7月1週 火曜日
村34 町47
ダ40 討伐1 フ10
人1 犯1
魔100 中13 上1
剣100 剣中13 剣上1
回復53
治療76
採取99
草20 花5 実40
料理7
石工4
木工17
漁1
歌3
体55
女7
キュレトン市は、この地方では大きな町である。
そのため、周辺では交易ルートが確立している。
交易ルートが確立しているとはすなわち、周辺の町目掛けて朝方に出発したならば、夜には次の町へ到着する、夜営をする必要がない道程になっている、ということである。
雨季の間は地面状況によって、移動に時間がかかってしまうが、そのルートがきちんと確立されているのなら、1日できっちり辿り着けるのだ。
だから、朝早くにヘデラル町その1を出た俺達は、ヘデラル町その2に辿り着いた。
周辺にはヘデラルと名付けられた村や町が無数にあるため、ここは橋が近くにあることから、橋のと呼ばれている。
橋のヘデラルは、俺達を送ってきてくれた行商人の、目的地でもあった。
「ありがとうございました」
俺とアンネは揃って行商人に頭を下げた。
「いやいや、道中楽しかったよ。安全だったし。キュレトンまで行くんだろう? トルポまで行くやつは知ってるが、それより向こうまで行くやつがいないか、聞いて来てやるよ」
すると行商人は嬉しいことに、そう言ってくれた。
「本当ですか? ありがとうございます、一緒に行きます」
そして、サンリュー村、トルポ山道町を通りすぎ、パルウェ町まで行くという人を見つけた。
俺より年下っぽい少年だった。
「こいつら、冒険者なのに気の良いやつらでよ、乗っけてってくれねえか?」
「良いですよ。全然。あ、ただお金は頂きますからね?」
行商人の言葉に、少年はアッサリと頷く。
「明日出発する予定ですが、大丈夫ですか?」
「全然大丈夫です、よろしくお願いします」
そうして、アッサリと決まった。
何度か揉めて御破算になったことがあるので、決まって良かった。俺は、割と巡り会う人に恵まれているのかもしれない。そう思った。
……いやでも嫌な奴も結構いたな。名前は忘れたが、親切なお婆ちゃんの出した飲み物を、マズイよなと言ってくる奴とか。確かにマズかったが。。
「それじゃあありがとうございました」
「おう、達者でな。そっちの美人の嬢ちゃんも」
「あ、え、あ、ああ。……その……、感謝する」
行商人と別れた俺達は、少年と集合場所や日時などの条件を詰めていく。
「サンリュー村までは、今の時期なら3日くらいかかるので、準備をしておいて下さい。着けば食料は買えますから、その分だけで良いです」
「3日分ですね、分かりました」
少年の言葉で、俺は食べ物がどれくらいいるのかの考えを巡らせた。
3日だから、昼夜昼夜昼夜で6食。
昨日のように兎が獲れても、俺はあんまり食べたくないから、6食分は一応持っていきたい。道中野草とか実をとって食べるとしても、まあ用心のためにはそんなもんだろう。
……しかし3日か、久しぶりに長い移動になるな。雨季だから仕方ないか。
あれ、でもサンリュー村までは元々からして2日、って聞いてたような。ルートが確立されてるとかって言ってたのに1日じゃないのか?
俺は疑問に思ったので、少年に聞いてみた。
「ここからサンリュー村までは2日でしたっけ? 他のところは1日なのに、ここだけ長いんですね」
「ああ、そうですね。何ヶ月か前までは町があったんですけど、近場を、……何て名前だっけな、とにかく大型の魔物が餌場にしちゃったみたいで。町民も何人か食べられて、騎士も何人もやられたそうで。結局廃町にしたらしいですよ」
「えっ? そうなんですか?」
「ここからパルウェまでは山や森の中を走るルートですから、よくあるんですよ。上手いこと大型の魔物が好む場所は避けて村や町は作るんですけど、魔物の数が増えたり減ったり、日照りで不作だとかそういうので、たまに変わるんで」
魔物には勝てませんからねー、とあっけらかんと少年は答えた。
純粋な疑問をぶつけただけなのに、なんだか怖い情報を仕入れてしまった。そりゃあ、でかい魔物が出てきたら危険極まりないだろうが、騎士がいても町がなくなるほどなのか。
いやまあダンジョンではあの程度だったクレーアントで大騒ぎになるんだもんなあ、そりゃそうか。
というか、俺達は今から、そんな危険なルートを走るのか。
「移動中に鉢合わせすることはないんですか?」
「移動ルートは、縄張りではないので大丈夫です。縄張りだったら、通ったほとんどが死んでますよ。あっはっは」少年は笑う。笑い所かどうかは分からない。「お腹が減って餌を探しに来ていたら、もしかするかもしれませんが、馬一頭でお腹一杯になってくれるので、死ぬことはありませんよ」
「なるほどー」
俺は一応そう言ったが、心の中では愕いていた。怖いわ! と。
魔物もそうだけど、考えが怖い。
異世界人は兎を殺し、馬を見殺す。恐ろしや恐ろしや。現代人の動物を守る精神を見せつけてやりたい。まあ、そんなことしてたら自分が死ぬだけだろうが。
しかし、護衛で乗る予定なのに、護衛を期待されていないな。そんな気がする。
まあ、フィールドででかい魔物に勝つとか、絶対に無理なのでそれで良いか。むしろ期待された方が困る。俺は兎すら捌けない男だ。
「それじゃあまた明日」
「よろしくお願いします。ほら、アンネも」
「え、わ、私もか? いや別に。……よ、よろしく、頼む」
そうして俺達は宿を取り、眠った。
お読み頂きありがとうございます。
これくらいで長い方になります。つまらないとは思いますが、どうぞお付き合い下さい。