4月2週 土曜日
村13
ダ8 フ1
魔99 中6
剣99 剣中6
採取28
草11 花5 実12
料理1
状態異常には様々なものがある。
流血、骨折、欠損。
火傷、病気、混乱、睡眠、麻痺、毒。などなど。
そして、そのどれもが、肉体だけでなく、HPMP、ATKDEFなどに、影響を及ぼす。
以前、流血の状態異常を受けたことがある。
初日にクレーアントと戦った時のことだ。噛みつかれ、牙によって実際に流血したからだろう。
その際は、DEFが減っていた。
本来は20であるはずなのに、18になっていたのだ。
また、骨折したなら、ATKが低下する。
『ブラウンスパイダー
ジョブ:毒蜘蛛
HP:57 MP:87
ATK8 DEF:12
CO:骨折』
このように。
ダンジョンでは、ATKDEF共に、階数の2倍であるため、6階ではどちらも12でなければならない。事実先ほどまではそうだった。
しかし骨折した瞬間、ATKは低下。
4減ったと見るか、3分の2になったかと見るかは置いておいて、ついでに蜘蛛に骨があるのかどうかも置いておいて。
肉体だけでなく、HPMP、ATKDEFなどに影響を及ぼす、とはこのことだ。
流血はDEFが減少する。
骨折はATKが減少する。
欠損は、予想でしかないが、攻撃のモーションの判定が厳しくなる。
冒険者や騎士の間では、体を欠損した者は魔物を倒すのに時間がかかると言われている。常識だそうだ。
ATKが下がっているわけではないので、きっとそういうことだろう。
火傷は、最大HPが減少する。
病気は、最大MPが減少する。
混乱、というか意識朦朧、例えば酒に酔ったりなどすれば、MPが時間単位で減っていく。
睡眠は、プラスの効果。時間単位でHPとMPが回復していく。
麻痺は、まだ見たことがなく、また、欠損のように永続的なものでないため、聞いても分からなかった。
そして最後、毒だが……。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:84 MP:100
ATK:10+5 DEF:20
CO:毒』
時間単位による、HPの減少である。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:83 MP:100
ATK:10+5 DEF:20
CO:毒』
まさか、自ら実証してしまうなんて……。
現在のブラウンスパイダーとの戦闘において、ブラウンスパイダーがスキルを使用してきた。
ダンジョン生活はもう10日目になろうとしていると思うが、初めて使われた。
スキルはMPを使用して行う、特別な攻撃のこと。
だからMP表示が突如として減少した。
知識にはあったが、初めてのことだったので、スキル攻撃だ、一体どんな攻撃がくるんだ! と身構えた。
結果、いつも通りの突進からの噛みつきを、普通に食らう。
スキルと言っても、なにか不可思議な動きをしてくるわけではなかった。
おそらく、牙に毒状態にする効果を持たせる、とかのスキルだったのだろう。
だから、何の変哲もなく、こうなってしまったわけだ。
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:82 MP:100
ATK:10+5 DEF:20
CO:--』
まあ、毒と言っても、別に大したもんじゃない。
HPを単位時間によって減らす、と言っても、減らす最大値は、攻撃で与えたダメージと同値のようだ。
したがって、ATK8ならば、DEF20の相手に、2しか減らせない。
それが終われば、自然に回復もする。
毒を与えた噛み付きと合わせ、合計4のダメージを俺は受けたが、たった4だ。
本当に、大したもんじゃない。
いやあ、死ぬと焦って損した。
どうして毒消しを買わなかったんだ、と心底した後悔を返して欲しい。
せっかく新しい戦い方を身につけたと言うのに、幸先が悪いな。
俺は落ち着いた心でブラウンスパイダーに向き直る。
貴様には、もう1度、俺の新技の餌食になってもらう必要があるようだな。
ブラウンスパイダーは、その俺の心の呟きを見計らったわけではないだろうが、まるで応えるように攻撃を仕掛けてきた。
赤い線、青い線。
俺は、俺だけに見えるその線にタイミングを合わせ、ブラウンスパイダーの顔と体を剣で叩きつける。
「よっと」
『ブラウンスパイダー
ジョブ:毒蜘蛛
HP:50 MP:87
ATK8 DEF:12
CO:骨折』
ブラウンスパイダーは、その衝撃に、思わず攻撃を中止する。
