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4月4週 月曜日

村21

ダ14 フ1

魔100 中11

剣100 剣中11

採取28

草11 花5 実12

料理1

 パーティーを組む場合、武器の選択は重要だ。

 例えば、全員が剣を装備していると、明らかに邪魔になる。


 相対する魔物が、巨大な魔物であったなら問題ないが、人より小さな魔物であれば難しい。

 剣同士が、間違いなくぶつかってしまう。


 だからパーティーを組む場合は、剣の他に、例えば槍や、それから弓。

 はたまた攻撃要員ではない、杖を装備するなどして、攻撃方法や攻撃のタイミングをバラけさせる武器を選択しなければならない。


 しかし、ジョブによって、装備できる武器、防具もそうだが、それらは決まっている。


 剣士であれば、武器は剣しか装備できない。

 防具は、軽量から中量。


 槍士であれば、武器は槍しか装備できない。

 防具は、軽量から中量。


 戦士であれば、武器は近接武器ならなんでも装備できるが、杖や弓などは装備できない。

 防具は、中量から重量。


 冒険者であれば、武器は杖以外ならなんでも装備できる。

 しかし防具は、中量のみ。


 僧侶であれば、武器は杖のみ。

 そして防具は、最軽量のみ。


 であるから、パーティーを組む場合、武器の選択というか、ジョブの選択が、とても重要になる。


 ちなみに、俺のジョブ、異世界民が装備できる武器防具を、俺は知らない。

 お金もないので試せない。似た名前の村民は、全ての武器防具を装備不可能であるため、予想もできない。


 まあ、剣と中量の防具を装備できることは分かっているので、それで問題ない。


 だから、現在のケビンさんパーティーは、俺が剣装備。

 ケビンさんが剣士で剣装備。

 ライアスさんが戦士で、剣と盾装備。

 ホロードさんが槍士で、槍装備。

 ヨランダさんが僧侶で、杖装備。


 前衛3人、中衛1人、後衛1人と、中々バランスの良いパーティーとなっている。


 戦いは益々安定するだろうと、ケビンさんも言っていた。

 とは言え、最初は、そんなことないだろう。

 俺は、誰かと一緒に戦った経験がない。

 コンビネーション、連携、はたまたポジション。それらを失敗することは確実で、上手くいくことはない。そう思っていた。


 しかし、


「さて、エト、だったな。お前の実力を見せてみろ。こい!」

 そんなことを言われるとは、思っていなかった。


 日課のストレッチと準備運動を済ませ、朝食をとり、装備を身につけ、村の門前に集合した後。

 パーティーを、システム的な意味で組むために、右手で握手をし、入ったダンジョン13階。


 ドキドキワクワク。

 そんな言葉が似合う感情で挑んだそこで、いきなり言われた。


「仲間になるからには、実力を知っておきたい。くれぐれも本気でこいよ!」

 言ったのはライアスさん。


 顔つきから見て、体育会系。

 そんな印象を受けるため、一番最初に絡んでくるのは間違いなくこの人だ、とは思っていた。思っていたが。

 やっぱり俺は体育会系が苦手だ。こういう絡み方をしてくるから。


 左手に大きな盾を構え、右手に剣を持つライアスさん。

 戦闘方法は、その2つを上手く使ったもの。いわゆるタンク、敵の攻撃をひきつけ、味方に攻撃をさせ、時には自分も攻撃する。

 身長180cm後半で、大柄な体格であるため、装備も役割も、よく似合っている。


 というか異世界にも体育会系がいるんだな。

 部活もないだろうに、どういう育成方法でできあがるんだろう。元々の素質なのか?

