4月1週 土曜日
ダ2
魔25 中2
剣25 剣中2
通貨は、金貨、銀貨、銅貨、この3種。
それぞれその名の通り、金、銀、銅の3つの金属でできていて、金の価値が一番高く、銅の価値が一番低い。
銅貨100枚で、銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚になる。
普段の生活は、主に銅貨と銀貨で行われている。
村でも、宿代は銀貨1枚であるし、飯代も昼夜の2食で銀貨1枚はする。
したがって、普段の生活を銅貨と銀貨だが、銅貨を使う際は基本的に数十枚単位。
1枚で何かを買うようなことは不可能だ。
日本で言うと、10円くらいと思うのが丁度良いかもしれない。駄菓子もない異世界では、流石に10円だと何も買えない。
しかし、チップを払うのには丁度良い。
異世界ではチップ文化が当たり前のように根付いているのだ。
食事の配膳、水汲み、服の洗濯、等々。それらをしてもらった様々な場合で、銅貨1枚のチップを払う。
正直、自分でやります、と言いたいことも多々ある。銅貨1枚とはいえ、塵も積もれば大和撫子だ。
だがどうやら、それらをする職の人が存在するようで、井戸から勝手に水を汲むことも、服の洗濯をすることも、禁じられている。
頼んで、チップを払わなければいけない。
彼等の暮らしのために。
俺の暮らし……。
……まあ、しかしそうなると、10円で例えると可哀相か? 彼等は10円で仕事をすることになるのだし。
本場のチップはどのくらいなんだろう。海外旅行をしたことがないから分からない。
まあ良い。ともかく、異世界ではチップも払わなければいけないし、諸々でやはりお金がかかる。
お金が足りない。
お金が足りない。
異世界生活7日目。
異世界に来てから、今日で1週間が経とうとしている。
俺は、この1週間の生活を思いかえし、そして、家族はどうしているのだろうかと、そんなことを考えた。
父はローンの残った家を失い、母は出来の良かった一人息子を失い。
今、一体何を思っているのだろう。
父さん、母さん、僕は今、異世界にいます。
できることなら、どうか……。
……。
仕送りをして下さい。
……。
ローンで大変かもしれないけど、仕送りをして下さい。
……。
俺は祈って、しばらく耳を澄ませてみたが、隕石の音は聞こえなかった。
「はあー」
ため息をつきベットをおりて、鎧を着込み、剣を持ち、そうして今日もまたダンジョンヘ。
「宿代が銀貨1枚。飯代が銀貨1枚、節約すれば……、銅貨50枚くらいか」
宿屋から出て、ダンジョンへ行く道すがら、俺は指折り数えてみる。
毎日かかるお金がいくらあるのだろう、と。
しかし、お金のことで頭を痛めていると、段々気分も落ち込んでくる。
せっかく微課金機能をくれと頼み、叶ったというのに、一度も使っていないし。
異世界生活はとってもお金がかかる。
とは言え、銀貨2枚を稼ぐことができたなら、その日、生きていけることは、間違いない。
だから俺は、1日振りに、ダンジョンへと入って行った。
未だ筋肉痛が酷い体を引き摺って。
所要時間は、1時間か、1時間半か、そのくらいだろうか。
1階でクレーアントを2匹倒し、ボスであるキングアントを倒し。
2階でクレーアントを2匹倒し、2階から出てくる、フトリポリを2匹倒す。
ダンジョンの魔物を倒せば、ドロップアイテム、と呼ばれるアイテムを落とすのだが、これがお金になる。
クレーアントが落とす、外殻は、1つ銅貨30枚。4つ手に入れたので、銀貨1枚と銅貨20枚。
キングアントの外殻は、1つで銅貨70枚。
フトリポリが落とす、足は、1つ銅貨20枚。2つ手に入れたので、銅貨40枚。
合計で、銀貨2枚と銅貨30枚をゲットした。
「手数料で、銅貨23枚頂きます」
合計で、銀貨2枚と銅貨9枚をゲットした。
これで一先ず、今日を生きていける。
俺は、騎士団詰所に併設された、換金所から出て、重い体を引き摺ったまま、定食屋でご飯を食べ、宿屋に帰って泥のように眠った。
あとは、明日の自分に任せよう。
ああ、どうか……、明日には仕送りが届いていますように。
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何でもないような1日も、多くある物語です。
飽きてしまったなら、1週間2週間置いて、暇な時にでもお読み下さい。
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