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106/144

6月4週 火曜日

村34 町41

ダ35 討伐1 フ8

人1 犯1

魔100 中12 上1

剣100 剣中12 剣上1

回復39

治療54

採取81

草16 花5 実33

料理7

石工4

木工12

漁1

歌3

体55

女7

 テトン町からキュレトン市までは馬車で2週間かかる。


 テトン町からオキロー町まで1日。

 オキロー町からヘデラル町まで1日。

 ヘデラル町からヘデラル町まで1日。


 ヘデラル町からサンリュー村まで2日。

 サンリュー村からトルポ山道町まで1日。


 トルポ山道町からパルウェ町まで1日。

 パルウェ町からサンクェルス古城町まで1日。


 サンクェルス古城町からパルウェー町まで1日。

 パルウェー町からロトール町まで1日。

 ロトール町からは、ルートが4つ5つに分かれ、好きな道を行けば良いが、いくつかの村や町を経由し、最終的にはライリーン麦畑町に辿り着く。


 そして次が、キュレトン市。

 40階を越えるダンジョンがある、ここら地方だとかなり大きな都市。

 イメージとしては仙台市だろうか、いや、仙台はそこよりも大きな、ジュザイム都市の方か。なら……、青森市くらい? ……じゃあテトンは一体、そしてカルモーは一体どこなのか、もう恐山くらいの扱いじゃなかろうか。

 神様は何を思って俺をそんな片田舎へ送ったのか、全く不思議だ。イジメか!


「なるほど、キュレトン市まで行く人、は流石にいませんよね」

 俺は心の中で神様への悪態をついていたが、そんなことはおくびにも出さず、先ほどの町の説明をしてくれた行商人に問いかけた。


「いないねえ。あーでも、確かトルポまで行く人はいたかな? あれ、違う、あの子は死んだんだったか。橋のヘデラルまでなら行く人はいたと思うよ、サンリュー村の手前の方ね」

「紹介して貰っても良いですか?」

「良いよ良いよ。って、エト君も知ってると思うけど、ほら、熊の獣人の」

「あー、オーゴイットさん。知ってますね、そしたら」

「うん、それじゃあ、まあ、縁があったらまた」


 俺は行商人と別れ、さきほど言った熊の獣人の行商人に話しかけた。

 護衛も兼ねるなら、と快く馬車に同乗させてくれることになった。

 これからまた行商に出かけるため、出発は、休日のどこかになるのだとか。

「多分、今週の休日かなあ。多分な」

 もちろん馬車の荷を俺達が乗る分少なくしなければならないから、と、2人分の料金はとられた。


 頭を下げ、俺達はその場をあとにする。すると、アンネが話しかけてきた。

「……貴様は、親しい者が多いのだな。この町には1ヶ月しか滞在していないと言っていたが、昔住んでいたのか?」

「いや? つい3ヶ月前くらいは異世界にいたから、全然知り合いとかじゃないね」

「貴様の言うことは度々分からん。しかしつまり、あの男と知り合ったのはこの1ヶ月の間か?」

「そうだけど。……なに?」


「……妙に仲が良いなと思っただけだ。親しげだな、と」

「そう? 話したのも2回目だし、別に普通だと思うけど?」

「あれが普通? 普通はもっと断られると思うが……、私が移動する時は大分苦労したし……、種族か? だがあの時もヒューマンとパーティーを組んでいたから同じだ……、なぜだ……」

「……もしかして友達の作り方的なものを聞いてる?」


「ち――違う!」

「もっと笑ったら良いんじゃない? 相手の言うことにもっと素直に頷いて、ありがとう、って言って。そうじゃないと、この先大変だよ?」

「……この先?」

「……なんでもない。さて、ダンジョン行くか」


 俺達はダンジョンに入り、15階で戦った。

 昨日と違うルートを歩くと、運が良いのかボス部屋を発見することができた。


 上の階に行こうと言っていた矢先に見つけられるとは運が良い。

 しかし見つけるのが少し早かったかもしれない。これでは、悩む。

 元気な内に入っておいた方が良い、16階の魔物ともなるべく多く戦う、それらを考え今すぐ入るのか、それとも、ボス戦で撤退する可能性やウォームアップを考え、少し戦って稼いでから入るのか。