 しかしまあ、苦手だ、体育会系は。


 それにこっちの体育会系は武器を持っている。

 気に食わないことがあれば、鉄拳制裁ではなく、武器を振りかざしてくるのだろう。なんて恐ろしい。

 これを断れば、おそらく、そうなる。武器を振りかざしてくる。

 だが断らなくても、手合わせなので武器を振りかざしてくる。どっちも一緒じゃねえか。逃げられない。体育会系のくせに頭を働かせやがって。


「すまんなエト、ライアスはこういう奴なんだ」

 ケビンさんは、申し訳なさそうに言ってくる。俺は止めて下さい、との思いを目に込めて、ケビンさんを見つめるが、


「ま、魔物が来たら、こっちで止めとくから、心配するな」

 どうやら止めてくれたりはしないようだ。別にそっちの心配はしてない。


「ダンジョンなら怪我もしないから、本気でやれるしな」

 ライアスさんが、剣を二三振りながら言う。まあ、確かに、その通りだ。

 ダンジョンで切った張ったをしても、怪我をすることはない。


 ……断れないな。


「分かりました。よろしくおねがいします」

 なので俺は諦め、剣を抜いた。

 ライアスさんは嬉しそうに笑い、他のお三方も、魔物が来ていない今は、興味深そうに見ている。


「最初の一手は譲ってやろう。こい!」

「じゃあ、遠慮なく。いきます」


 俺は3mほどあった間合いを、颯爽と詰めていく。

 そして俺は、ライアスさんの頭目掛けて、剣を上段から振り下ろした。


 ライアスさんは、左手の盾でそれを受け止めると、「良い振りだ!」とかなんとか言って、反対の手に持つ剣を横に凪ぐように振ってきた。

 俺はそれをバックステップで躱し、今度は突きを行う。


 それはまたしても盾で受け止められ、お返しだと言わんばかりにライアスさんは剣を振り回す。

 上半身を動かして躱し、躱すのに下がらなければいけないものは受け止め、距離をさらに詰める。が、盾による、シールドバッシュと言うのか、盾による殴りが迫ってきたため、やむおえず後ろに下がって距離をとった。


「ちゃんと躱すか。それなりの腕はあるみたいだな。けど、まだまだだー! 行くぞー!」

 ライアスさんはニヤリと笑うと、今度は、こい、ではなく行くぞーと言って、走って向かって来る。


 おそらく、俺の動きは、いつもに比べてぎこちない。

 なんて言ったって、人と戦うのは初めてなのだ。虫との違いに、戸惑うことばかりだ。

 それに、虫の牙とかそういうものより、刃物が振り回されている方が、視覚的に怖い。刃物は危ない、と母さんに教え込まれた成果だろうか。腰が引ける。


 しかし、実は俺も、一度、人と戦ってみたかった。


 理由は色々。


 動きの勉強のためとか。一般の強さを確かめるためとか。そういう理由もある。

 だが一番の理由は、課金の力を確かめるため。


 この赤い線と、青い線の力を確かめるため。

 赤い線と青い線が、対人戦において、最強の力を秘めていることを、確かめるためだ。


 ライアスさんがこちらに向かって走ってくる。

 赤い線は、ライアスさんの剣から、一旦外に伸び、それから急激な速度をもって斜めに動いている。つまり、剣は外から斜めに振られる。

 警戒しているのか、青い線はあまりない。あっても薄い。


 あくまで青い線というのは、今俺がいる場所から、攻撃できる箇所だ。

 だから、相手の正面に構えていては中々見えないのだろう。

 とは言え、隙があれば、いくらでも見える。


 ライアスさんが、剣を、赤い線に沿うように斜めに振ってくる。俺はそれを体をひねって躱した。

 その瞬間、青い線が見えた。


 振った剣、右手。それを戻すことも、それを越えて盾で守ることもできないのだろう。

 首筋目掛けて青い線がハッキリと通っている。その青の濃さは、確実に死に至らしめられる濃青色。ダンジョンなら、首から下を欠損状態にできるような攻撃が可能だ。

 だが、俺はそこに、あえて遅く弱い攻撃を行なう。


「はっはっは、甘いな!」

 そのため、ライアスさんの剣は間に合い、俺を追い払うように振られた。


 今ので3度目。

 人との戦いは、思った以上に楽しく、そして楽だ。


 虫と違い、攻撃は躱せば終わる。

 そして基本的に、武器を振ることでしか、人は威力を出せない。


 ライアスさんの攻撃を、俺は時には紙一重で躱し、剣で受ける。

 そして俺の攻撃を、時には紙一重で躱させ、剣や盾で受けさせた。


「この程度か、エト! 次は俺の番だー!」

「頑張れー、惜しいぞーエトー」

「おいケビン、どっちの応援してんだ!」

「あはははは」


 傍から見れば互角の戦いを演じていることだろう。

 しかし実際は、全て手の平の上だ。


 ライアスさんの才能も、今までの努力も。

 俺の才能も、今までの努力も。

 課金の力の前には、全てが無意味である。


 その後も幾度も剣を合わせた。

 5分か10分か、そのくらい経ち、ついにライアスさんの剣が、俺の首筋に当てられる。

 あえて大振りにした攻撃に対処させ、大きな隙を作ってみた。防御が明らかに間に合わないタイミングであったため、ライアスさんも振り抜きはしなかった。これで決着。


 実力を見る、という話であったし、勝ち負けは関係ないはず。

 同じくらいの力があると見せられたらそれで良い。むしろ勝ってしまうと、序列というか、そういうものでギクシャクするかもしれないので、成功だ。


「実力は分かった。エト、中々やるじゃないか! これからよろしく頼む!」

「ありがとうございます。やっぱりライアスさん強いですね」

「お前も若いのに凄いじゃないか。しかしもっとこうだな、筋肉もだな」


 俺は仲間として認められた。


 そうして、今度こそ、13階の、俺の初めてのパーティーでの冒険が始まる。

お読み頂きありがとうございます。

おそらく、今日はもう1話投稿します。頑張ります。

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