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Myrla ~VRMMOでやりたいほうだい~  作者: 佐藤悪糖
7章 行くぞお前ら祭りの時間だ

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7章 1話

 まずはギルドチャットを開く。


「ハロー、ラストワンだよ。生産職の皆さん聞こえるー?」

『事情知ってそうな人来た』

『教えててんちょー、どうして空は紫なの?』

『だから俺のせいだって。俺がずっこけてラグア神像にツルハシぶち込んだからこうなったんだよ』

「それは関係ないけどラグアに謝っといてね、マジで」


 何やってんだこいつ。この状況でラグアと喧嘩するとか本気で困るからごめんなさいしましょう。


「簡潔に説明するね。たった今攻略組は50レベルMAP世界樹の大門のフィールドボスを討伐しました。その結果自然界と背面界を繋ぐ門が開かれ、門からウルマティア率いる怪物が山ほど出てきているのが現状。オーケー?」

『自然界ってなにー?』

『背面界ってなにー?』

『門ってなにー?』

『ウルマティアってなにー?』

『怪物ってなにー?』

「イベント起こした。敵来てる。オーケー?」

『面倒くさくなった感あふれる分かりやすい説明をありがとう』

『お前らー。街の中に図書館があるから用語はそっちで確認するぞー』


 そうしてくれると助かります。

 自然界はこの世界、背面界は裏世界。門はその境目で、ウルマティアは死滅と再生の神。怪物は怪物。今日も難しいぞミルラ神話技能。


『それってヤバくないですか? 影響はどの程度出ています?』

「大体はみんなが見た通りだと思う。空が紫になって、フィールドに通常よりも強いモンスターが出現している。今フィールドに出ている人はいる? いるんだったらすぐに帰ったほうが良い」

『まじかよ。すぐに帰るわ』

『さっきフィールドでそれっぽいの見かけたけど、格下のMAPだから多分大丈夫』

『お前それフラグだぞ』

『ギルドマスターより司令を出します。作戦はいのちだいじに。全員一度ラインフォートレスに帰還し、状況の確認に努めてください。自力での帰還が不可能及び不安な方は救援部隊を出します。皆さん決して無理はしないでください』


 リースちゃんぱねぇ。過敏とも言える反応だけど、慎重なくらいで丁度いい。死んでからじゃ遅いんだ。

 マスターからの司令が出たことでにわかにギルドチャットが活発になり始めた。私もやれることをやろう。


『こちら銀太、救援部隊を結成する。参加希望者はこっちへ』

『参加する。パーティ勧誘を送ってくれ』

『俺も行く』

『んじゃ俺も』

「私も」

『店長は却下。さっきボス戦したばっかりで『ヘラクレス』の修理も終わってないだろ』

『これより対策会議を行うので、ラストワンさんはそちらで作戦立案をお願いします』

「巧妙に前線から引き離されている気がする」


 むー。対策会議って何さ。殴って倒すでいいじゃないの。

 っていうか銀太、なんで『ヘラクレス』が壊れたこと知ってるんだろう。まあいいや、とりあえず生産ドームに向かおう。

 既に生産ドームは人がわちゃわちゃとごった返していた。職連のプレイヤーたちが集まる中に、リースを見つける。


「リース、来たよ」

「ラストワンさん。現在職連以外のプレイヤーにも状況説明を行い、フレンドリストから安否確認を促しています。少しでも犠牲を減らしたいので」

「なるほど。それじゃあ、ちょっと待ってて」


 手頃なところにある工作台で『海鳴り貝』と『やまびこキノコ』を合成してクラフト。できあがったお手製『メガホン』をリースに渡す。


「はいこれ。使い捨てのワールドチャットアイテム。1スタック渡しとくから、足りなくなったら言って」


 このゲーム、ワールドチャットはあるにはあるけどめったに使われない。『メガホン』の正規入手方法は課金だ。ゲーム内から課金する手段が無い今では、ワールドチャットする術は工芸で作れる『メガホン』の模造品に限られる。


