真っ赤なヒーロー
冬純祭に参加させて頂く事になりました、ゅずりんご改め「杠 音韻」で御座います。
何も言えませんが、鉄砲撃ちながら走り回ってる方がカッコいいと思った為、参加致しました。
悪気は、全くないっす。
「とうっ!! レンジャーキーック!!!」
「ぐわぁ…………くくく、赤レンジャーよ覚えておれ………我輩の手下が時期に来るハズだ………」
「なにぃ!? クソッ逃げるな!!」
もう何回目やろ。
もうこれと同じ作業何回やってんやろ。
体動かしてスタントマンを蹴り倒し、カッコいいセリフをキメて颯爽に走る。
それがワイや。
赤レンジャー様や。
いやちゃうわ。
赤レンジャーは関西弁じゃあらへんやろ?
ワイは疲れきった腰と汗で蒸れた被り物を机に置く。
あ、娘に帰るの遅れるから連絡せぇへんと。
………………あれやな、スマホっちゅーもんをスタントマンの後輩達からオススメされて買ってみたけど、なんやコレ使いにくいだけやんけ。
やり続けると肩が凝るわ、最悪のアイテムやな。
せやけど、誰一人………ワイの回りで不満を漏らす事はあらへん。
すると、突然部屋のドアが空く。
そこにはちんちくりんの可愛らしい化け物の被り物をした後輩が立っていた。
「あ、赤レンジャーさんお疲れーっす」
「おぅ怪獣はん、お疲れー。この後どうや一杯」
「あ、いいっすか~? じゃお言葉に甘えて…………」
暖簾を潜ると顔を見知った大将が寿司を握りながらささやかに笑い返してくる。
「おや、ヒーローと怪獣が仲良く飲みに来るとは………暴れるなよ?」
「へへ、大将も上手いっすね~。ホレ、まぁ座りや」
「失礼しまーす」
コイツは昔から怪獣の役をやっていて、去年から入ったワイやけど、実質役者としたら先輩や。
コイツはホンマに後輩からも先輩からも慕われるいいやつで、こんな優しい奴が怪獣をやるなんてそれこそコメディーや。
「大将~お冷やちょうだい」
「あいよ」
水を飲み干し、煙草の火を付ける。
もうこの頃にはボロボロになったヒーロー姿も中年おじさんに成り果てて居る。
「最近………どうや? 辛いか?」
「まぁ………結婚して子供産んでる赤レンジャーさんよりはじゃないっすけど………まぁ最近出番も多くなって忙しいっすね」
「なんや、若いモンは働いてナンボやろ? その位シャキっとせぇや」
「すいません」
コイツは………なんちゅーか気が弱いんやろな。
全然ええんよ、今のままで……なんて言ったら終わりなんやろうけど、それとも違う。
ワイが、口出せん程に。
「なんか…………あるんやろ?」
ワイがそう言うと、怪獣は罰食らった様な笑顔を浮かべて頭を掻く。
「へへへ、やっぱ赤レンジャーさんには敵わないっすわぁ。流石ヒーローっす」
「なんや? なんかあるんか? 年頃やなぁ」
「実は、ピンクレンジャーさんとお付き合いを始めまして………」
なんやて?
え、なんやて?
聞こえへんかったわ、ワイも年やなぁ喫煙も止めんと………
ちゃうわ。
「ピンクと……お付き合い?」
「ええ………実は、俺ピンクの高校の同期なんすよ。つい最近バッタリ会って、そこで同じ劇をやってるって言うんで………」
へぇ、あのピンクと怪獣がなぁ………。
ピンクは可愛らしい女の子で少し控えめで、まぁ可愛い女の子やった。
もう娘同然やった。
「へ、へぇ………ほんで、何処まで言ったん………?」
「それが、子供が出来ちゃったみたいで………」
「ワレェ表出んかいオラ」
思わず怪獣の胸ぐらを掴むワイ。
「うわぁ!? な、なんすか急に!!」
「あぁ、悪い………へ、へぇ………そうなんや…………って、産休は取らへんのか? 流石に厳しいやろ」
「あ、次の撮影で最後っす」
「聞いてへんわ」
あの笑顔が見れなくなるのは辛い………ワイはビールをかっ食らう。
喉に痺れるシュワシュワが堪らん。
堪らねぇ。
「ほんで………面倒は見れそうなんか?」
「はい、この後…………婚約をしようと思ってまして…………」
「なんやお前!! ほな行くで!! 大将お勘定!!」
「え!? ちょま………今からっすか!?」
「浪速のおっさんの「この後」は速いんや、よう覚えとき!! HEYタクシー!!」
雑に万札を机に置き、怪獣の手を引っ張る。
目的地は、東京タワー。
「ピンクはどこや? ………あ、居ったで。あの作戦覚えとるよな?」
「で、でもマジでやるんすか?」
「浪速のおっちゃんは嘘はつかへん、ほな行くで!!」
「グワーッハッハッハ!!! 東京タワーは我輩の根城となるのだー!! お、お前が人質だー!!」
「え!? 謙二さん………何をやって………!?」
ピンクの可愛らしいロングヘアーが怪獣の腕にかかる。
ワイの出番や。
「まてぇい!! 待たしてもお前か!! 今日こそ倒す!!」
決まった。
「ちょ、赤レンジャーさん!? 一体何して………」
ここでワイは怪獣に突撃するが、敢えてやられる。
一発で。
最高にカッコ悪い。
でも、これでいい。
これが、ワイ。
「グワーッハッハッハ!!!! 最早これ迄の様だな!! この娘は貰って行くぞ!!」
「ちょ、ちょっと待って!? 何よコレ………謙二さん!? どういうつもりなの?」
「え……いや、あの……」
クソ、やっぱりここで辛いか。
だが、まだワイは居るで、怪獣!!
「今や!!! お前なら行けるで怪獣!!」
赤レンジャーらしからぬ関西弁で東京タワーよりもでかく声を張り上げる!!
「えと………美智子さん…………結婚して下さいぃ!!!!!!」
「えと……あの……はい………!!」
ポツンと、白い斑点模様の冷たいのが額に張り付く。
コレが、ワイ。
コレが、赤レンジャー。
皆を守る、本当の正義って奴や。
文句あっか?
やらせて頂きました。