7月3週 休日
村35 町54
ダ40 討伐1 フ21
王1
人1 犯1
魔100 中14 上1
剣100 剣中13 剣上1
土3 中1
木4
回復100 中4
治療87
採取100
草46 花16 実70
料理10
石工100
木工100
伐採100
漁1
歌3
体55
女7
ボルカノスベアルと戦うためには、数百人規模の騎士隊を要する。
にも関らずその軍隊は、討伐や撃退を目的としない。
いるのかどうかの確認や、これ以上近づいてこないようにする土木工事がメインだ。
縄張りに入ってしまった村は捨て、街道を封鎖、崩落させることで、道を寸断する。良い水場があれば破壊し、可能であれば毒を撒く。
それが圧倒的強者に対する人類の戦い方だった。
土砂崩れで倒した俺の方が、随分マトモな戦いに思える。
だからか、サンクェルス古城町に辿り着いた際、先に戻った一人に事情を聞いていた騎士達は、俺とアンネを快く迎えてくれた。
歓待、というには食事も何も用意されていなかったが、夕暮れ時を少し過ぎていたにも関らず、宿場から騎士達はゾロゾロと出てきて、口々に凄いなと褒め称えてくる。
時にはあの化け物に勝ったのかと怯えられたり、舐められてアンネが切れていたりと、喜べないことも少しはあったが、まあ、概ね楽しかった。
また、村へ一緒に行った商人やサンダーレンさん達と、再会を果たせたことも、良かったと思う。
彼等はサンクェルス古城町に全速力で向かい、結成の只中だった騎士隊と言葉を交わしていたらしい。俺達が取り残されたことも伝えてくれていたようだ。
だからと言って、騎士隊の出陣が早まったりはしなかったようだが、一縷の可能性を信じて、俺達の荷物は取っておいてくれた。
着替えに困ることはないようだ。
俺もアンネも今の服は、村に残されていた服だから助かった。
しかし、そちらの荷物にはお金をあまり入れていなかったので、結局お金はないままだ。
ボルカノスベアルの討伐や撃退に褒賞金がかかっていたとか、そんなことはなかったので騎士団からお金を貰えるということはなかったし、商人さん達からも――。
「すみません、謝礼としてお金も渡したいのですが、なにぶん私も馬車と馬、それから積んでいた荷物を失っていて、これから先どうなるか分からないもので……」
「俺達も、すまない。この人には世話になってるんだ、だから俺達の金は……」
そういった事情があって、流石に貰えない。
「このボルカノスベアルの爪は絶対に売りませんよ! 売ってもそう大した金額にはなりませんし、これは家宝にしますので! これから出会う者にエト様の偉業を語るための家宝です!」
ボルカノスベアルの爪も、売らせてくれない。
ほぼほぼ無一文だ。
まあ、今日の宿は騎士団の詰所の方で貸してもらえるし、食事は商人さん達が持っていた食料を分けてくれたので、カルモー村のあの時のような状態ではないから良いか。コネとは素晴らしいものだ。
「それに、キュレトン市まで馬を貸してくれるんだもんな。騎士団は太っ腹だな」
「向こうからすれば、数日分の危険な仕事がなくなったのですから、安いものでしょうね。領主の顔を見ましたか? 嬉しそうに浮いたお金の計算をしていましたよ?」
「太っ腹と思わせといてくれよ。確かにその金は俺達に少しくれても良いんじゃないとは思ったけどさ」
「懲らしめてやりましょうか?」
真っ暗な部屋の中で交わされる言葉に、思わず「ご老公か!」とツッコミを入れる。ご老公、知らないだろうけど。いや、俺もそんな知らないけど。
「……しかしエト様」
「なに?」
「……我々は、今後こういった形で眠る、ということでしょうか?」
「……。まあ、これなら一人部屋でも良いし……、安いし……。アンネが嫌なら、全然あれなんだけどさ」
「いえ、嫌、というわけではありませんが」
「そう?」
「ええ」
「……じゃあ、まあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさいエト様」
俺達は疲れを癒すべく、ゆっくり休んだ。
背中越しに、お互いの熱を感じながら。
お読み頂きありがとうございます。
久しぶりの更新です。
書ける時間が、現在ほとんどない状態です。これからもしばらくはそんな日々が続くと予想されます。更新があまりできないと思います。
それでも、読んでも良いと仰る方がいれば、大変嬉しいです。数ヶ月間ほど、この作品のことは忘れ、いつの日かまとめてお読み下さい。
どうぞよろしくお願い致します。