4月4週 土曜日 その1
村26
ダ18 フ1
魔100 中11
剣100 剣中11
採取28
草11 花5 実12
料理1
どこかの悟ったような大人は、神様の言葉を代弁して言う。
あなた自身が乗り越えられない試練は与えない。
全ての不幸は、乗り越えられるもの。
そんなことを。
それは、たわけた、あまりにもふざけた言葉だ。
無責任で、あまりにも救いのない言葉だ。
その人は、世界中の誰もが、幸せな人生を送っていると思っているのだろうか。
今この瞬間も、生きたいという、そんな、息をするだけで叶うような些細な願い事ですらも、息をするように踏み躙られてしまう人がいることを、頭の片隅にも思い浮かべないのだろうか。
世界は理不尽と不条理に満ちている。
異世界は不条理と理不尽に満ちている。
当人の能力も、襲いかかる不幸も、全ては、運否天賦。
運が悪ければただそれだけで、死にたいという、そんな、息をしないだけで叶うような些細な願い事すらも、息をするように踏み躙られる。
4月4週、土曜日。
異世界生活、28日目。
俺は朝から大忙しだった。
「少しでも戦力アップするために、課金をしておくべきだな」
俺はそう思い立ち、課金リストからいくつものアイテムを購入する。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:100+20 MP:100
ATK:18+10 DEF:20+5
CO:--』
案外たくさんあるものだ。
HPの限界値を向上させる課金アイテム。それから、DEFを上げるアイテムも使用した。
HPの方は、飲み薬。
飲めばたちまち、実感は湧かないがHPが20増える。
DEFの方は、ATKと同じくスプレー。
防具に振りかければ、やはり実感は湧かないがDEFが5増える。
もちろんどちらも、スコーシだとか、無印だとか、スゴークだとか、色々+の幅があった。
HPの方は不明だが、DEFは無印なら+10だろう。
そちらの方が絶対的に良かった。しかしそっちは高い。
俺1人に使うのならそちらでも金銭的に問題ないが、俺は自分1人に使うつもりなどない。
ケビンさん達、パーティー全員に使うつもりである。
だから、高い物は無理。安い物を買う。
そして、本当に大忙し。
朝食をとりに定食屋へ行き、そして、「皆さんの飲み物美味しそうっすね、はははー」と言いながら近寄り、隙を見て飲み薬を投入。
事前に、水に溶けることは確認していたので、隙を見せている間に溶かしきる。
さらには、ダンジョンまで行く道すがら、最後尾に立って後ろから、武器防具に対しスプレーする。
シューっと。
「な、なんだ? なんの音だ?」
「え? 何か音しました?」
『ケビン
ジョブ:剣士
HP:100+20 MP:100
ATK:28+5 DEF:28+5
CO:--』
「うわ、なんだシューって」
「え? シュー?」
『ライアス
ジョブ:戦士
HP:100+20 MP:100
ATK:27+5 DEF:28+5
CO:--』
「ほんとだ、なんか変な音したぞ。なあ」
「た、確かに。なんですかねこの音」
『ホロード
ジョブ:冒険者
HP:100+20 MP:100
ATK:26+5 DEF:26+5
CO:--』
「するわ。今まで聞いたことない……」
「俺もです……、こわい……」
『ヨランダ
ジョブ:僧侶
HP:100+20 MP:100
ATK:54+5 DEF:22+5
CO:--』
手を替え品を替え、巧みに全員を順番に最後尾に誘導しては、スプレーした。
さらには、
『HPヘラナクナールスコーシ 銀貨5枚』
『カラダケイカイナールスコーシ 銀貨1枚』×5。
『レアドロップカクリツアガールスコーシ 銀貨2枚』
こういったものも購入した。
HP減らなくなるものは、タブレット錠剤。
医者で貰う、よくある薬のような形態で、4錠分。
説明書によると、食べると一時的にHPが減らなくなるのだとか。ただし減らない時間は1分で、連続使用は不可能。
ピンチになったら食べてと、ケビンさんライアスさんホロードさんに渡した。少しの間力が漲る秘伝の薬、と言ったら信じてくれたっぽいので、きっと食べてくれるだろう。
……もし俺が、秘伝の薬と言って何かしらを渡されても、それは絶対に食べないけどね。
体が軽くなるものは、水。
缶ジュースのような水。1杯で3日間体が軽くなるらしいが、1人分しか入っていない。
5つ購入し、ボス部屋前の、通路で一緒に飲んだ。
そしてレアドロップ確率が上がるものは、ボール。
投げつけて当てれば、レアドロップ確率が1%上昇するらしいボールだ。ただし銀貨2枚でボール1つ。
確率計算を無視して100%になる数、つまり100匹倒してレアドロップが出るとすれば、それまでに銀貨200枚を消費する。割に合うのか、合わないのか。
HP増量、ATKDEF上昇、そしてそれらを購入したら、今まで貯めた貯蓄が吹っ飛んでしまった。
また一文なしに逆戻りで、今日逃げ帰るような結果になれば、俺は宿屋にも泊まれないし、夕食もない。
それどころか、明日の休日分の食料も宿賃も、明後日からの月末の休日2日分の食料も宿賃もない。
3日間、飯抜き、宿無しだ。
死ぬんじゃないか?
ともかく、酷い有様である。
しかし、後悔はない。
力が足りず、ケビンさん達を死なせてしまうよりは絶対に良い。
俺がこの中で一番強い。
才能がある。
だから、守る。
「じゃあ、行くぞ。皆、名を残すぞ」
「おお!」
「楽しみだな」
「そうね」
「はい!」
俺達は、ボス部屋へと足を踏み入れた。
『ブルーマンティス
ジョブ:青蟷螂
HP:100 MP:100
ATK:32 DEF:32
CO:--』
『アクアマンティス
ジョブ:青石蟷螂
HP:100 MP:100
ATK:64 DEF:64
CO:--』
『サファイアマンティス
ジョブ:青宝石蟷螂
HP:100 MP:100
ATK:96 DEF:96
CO:--』
「3び――」
「ケビンさん、ライアスさん、ホロードさん、横の2匹は頼みます。倒したら加勢して下さい! 俺は、真ん中のサファイアマンティスを引き付けます!」
そして、予想外のような、予想内のような、そんな3匹との戦いが、カルモーダンジョンで最強の敵との戦いが始まった。
お読み頂きありがとうございます。
おそらく今日中に土曜日全部は書けませんが、もう1話分くらいは投稿したいと思います。
よろしくおねがいします。




