7月1週 水曜日
村34 町48
ダ40 討伐1 フ10
人1 犯1
魔100 中13 上1
剣100 剣中13 剣上1
回復56
治療76
採取100
草23 花5 実40
料理7
石工4
木工17
漁1
歌3
体55
女7
冒険者は基本的に、粗雑な者達である。
人間性が悪い、低い。そう言い変えても良い。
実力が全ての世界で生きているからでもあるが、大元は、あぶれ者がする仕事であるから。
農家に生まれれば、農業をする。
しかし田畑を継ぐのは、長男のみ。長男に何かがあればその下が継ぐが、四男五男が継ぐ可能性は極めて低い。
他の職業も同様。
宿屋も、金物屋も、パン屋も、継ぐのは長男。次いで次男三男。
四男五男は、例え修行経験があり技術があったとしても、店員として雇われることもなく、家を出て行かなければならない。
再就職先を探しても、どこの店も同じ状況である。長男が継ぎ、次男三男が店員。新たな店員を雇う余裕はない。
あるとしても、そんな店には、丁稚奉公を小さい頃からしている者が存在する。店員になるのは、その子が優先される。
女性であれば、いずこかへ嫁入りする選択肢も多いにあるが、男性にその選択肢はほとんどない。男性が生まれない家は、四男五男の数に比べて、あまりに少ないからだ。
そんな時、その者達はどうするのか。
冒険者になる。
そのため、冒険者は、あぶれ者の職業。やくざ者の集まりだ。
だからこそ、人に対して当たりが強く、粗野な者が多くなってしまう。
とはいえもちろん、そうでない者もいる。
生い立ちに恵まれていなかろうと、真直ぐ生きている者もいれば、俺のように、のっぴきならない理由があって遠くから来ていて、冒険者になるしかない者や、修行という名目で戦うアンネなどもいる。そんな者は、至って普通の人だ。
「なので話しててエトさんは、冒険者って感じがしませんねー」
「なるほど。そりゃあ嬉しいですね」
少年行商人のお墨付きも貰った。
少年行商人は、話していて分かるが、結構優秀な子だった。
商家の末っ子、六男坊であり、店を継げる立場にないため、既存の商売ルートを使えないからと、その歳で新たな商売ルートを設けたのだ。
それが、橋のヘデラルから遠く離れたパルウェを結ぶ商売ルート。
2つの町で、買える品売れる品を見極め運び、今や結構儲けているのだとか。
羨ましい。
本当に羨ましい。
成功したことが、ではなく、頑張れたことが。
天才ではないのだから、そんな遠く離れた町を交易ルートで結ぶなんてことは、偶然にしかできない。
良いと思って選び買いつけた品が売れたから、それは実力に見えるが、しかしやっぱりそれは偶然だ。数十人が同様の努力をして挑戦し、少年以外全員失敗するような分の悪い賭けなのだ。
だから、俺にはそんなことできない。絶対に頑張れない。
羨ましい。
本当に羨ましい。
そう思いながら、俺は少年と昼食を食べた。
すると、荷馬車が走り始めるからとアンネの隣に戻った時、アンネにまた変な目で見られた。
そして、頭を撫でられた。
「馬鹿だなあ」
その後侮辱された。
「上げて落とすってひどいな」
「有言不実行は駄目だからな」
「……分かってるよ。頑張る、頑張るぞー。おー。……何やってんの、一緒に」
「は?」
「頑張るぞー、おー!」
「え、あ、お、おー!」
お読みいただき、ありがとうございます。
前回更新から、随分時間が空いてしまいました。大変申し訳ございません。
これからはその分を埋められるよう、頑張りたいと思っております。これからもどうぞよろしくお願い致します。