風が強くて
風が強くて
あなたに ついていけない
私の翼は小さくて
今日みたいな日は とくに
いつも飛び出していく
あなたの後を
みんなと一緒に
ひっしに ついていくのに
私の羽ばたきは小さくて
よろめき 失速する
黒が 来た。
蹴散らすように 叫ぶ 黒
私たちの場を ぬうように来る
皆 散り散りとなり
私は 遅れた私は
地面に叩きつけられ
見上げる雲ひとつなき秋空に
あなたと皆が
黒を
気がつけば
優しく啄ばまれていた
か細く声を上げれば
力強くこたえてくれた
傷んだ翼を
軒下で癒していると
寄りそい
温めてくれた
風が強くて
私はふるえ 留まって
翼は癒えたはずなのに
この秋空が こわい
何度目かの
あなたの誘いに
震えながら
羽を
よろめいて
落ちそうになりながら
私ははばたく
前を向いて
もげそうになっても
息が切れても
手の届く その先を見て
あと少しの 枝先を目指して
私は雀