 俺達は互いに見合う。そして目を見て、お互いに考えが一緒であることを確認し、頷き合った。

「じゃあ、あと何匹か倒してから行こうか」

「では、すぐに入るか」

「……」

「……」


 なぜ頷き合ったのか、全く分からないほどバラバラな意見だった。

 最終的には入ることで決定し、俺達はボスに挑んだ。


『ファイアートード

  ジョブ:火蝦蟇

  HP:100 MP:100

  ATK:60 DEF:60

  CO:--』


『ファイアーフロッグ

  ジョブ:火蛙

  HP:100 MP:100

  ATK:30 DEF:30

  CO:--』


 11階から20階でのボス戦は、ボスが1匹雑魚が1匹という形になる。

 ファイアートードは、ファイアーフロッグよりも一回り大きく、そして造形が禍々しい。あとヌメヌメしていそう。


 気持ち悪!


 爬虫類好きだったならば、まだマシな感想を抱けるだろうが、都会育ちの俺は虫や爬虫類全般が駄目なため、とにかく気持ち悪いと思った。

 いや、しかし自称虫好き爬虫類好きも、このサイズのが好きなわけじゃないだろう。見ようによっては肉食獣だ、こんなもん。おそらく、見ればパニックになる。


 それを思えば、俺は自称虫好き爬虫類好き達よりも、虫や爬虫類が好きなのかもしれない。……ドン引きはしてるが。


「俺がボスに行く」

「私がボスに行く」

「……俺がボスに行く」

「私がボスに行く」


「……。俺が雑魚に行く」

「うむ」


 そうして俺達は戦った。

 途中、背後から危機感を感じ、目の前にいるファイアーフロッグにぶつかっても構わないからと、前方にダイブして避けると、ファイアートードの巨大な舌が、剛速球もかくやという勢いで俺を粉砕しようと迫っているところだった。

 ファイアーフロッグに抱きつきながらアンネを睨みつけたが、アンネは隙ありと言わんばかりにファイアートードへ攻撃を仕掛けていた。なにか、一言くらい欲しかった。


 俺達は問題なくボス戦を勝利し、16階へ。


 ファイヤーストーンが出てこなくなり、代わりに出てくるようになったのが、高さ3m近い木。


『ヒートココナッツ

  ジョブ:熱椰子

  HP:100 MP:100

  ATK:32 DEF:32

  CO:--』


 頂上近くにいくつかの実が成っているヤシの木だ。

 ドロップアイテムは、実か大きな葉。実は銀貨1枚と銅貨20枚で売れるが、葉は銅貨80枚。確率は半々。

 事前に仕入れた情報によれば、18階くらいまで行くと、実しか落とさなくなるのだとか。


 攻撃方法は実を落とすこと。

 成っている実は、一つ落とすごとになくなっていくため、弾切れをおこすのだが、スキルを使うと全弾一気に回復する謎仕様。


 原理は分からないが、ともあれ俺はそんな謎な敵と初めて戦う場合でも、赤い線青い線が見えるおかげで、攻撃を食らうこともあまりなければ、予想外の事態に追い込まれることもない。

 アンネが後ろで、「ほー」と感心するくらいには上手く戦えた。


 次に1体で出てきた際はアンネが戦ったのだが、ヒートココナッツの動きが分からないために戸惑い、何度か攻撃を受けた。

 同条件でこの体たらく、そんなことを思っているからか、一緒にダンジョン入った初日と同じように、俺の方を恥ずかしそうにチラチラ見てきた。


 笑って何か1つくらい煽ってやろうと思ったが、笑いも言葉も出てこなかった。

 笑えない。それを全く笑えない。


 16階でそれからしばらく戦いヒートココナッツだけで5匹倒したが、ドロップアイテムは、実が3つ、葉が2つ。運の良い結果だった。


 騎士団詰所に行き、ドロップアイテムを売却。

 稼ぎは、2人で割っても銀貨9枚を越えた。


「お小遣いいらないって言ってたけど、これ、アンネの分、巾着に入れとくから、何か欲しいものがあったら使えば良いよ」

 俺は受け取った銀貨の内、2枚を巾着に入れた。


「あ、昨日と土曜日の分もか」

 再び巾着を空け、銀貨をさらに4枚入れる。そしてそれをアンネに渡した。


 アンネは受け取らなかったが、部屋の一角に置いておくことにする。これで良い、これで大丈夫なはずだ。

 きっと。

お読み頂きありがとうございます。

今日中にもう1話投稿したいと思っています。頑張ります。

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