『【生産職職人連合】よりお知らせです。現在フィールドに通常より強いモンスターが出現しています。フィールドに出ている皆さんはお気をつけください』


 リースがワールドチャットをアナウンスする。周りからおおー、と歓声が上がった。そうだよね、ワールドチャット珍しいよね。

 リースはすぐにギルドチャットに切り替える。


『リースです。職連内のプレイヤーでまだ帰還していないプレイヤーは何人いますか?』

『こちら銀太。救援が必要なプレイヤーは残り1人。今向かっている』

『たすけてええええなんか怖いのいっぱいいるうううう』

『落ち着け。お前のレベルなら簡単には死なない。大丈夫だ』

『見た目が怖いのおおおおおいやああああああ』


 あー、うん、わかる。あいつらなんか怖いよね。自然界の敵はまだ現実の生き物に近いけど、背面界の怪物はもろ異形だからなぁ。


『メンバーリストを確認しました、大体のプレイヤーは帰還していますね。それではこれより、救援の手を職連外にも伸ばします』

『お? どう言うことだ?』

『ワールドチャットで救援要請を受け付ける旨を流します。助けられる人は全て助けますよ』


 なるほど面白そうだ。そうこなくっちゃ。


『いいぜいいぜ、熱くなってきた』

『俺たちだけじゃ手が足りないんじゃないか?』

「それなら並行して救援部隊を募るよ。私が担当するけど、協力者もう一人欲しい」

『じゃあ僕が引き受けましょう』


 基金設立した時にもお世話になった、山田さんが立候補してくれた。山田さんに『メガホン』を渡し、リースと山田さんと私でパーティを組む。


「私はパーティ単位の参加受付と司令を担当するね。山田さんは個人参加を受け付けてパーティを編成しください」

「分かりました。パーティが完成次第そちらにお伝えします」


 適当に役割分担し、リースにアイコンタクト。それじゃ、始めよう。


『【生産職職人連合】よりお知らせです。これより自力での帰還が困難な方へ救援部隊を派遣します。救援が必要な方は、現在のMAPと座標を添えて私リースにメッセージを送ってください』

『並行してお知らせするよ。救援部隊に志願する義勇兵求む。フルパーティでの参加はこちらで受け付けるから、私ラストワンにパーティの平均レベルを添えてメッセージください』

『少数パーティ及び個人での参加はこちらで受け付けます。1人からでもいいので力を貸してください。レベルとクラスを書いて山田の方にメッセージを送っていただけたら、こちらでフルパーティを編成して戦場までご案内します』


 ワールドチャットが3行流れると、すぐにメッセージが飛んできてチャットログが埋まっていく。協力的なプレイヤーの皆様に感謝だ。


「救援要請、26MAPのC-4です!」

「おっけー、平均レベル38パーティを向かわせるね」


 リースの情報を受けてパーティにコンタクトを取る。


「聞こえますか、こちら職連。26MAPのC-4に要救助者、救援をお願いします」

『わかったー。すぐに向かうね!』


 ありがとうございます。連絡用として画面の片隅にチャットウィンドウを表示しておく。


「ラストワンさーん、平均レベル28パーティ組めましたー。必要な時はこちらにどうぞー!」

「ありがとう山田さん!」

「次の救援要請です、一気に行きますよ。17MAPのE-8、27MAPのD-2、48MAPのB-1です!」

「分かった。山田さん、早速だけど17MAPに28パーティをお願い。後はこっちで対処するね」


 一気に3つか、忙しい。さっきの38パーティにコンタクトを取る。


「こちら職連です。26MAPのC-4に加えて27MAPのD-2もお願いしたいのですが、受けられますか?」

『大丈夫だよー! よゆーよゆー!』

「ありがとうございます。無理はしないでくださいね」


 これで27MAPはオーケー。問題は48MAPだけど、さすがにその辺のMAPになると中堅層じゃ荷が重い。


「ヨミサカ、聞こえる?」

『ラストワンか、どうした』

「ヨミサカたちに救援しに行って欲しいところがあるの。頼める?」

『構わんさ。どこへ行けばいい?』

「48MAPのD-2。そこに要救助者がいるから、死なない内に拾ってきて」

『分かった』


 困ったときの攻略組のお友達。私の友達ちょーつよいんだぞ!


「次です! 43MAPのF-3、46MAPのE-5、40MAPのC-1!」

「……っ! 山田さん、その辺に対応できそうなパーティは組める?」

「そのレベル帯となると厳しいですー!」


 ヨミサカパーティだけに任せるには危険だ。となると……。


「……フライトハイト」

『やぁ、ラストワン。こっちに回ってくると思ってたよ。どこに行けばいいんだい?』

「ああもう、話が早くて助かるよこんちくしょう! 43MAPのF-3、46MAPのE-5、40MAPのC-1! 【帰宅部】だったら3パーティ作れるでしょ、全部助けてきて!」

『もちろんだよ。いやぁ、この僕が君の助けになれるなんて嬉しい限りだねぇ』

「恩に着せやがって……。貸し3つ、これでいいんでしょ!」

『2つにまけといてあげる』


 こいつ嫌い。でも、カンストプレイヤーを多く擁する【帰宅部】はこういう局面だと心強いのは確かだ。後で何要求されるか分かったもんじゃないけど。


『繰り返しお伝えします。自力での帰還が不可能な方へ救援部隊を派遣します。救援が必要な方は、現在のMAPと座標を添えて――』

『救援部隊に志願する義勇兵も募集してるよ。パーティ単位での参加はこちらで――』

『個人参加はこちらで受け付けます。レベルとクラスを書いて山田の方に――』


 定期的にワールドチャットを流しつつ、救援を各地へと派遣していく。時折届く達成報告のログを確認しつつ、1つ2つと確実に処理していく。

 1人でも多く誰かを助けるために、やれるだけのことはやるつもりだ。

 それでも私1人じゃ救えない命は山ほどあって、協力してくれる方々にただただ感謝した。

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