ここまでは、以前と同じだ。そして軽い攻撃で追撃を加えるのも同じ。
しかしいつもなら、軽い攻撃を3度行なうが、今回は2度のみ。代わりに最後、軽い攻撃ではない、強烈な攻撃を1度お見舞いする。
ただし、用いる武器は剣ではなく、足。
そして狙う場所は、頭ではなく、8本の脚の内の1本。もっと細かく言えば関節部分。
俺はその辺り目掛け、体重を重いきりかけ、強い言葉にするのなら踏み砕くように、踏みつけた。
『ブラウンスパイダー
ジョブ:毒蜘蛛
HP:39 MP:87
ATK8 DEF:12
CO:骨折』
素手での攻撃は、HPへのダメージにならないため、最後の踏みつけはダメージと判別はされない。
しかし、身体へのダメージにはなる。
証拠に、ブラウンスパイダーは大きく怯んでいた。
俺はすかさずそこに追撃を行う。
強烈な攻撃ではなく、軽い攻撃を。それも、5度。
『ブラウンスパイダー
ジョブ:毒蜘蛛
HP:14 MP:87
ATK8 DEF:12
CO:骨折』
「ふう」
ダメージになったのは4度だったが、大ダメージだ。
1度の攻防で、2度の攻防分のダメージを与えられている。
これが新たな戦い方。
剣だけでなく、蹴りを使う。
サイドビートルを倒す際には、毎度そうしていたが、他の魔物ではイマイチ効果を見出せず、使うことは少なかった。
しかし、要は使い方だ。何事も。
蹴りを、簡易な威力ではなく、全力で使えば良い。
人が行える攻撃の中で、最も強いのは、おそらく踏み付け。体重の全てに、加速度を加えられるのだから、壮絶な威力になる。
青い線が見えるおかげで、俺は予備動作の大きい攻撃でも当てられる。
この戦い方を閃き、実践して結果を得られた際は、最高の気分だった。
俺の時代が来た!
と、そこまで思ってしまったくらいだ。
5階6階と戦えば、大体6階の魔物を半分ほど倒した段階で疲労困憊になるのだが、今日は違う。
発見できたのこそ、6階で戦っている今が最初だが、しかし、これで今日は6階の魔物を全て倒すまで体力も持つだろう。
むしろ来週からは、7階まで行けるかもしれない。
1度の攻防における与ダメージも上がるのだから、5階に入らず、6階と7階だけに入っていても良いかもしれない。
それでも十分稼げる気がする。
俺は、ブラウンスパイダーの残るHPも全て削り、6階の魔物達を順調に倒して行く。
鼻歌混じりに。
傍から見ても、自分から見ても、テンション高く。
どうしてこんなにゴキゲンなのか、これは……、おそらく俺以外の人に言っても分かり辛いのだろうが、成長した瞬間、そんなようなもので、本当に嬉しかったからだ。
今まで俺は、努力する、ということをしなかった。
いや、小さな頃はやっていた。小学校4年生の時、野球を始めた辺りだろうか。
周囲の同級生より始めた時期は2年も3年も遅く、また体も小さかったため、俺は一番下手であった。だから、その時は努力していた。
毎日上手くなる実感を得て、純粋な気持ちで。本当にあの頃は楽しかった。
そして俺は、4年生の夏の大会で、既にレギュラーになっていた。
つまり並み居る同級生や、上級生をあっと言う間に追い抜いたのだ。
それから、努力という努力はしていない。
だから、この感覚は久しぶりだ。
誰に気兼ねすることもなく、自身からも否定的な意見の出ない努力と成長。
冒険者として、戦う職の従事者として、俺はまだ他の人達の実力を見ていない。
天才しか届かぬ領域を、俺はまだ知らない。だから、なんだかどこまでも行けるような気がする。本当に、本当にどこまでも行ける気がする。
だから、喜び勇んで当然だ。
まあ、喜びすぎて、代わりに毒を食らったわけだが、それは置いといて。
……しかし、虫に骨ってあるんだなあ。知らなかった。やっぱり気持ち悪いな虫は。
7階に行ったら、新しい虫が出てくる。それを考えるとやっぱり行きたくないね。8階に行けばあのゴキブリが待っている。まだ、全然虫の異質さに慣れていない。
才能がなかったら、7階8階に上がるのにも、もうちょっと時間がかかるだろうに。自分の才能がうらめしいぜ。
異世界生活14日目。
2週間が終わって、中々良い展望が見えてきた気がする。
「いっってえ!」
『キジョウ・エト
ジョブ:異世界民
HP:79 MP:100
ATK:10+5 DEF:20
CO:毒』
油断が、少なくできれば、なお良いな。
本日の稼ぎは、最高記録。
銀貨8枚と銅貨20枚だった。手数料を引くと、銀貨7枚と銅貨38枚。
お読みいただきましてありがとうございます。
今からちょっと強くなります。
今後ともよろしくお願いします。




