4月2週 月曜日 その1
色々と独自の設定がございます。覚えきれないと思いますので、次にそれらが関わってくるときにも、また説明いたします。
今は、サラッとお読み下さい。
ダ3 フ1
魔32 中3
剣32 剣中3
採取28
草11 花5 実12
料理1
異世界では、人間のことを、ヒューマンと呼ぶ。
人間、人類、という言葉も存在しているのに、あえてヒューマンと。
なぜなら、人間、人類と言うと、ヒューマン以外の人種全般を含めての、人の総称になるのだ。
ヒューマンのことを示したいのであれば、ヒューマンと呼称しなくては通じない。
つまり、異世界には、ヒューマン以外の人間が存在するということ。
それは、デミヒューマン、いわゆる亜人に分類される者達。
エルフであったり、ダークエルフであったり。
ドワーフであったり、ホビットであったり。
それから、犬耳、猫耳を生やしたビーストであったり、竜の鱗や角、翼などを持つドラゴニュートであったり。
他にも、多数のデミヒューマンがおり、この異世界の人類は成り立っている。
少々、差別などの、暗い話はあるようだが、日本で育ちそれらに馴染みのない俺にとっては、ともかく夢が広がる話だった。
とは言え、カルモー村で唯一のデミヒューマン、犬耳犬尻尾の騎士を見た時に、その夢は急激に収束したが。
流石に50代のおじさんが、犬耳はキツイ。
申し訳ないけど。良い人だけど。
ヒューマンとそれら種族は、そのように見た目に違いがある。
ヒューマンを素体に、各種族の特徴を付け足したような。
そこを隠せば見た目に違いはなくなるが、俺からすれば、それだけでも十分あり得ない姿だ。
異世界とは、まことに変わったところ。
似通った部分もある、と最初は思っていたが、知れば知るほど違う部分が出てくる。
人種関連では、例えば、寿命。
最も長寿なエルフは、7年に1歳分の歳を取ると考える。
長生きだと100歳を越えるそうなので、700年も生きることができる。
それから、身体能力。
ドワーフは、とても力持ちで、自分の体重より重い物でも軽がる持てるらしい。
また、飛べる系の人種もいて、少しだけだが飛べたりもする。
他にも、美醜。
人が美醜を顔で判断するとすれば、ドラゴニュートは角で判断する。相手に角がなければ瞳。
体温なんかも違うようだ。
ビーストのおじさんは、平熱が40度らしく、冬場はとてもありがたがられると聞いた。
ただ、本人いわく、冬場は動かなければ、人一倍寒くてたまらないそうだが。
異世界には、俺が知らないことがまだまだたくさんある。
今のも定食屋で、酒の肴のような形で聞いただけ。まだまだ情報は不足しているだろう。
一体ここはどんな世界なのやら。
ちなみに、人種の説明の中で一番驚いたのが、アイテムボックスの違い。
アイテムボックスとは、実体の無いカバン、とでも言おうか。
ともかく、手に持たなくても使えるカバンで、物を入れたならそれは消えて、重みすら感じなくなり、しかし、いつでもどこでも取り出せる超便利なもの。
自分が雨に濡れれば、中身も濡れてしまい、暑い日差しの中いれば、中身も日に焼けてしまう。そんな、いくつかはカバンより、劣っているところもあるが、しかしとてつもなく便利なカバンだ。
それを、人間は、全ての人種が持っている。
けれども、この便利なカバンは、人種によって特定の品物にしか使えない。
エルフならば、樹木。
ドワーフならば、金属。
ビーストなら、フィールドの魔物。
ヒューマンなら、それが、ダンジョン関連の品物となる。
ダンジョンモンスターを得られるアイテムや、そこから作れる加工品など、全て入れられるアイテムボックスだ。
だから俺は、ダンジョンに、リュックなどを持って行ったリしたことがない。
年齢分の種類×年齢分の個数、という法則があるものの、16歳の俺ですら16種×16個。
余裕で入りきる。
そんなアイテムボックスを、ヒューマン全員が持っている。
異世界から来た俺だけが、特別に持っているとかは残念ながらない。
少しはあれよ。と思うが、残念ながら。
アイテムボックスは異世界に根付いたものらしい。
だからこそ、そのアイテムボックスによって、従事する職業が少し変わってくる。
樹木を、年齢分の、m×個数入れられるエルフなら、林業に向いている。
30歳ならば、30mの木を30本1人で運べるのだから、その輸送力は凄まじい。
金属を、年齢分の、kg×個数入れられるドワーフなら、鉄鋼業。
採掘した直後は土砂も混じるため、入らないのかもしれないが、製鉄後は入れられる。鉄ならば、小さく切り分けておいても、後でくっつけられるのだし、実質、年齢の二乗の分量を運ぶことができる。
フィールドの魔物を、年齢分の、種族×匹入れられるビーストなら、フィールドでの狩り。
魔物は基本大きく重いため、必須の人員なのだとか。
カルモー村にも、だからか1人派遣されている。
魔物は、解体後でも加工していなければ、1種族と換算される。そのため、解体したクレーアントを、猫耳おじさんは1人で運んでいた。
アイテムボックスに入れられる品は、種族毎にまるで違う。
だからこそ雇用に違いが生まれ、各種族に役割が生まれ、それの有用さで階級が生まれ、差別が生まれ、世界の覇権を握るヒューマンが誕生したのだろう。
ダンジョン関連の輸送に秀でるってのは、汎用性が高過ぎると思う。
ドロップアイテムと一口に言っても、食べ物から衣服、消耗品、使い道は異様に広いのだ。さらに、それだけならばいざ知らず、ドロップアイテムから作る加工品も運べる。
つまりは武器や防具だ。
戦いにおいては、ありえないほどの有用性。
それも、ダンジョン産アイテムは、資源が無限にも等しい。
移動手段が、悪路を走る馬車しかない現状では、ヒューマンが輸送面で最強を誇る。
数百年後、鉄道や飛行機ができれば、また変わるのかもしれないが。
いや、鉄道や飛行機、貨物船に、ヒューマンを大量に載せた方が運べるんだから、やっぱり上か。ビッシリと載せておいたら凄い容量になるだろう。
絵面を想像すると気持ち悪いな。
そういうわけで、俺は、異世界人特有の優遇はないが、種族の優遇はある。
異世界生活9日目、庭付き一戸建てを目指す生活1日目、スタートだ。
残る銅貨の内、半分ほどを使って朝食をとった俺は、体中に藁がついていることを周囲の人に突っ込まれつつ、ダンジョンヘと向かった。
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これからも頑張ります。