丈夫か!」

 そんなケビンさんへ、ライアスさんが駆け寄った。

 ケビンさんは、うめくような声を出す、が、やはりすぐには動けそうにない。


 例え攻撃が迫っていても。


「――ライアスさん、ケビンさんを早く! スキルが!」

 仲間への攻撃を示す黄色い線を見て、俺は叫んだ。


 簡単なプログラムで動くダンジョンの魔物は、スキルを使うタイミングも決まっている。


 サファイアマンティスは、対象が正面4mの距離にいて、そこから遠ざかろうとする場合、第二段階のスキルを使う。あの、両腕で抱き込むように伸びてくる攻撃だ。

 そして、正面かどうか関係なく、自身から8m前後の距離で止まっている場合、第一段階のスキルを使う。あの、斬撃の攻撃だ。


 ケビンさんの位置は、丁度そんな位置。

 8m。


 体の向きを素早く変更するサファイアマンティス。

 攻撃を防ぐ為に、自らを攻撃対象にしようと、俺は再び射程圏内に足を踏み入れる。ホロードさんもマズイと思ったのか同様の考えで、槍を構え一気に突撃した。


「うおお!」

「でえええ!」


 だが、俺は今まで、赤い線が引かれてから、怯ませる以外で、その攻撃が中止された場面を見たことがない。

 赤い線が引かれたということは、攻撃が決定されたということに他ならない。黄色線も同様だろう。


 だから、俺とホロードさんが必死になっても、攻撃を止めることはできなかった。


 サファイアマンティスは鎌を振るう。


 簡単な振りだったが、それだけで斬撃は放たれ、高速で、一直線に、ケビンさんの太腿を駆け抜ける。


「ぐああああ!」


『ケビン

  ジョブ:剣士

  HP:30+20 MP:30

  ATK:19+5 DEF:18+4

  CO:欠損 骨折 流血』


 混乱は治ったものの、足の防具は壊れ、そして足は欠損状態に陥った。

 ダンジョンなので、実際には無傷だが、太腿から下が無くなったと同様の扱いになるはず。それが回復するまでは、歩くことも不可能になるだろう。


 状態異常がいつ回復するかは知らないが、すくなくとも10分20分の話ではない。今の戦いには復帰できない。

 それどころか、近づかれれば確実に死ぬ。状態異常が回復する頃、生きているかすらも分からない。


「うおおおおー、来い、こっちだ化け物ー!」

「ホロードさん、下がって!」


 それを察したのか、ホロードさんはサファイアマンティスに果敢に攻撃を仕掛けた。

 だからサファイアマンティスは、攻撃目標をホロードさんに定め、当たり前のように、黄色い線を2本、ホロードさんにむけて引く。


「ホロードさん、早くっ。下がって、下がって下さい!」

 俺は必死に叫んだが、ホロードさんの耳には届いていない。


 サファイアマンティスの鎌が、ビクっと動くと、それはやはり目に見えない速度で振られ、2度、ホロードさんを切り裂いた。


「があ――!」


『ホロード

  ジョブ:冒険者

  HP:0+5 MP:70

  ATK:26+5 DEF:13+3

  CO:流血』


 ホロードさんは宙を舞う。


 しかし、まだ生きている。ギリギリだが、生きている。


 けれども、ドサッと地面に落ちたそこは、サファイアマンティスから丁度4mほど。4mと少しの攻撃範囲を持つサファイアマンティスからすれば、そこは攻撃範囲内。


 ホロードさんは、衝撃で武器も落とし、尻餅をついている。すぐには動けそうにない。そして、サファイアマンティスの攻撃と攻撃の間隔は、非常に短い。


 もちろんホロードさんが立ち上がるよりも早く、次の黄色い線が2本引かれた。


「う、うわああああ!」


お読み頂きありがとうございます。

ブックマーク、それから評価もありがとうございました。嬉しいです。


今日中にもう1話投稿しようと思いますが、土曜日はまだ終わりません。おそらくその5までいきます。


長くなって申し訳ないです。

油断すると、すぐに長くなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